高齢者の薬の飲み忘れが増えると、「薬を飲んだか本人が覚えていない」「朝の薬だけ残っていることが多い」「家族が毎回電話をしないと飲めない」など、本人だけでなく家族も服薬管理に悩むことがあります。
薬の飲み忘れは単に注意力の問題だけで起こるとは限らず、薬の種類や服用回数が多い、朝昼夕で飲む薬が違う、食前や食後など服用するタイミングが複雑、薬の袋の文字が見えにくい、包装から薬を取り出しにくいなど、さまざまな原因が関係します。
厚生労働省の高齢者の医薬品適正使用に関する指針でも、服薬を続けにくくなる要因として認知機能や視力、聴力、手指機能、日常生活動作の低下、多剤服用、複雑な処方などが挙げられており、本人へ「忘れないように」と注意するだけでは解決しにくいケースがあります。
対策としては、服薬カレンダーや薬ケースを利用して飲んだか目で確認できるようにする、薬剤師へ一包化を相談する、生活習慣と服薬を結び付ける、家族や介護職などによる確認を取り入れるといった方法が考えられます。
ただし、飲み忘れに気づいたときの対応は薬によって異なるため、自己判断で2回分をまとめて飲ませることは避け、あらかじめ医師や薬剤師へ「この薬を忘れた場合はどうするか」を確認しておくことも重要です。
高齢者の薬の飲み忘れ対策
高齢者の薬の飲み忘れ対策では、本人の記憶力だけに頼るのではなく、「飲む薬がわかる」「飲む時間に気づける」「飲んだことを確認できる」という仕組みを生活の中に作ることがポイントです。
服薬カレンダーや一包化、薬ケース、アラームなどにはそれぞれ向いている人が異なるため、便利そうな方法を一度に増やすより、なぜ飲み忘れているのかを確認して必要な対策を選びましょう。
特に薬の数が多い場合や複数の医療機関から処方を受けている場合には、本人や家族だけで整理せず、かかりつけの医師や薬剤師へ現在の服薬状況と残薬を伝えることが大切です。
服薬カレンダーを使う
高齢者の薬の飲み忘れ対策として取り入れやすい方法の一つが、朝、昼、夕、寝る前などに分けて薬を入れられる服薬カレンダーを利用することです。
薬袋や箱から毎回必要な薬を探す方法では、飲んだ後にも包装が残っているため服用済みか判断しにくいことがありますが、服薬カレンダーなら予定していた場所から薬がなくなっているかを目で確認できます。
- 曜日が大きく表示されている
- 朝昼夕を区別しやすい
- 薬を取り出しやすい
- 本人が見やすい場所に置ける
- 飲んだ後を確認しやすい
- 家族も残薬を確認しやすい
厚生労働省の高齢者の医薬品適正使用に関する指針でも、服薬支援の方法として服薬セットケースや服薬カレンダーなどの使用が挙げられており、飲む薬を整理する方法の一つとして活用できます。
ただし、カレンダーへ薬を入れたこと自体を忘れる人や、曜日を正確に把握することが難しい人では十分な対策にならないこともあるため、本人の状態によっては家族などによる確認を組み合わせる必要があります。
一包化を薬剤師に相談する
朝に3種類、昼に2種類、夕方に4種類というように複数の薬を別々の包装から取り出している高齢者では、どの薬をいつ飲むのかを整理すること自体が負担になっている場合があります。
このような場合には、服用するタイミングが同じ薬を一つの袋へまとめる一包化が可能か、処方を受けている医師や薬剤師へ相談する方法があります。
| 管理方法 | 特徴 | 確認点 |
|---|---|---|
| 個別包装 | 薬ごとに管理 | 取り違えに注意 |
| 一包化 | 1回分をまとめやすい | 適否を薬剤師へ相談 |
| 服薬カレンダー | 時間別に見える | セット方法を決める |
| 薬ケース | 携帯しやすい | 曜日間違いに注意 |
日本薬剤師会も、飲み忘れや飲み間違いを防ぐための支援として、1回に飲む薬を一包にまとめる方法があることを案内しています。
ただし、薬の種類や状態によって一包化の適否は異なり、一包化すればすべての飲み忘れがなくなるわけでもないため、現在服用している薬を持参して薬剤師へ相談しましょう。
食事など毎日の習慣と結び付ける
薬だけを独立した予定として覚えようとすると忘れやすい高齢者では、普段必ず行っている生活習慣と服薬を結び付けることで思い出しやすくなる場合があります。
例えば医師や薬剤師から食後に服用するよう指示されている薬であれば、食事を終えたら服薬を確認するという一連の流れを作り、薬の置き場所や確認方法も毎日同じにします。
- 朝食後に確認する
- 夕食後に確認する
- 就寝前の習慣に組み込む
- 毎日同じ場所で管理する
- 服用後に印を付ける
ただし、薬には食前、食後、食間、就寝前などさまざまな服用方法があり、薬ごとの指示を無視して都合のよい時間へ勝手にまとめてはいけません。
服用タイミングが複雑で本人が管理できない場合には、「生活に合わせて服用方法を簡単にできないか」を医師や薬剤師へ相談し、自己判断ではなく処方全体を確認してもらいましょう。
スマートフォンや時計のアラームを使う
薬の内容は理解しているものの、テレビを見ていたり外出していたりして時間を忘れてしまう高齢者には、スマートフォンや時計などのアラームを利用する方法があります。
決まった時間に音や振動で知らせれば、「薬を飲む予定そのものを思い出せない」というタイプの飲み忘れを補助できる可能性があります。
| 方法 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|
| スマホ通知 | スマホを日常的に使う人 | 通知を消しただけにならないか |
| 時計アラーム | 操作を覚えられる人 | 時刻設定を確認 |
| 家族の電話 | 声掛けが有効な人 | 家族の負担も考える |
| 服薬カレンダー | 目で確認しやすい人 | 見える場所に置く |
アラームが鳴っても「何の音かわからない」「止めてから薬を飲むのを忘れる」という状態では十分な効果を得にくいため、本人が通知の意味を理解して行動へ移せるか確認することが重要です。
アラームを何種類も設定するとかえって混乱する人もいるため、必要最小限の方法から始め、服薬カレンダーなど視覚的な確認方法と組み合わせると管理しやすくなります。
薬を目につく場所で管理する
薬を安全な場所へしまうことは大切ですが、高齢者本人が自己管理できる状態で、薬を棚の奥や普段開けない引き出しへ収納すると存在そのものを忘れてしまうことがあります。
本人が日常的に過ごす場所や服薬する場所を確認し、安全を確保したうえで服薬カレンダーなどを見つけやすい位置へ置く方法を検討しましょう。
- 毎日目に入る場所
- 服薬する場所の近く
- 十分な明るさがある場所
- 本人が手を伸ばしやすい場所
- 子どもなどが触れない安全な場所
薬は種類によって保管方法が異なるため、すべての薬を食卓などへ出したままにしてよいわけではなく、薬袋や説明書に記載された保管条件を守る必要があります。
冷蔵保存など特別な保管が必要な薬もあるため、置き場所を変更したい場合には薬剤師へ確認し、安全性と忘れにくさの両方を考えて管理しましょう。
家族が飲んだか確認する
服薬カレンダーやアラームを使っても飲み忘れが続く場合には、本人だけの自己管理にこだわらず、家族が服用状況を確認する方法を取り入れることも大切です。
同居家族なら食事の後など決まったタイミングで声を掛け、離れて暮らしている場合には電話などを利用して確認する方法が考えられます。
| 本人の状態 | 支援方法 | 確認すること |
|---|---|---|
| たまに忘れる | 声掛け | 服用済みか |
| 頻繁に忘れる | カレンダー併用 | 残薬を確認 |
| 飲んだか覚えていない | 管理者を決める | 重複服用を防ぐ |
| 自己管理が難しい | 専門職へ相談 | 支援体制を検討 |
厚生労働省の指針では、認知機能の低下による飲み忘れでは、家族や看護師、介護職員などが1日分ずつ渡すなどの介助が必要になる場合があるとされています。
本人が飲んだと話していても実際には薬が残っていることが続く場合には、本人を責めるのではなく、自己申告だけに頼らず確認できる仕組みへ変更しましょう。
薬を管理する人を決める
複数の家族がそれぞれ薬を準備している家庭では、誰がいつセットしたのかわからなくなり、飲み忘れだけでなく二重に薬を準備する原因になることがあります。
自己管理が難しくなっている高齢者では、薬を準備する人、服用を確認する人、残薬を確認する人をできるだけ明確にしておくと管理しやすくなります。
- 薬を受け取る人を決める
- カレンダーへ入れる人を決める
- 服用確認の方法を統一する
- 残薬を定期的に確認する
- 受診時に情報を共有する
特に離れて暮らす家族、訪問介護、訪問看護など複数の人が関わっている場合には、本人を中心に誰が何を確認するのか共有することが重要です。
家族だけで管理することが難しくなっている場合には、ケアマネジャーや薬剤師などへ状況を伝え、利用できる支援を相談しましょう。
残薬を薬剤師に見てもらう
薬がたくさん余っている場合には、単純に処分して新しい薬だけを管理するのではなく、なぜ残ったのかを確認することが飲み忘れ対策につながります。
朝だけ残っている、昼の薬が大量に余っている、特定の錠剤だけ残っているなど、残薬の状態を見ると本人がどのタイミングで困っているかを把握できることがあります。
| 残り方 | 考えるポイント | 相談内容 |
|---|---|---|
| 朝だけ残る | 朝の習慣 | 管理方法を相談 |
| 昼だけ残る | 外出など | 服用状況を伝える |
| 特定薬だけ残る | 飲みにくさ | 薬剤師へ伝える |
| 大量に残る | 管理全体 | 処方医にも共有 |
厚生労働省の指針でも、残薬が多い場合には残薬が生じる理由を確認し、服薬環境に合わせた支援を検討することが示されています。
受診前に残った薬を捨ててしまうと実際の服用状況がわかりにくくなるため、余っている薬については自己判断で調整せず、薬剤師や医師へ相談しましょう。
飲み忘れる原因に合わせると対策を続けやすい
服薬カレンダーを購入しても飲み忘れが改善しない場合には、道具の性能ではなく、本人が薬を忘れる原因と対策が合っていない可能性があります。
高齢者の服薬では、記憶だけでなく視力や手指の機能、薬の数、服用方法、生活リズムなどさまざまな要因が関係するため、「忘れっぽくなった」という一言で片付けないことが大切です。
いつ、どの薬を、どのような状況で忘れているかを数日から数週間確認すると、必要な対策を絞り込みやすくなります。
薬の種類が多すぎて混乱する
複数の病気で治療を受けている高齢者では、朝、昼、夕、就寝前にそれぞれ異なる薬が処方され、本人が管理しきれなくなることがあります。
厚生労働省では、単に薬の数が多いことだけではなく、多剤服用に関連して薬物有害事象や服用間違い、服薬アドヒアランス低下などの問題につながる状態をポリファーマシーとして説明しています。
- 薬の名前を把握できない
- 朝昼夕の区別が難しい
- 複数の医療機関へ通っている
- 似た包装の薬が多い
- 残薬が増えている
- 市販薬も使用している
薬が多いからといって家族の判断で不要そうな薬を中止したり、複数の薬を勝手に同じ時間へまとめたりしてはいけません。
現在使用している処方薬、市販薬、サプリメントなどをお薬手帳などで整理し、医師や薬剤師へ実際の服用状況を伝えて確認してもらいましょう。
服用方法が複雑になっている
薬の数そのものが少なくても、「朝食前」「朝食後」「昼食後」「夕食後」「寝る前」というようにタイミングが細かく分かれていると、服用管理は複雑になります。
厚生労働省の高齢者の医薬品適正使用に関する指針では、服薬支援の例として服用回数を減らすことや、食前、食後、食間などの服用方法をできるだけまとめることなど、用法を単純化する考え方も示されています。
| 困りごと | 起こりやすい問題 | 相談の方向性 |
|---|---|---|
| 回数が多い | 一部を忘れる | 医師へ状況を伝える |
| 時間が複雑 | 取り違える | 薬剤師へ相談 |
| 薬袋が多い | 選び間違える | 一包化などを相談 |
| 外出時に忘れる | 昼薬が残る | 生活状況を共有 |
ただし、服用時間には薬の効果や安全性に関わる理由がある場合もあるため、本人や家族が勝手に変更してはいけません。
「昼はほとんど外出しているため忘れる」など具体的な生活状況を医師や薬剤師へ伝え、治療上可能な工夫があるか相談しましょう。
薬を取り出す動作が難しい
高齢者が薬を飲んでいないと、記憶の問題と考えがちですが、実際には錠剤を包装から押し出せない、薬袋を開けられないなど手指の問題が隠れていることがあります。
厚生労働省の指針でも、手指の機能障害や日常生活動作の低下は服薬を続けにくくする要因として挙げられています。
- 包装を押し出せない
- 袋を開けられない
- 小さな錠剤を落とす
- 薬をつまみにくい
- 薬袋の文字を読みにくい
- 水を準備するのが難しい
この場合にはアラームを増やしても問題は解決しにくいため、薬剤師へ実際に困っている動作を見せたり説明したりして、調剤方法などを相談することが重要です。
本人が薬を飲むまでの一連の動作を観察し、「覚えているか」だけでなく「取り出して口まで運べるか」という視点でも確認しましょう。
服薬カレンダーや薬ケースは本人に合わせて選ぶ
高齢者向けの服薬管理用品には、壁掛けカレンダー、曜日別ケース、携帯用ピルケース、アラーム機能付き機器などさまざまな種類があります。
高機能な製品ほど飲み忘れを防げるとは限らず、本人が毎日迷わず使えること、家族が服用状況を確認できること、薬の取り違えを起こしにくいことが重要です。
本人の視力や手指の動かしやすさ、外出頻度、薬の量などを確認して、生活に合う管理方法を選びましょう。
文字の見やすさを確認する
服薬カレンダーを利用しても、曜日や朝昼夕の表示が小さくて本人に読めなければ、間違ったポケットから薬を取り出す可能性があります。
視力が低下している高齢者には、曜日や時間帯が大きく表示され、色分けなどによって位置を把握しやすいものが使いやすい場合があります。
- 曜日が大きい
- 朝昼夕を区別しやすい
- 文字と背景の差が見やすい
- ポケットの中を確認できる
- 本人の目線に設置できる
色だけで区別すると本人によっては判断しにくい場合もあるため、「赤が朝」といった色だけに頼らず文字でも確認できるものを選びましょう。
設置後は家族が説明するだけで終わらせず、本人に実際に今日の薬を取り出してもらい、正しい場所を選べるか確認することが大切です。
薬を取り出しやすい形を選ぶ
薬ケースは小さいほど省スペースですが、ふたを開けるために指先の細かな操作が必要な製品では、手指の力が弱い高齢者には使いにくい場合があります。
ケースを選ぶ際には、薬を収納できる量だけでなく、本人がふたを開け、薬をつまみ、飲んだ後に閉められるかまで確認しましょう。
| 確認項目 | 使いやすい状態 | 注意点 |
|---|---|---|
| ふた | 本人が開けられる | 硬すぎないか |
| 表示 | 大きく見える | 曜日間違い |
| 収納量 | 1回分が入る | 詰め込みすぎない |
| 取り出し | 指が入りやすい | 薬を落とさないか |
| 携帯性 | 必要なら持ち歩ける | 紛失に注意 |
本人が開けられないケースを家族が毎回準備するのであれば、管理の目的によっては別の方法のほうが使いやすいこともあります。
一方、認知機能の状態などによって本人が自由に薬へアクセスすると重複服用の心配がある場合には、自己管理を前提とせず医療・介護の専門職へ管理方法を相談しましょう。
外出時の管理方法も決める
自宅では服薬カレンダーで問題なく管理できても、通院や買い物、デイサービスなどで昼間に外出すると薬を忘れてしまう高齢者もいます。
特に昼食後など外出時間と重なる薬が頻繁に残っている場合には、自宅用カレンダーだけではなく外出時の管理方法を考える必要があります。
- 外出時に必要な薬を確認する
- 持参方法を決める
- 飲む時間を本人が把握する
- 帰宅後に服用状況を確認する
- 必要なら支援者へ共有する
薬だけを小さな容器へ移し替えると何の薬かわからなくなったり、紛失時に確認できなくなったりする可能性があるため、持ち歩き方についても薬剤師へ相談すると安心です。
デイサービスなどを利用している場合には、施設側でどのような対応が可能なのかを事前に確認し、本人、家族、支援者で管理方法を共有しましょう。
飲み忘れが続くなら医師や薬剤師に相談する
服薬カレンダーや声掛けを試しても薬が頻繁に残る場合には、本人の努力だけで解決しようとせず、処方している医師や薬剤師へ実際の服薬状況を伝えることが重要です。
「きちんと飲んでいます」と伝えてしまうと、医師が処方どおり服用している前提で治療効果を判断する可能性があるため、何日くらい忘れたか、どの時間帯が残るかをそのまま伝えましょう。
高齢者では複数の医療機関を受診していることもあるため、お薬手帳などを活用して処方薬や市販薬をまとめて確認できる状態にしておくことも大切です。
お薬手帳で服用薬をまとめる
複数の病院や診療科から薬を処方されている場合には、それぞれの薬を別々に考えるのではなく、現在使用している薬の全体像を確認できるようにする必要があります。
お薬手帳には処方された薬の情報を記録できるため、医師や薬剤師へ見せることで重複する薬や飲み合わせなどを確認するための情報になります。
- 受診時に持参する
- 薬局でも提示する
- 複数冊に分けない
- 市販薬も伝える
- サプリメントも伝える
- 飲み忘れの状況も話す
スマートフォンを日常的に利用できる人なら電子版お薬手帳という選択肢もあり、厚生労働省も電子版お薬手帳に関する情報を提供しています。
ただし、お薬手帳を持っているだけでは飲み忘れを直接防げないため、服薬カレンダーなどの日常管理と、医療者へ薬の全体像を共有するためのお薬手帳を目的に応じて使い分けましょう。
飲み忘れの事実をそのまま伝える
受診時に「薬を飲み忘れて怒られるのではないか」と心配し、実際には薬が残っているのにすべて飲んだと伝えてしまうと、治療状況を正確に評価しにくくなります。
医師や薬剤師へ相談するときには、忘れること自体を隠さず、朝は飲めるが昼は週に数回忘れるなど具体的に伝えることが重要です。
| 伝える内容 | 具体例 | 役立つ理由 |
|---|---|---|
| 忘れる時間 | 昼食後が多い | 原因を探しやすい |
| 頻度 | 週に2回程度 | 状況を把握しやすい |
| 残薬 | 実物を確認 | 服用状況がわかる |
| 生活 | 昼は外出する | 対策を検討しやすい |
| 困りごと | 袋を開けにくい | 調剤方法を相談できる |
「忘れない方法を教えてほしい」と相談するだけでなく、薬を取り出せない、昼は外出している、食事時間が不規則など生活上の事情も伝えましょう。
残薬がある場合には捨てて数を合わせるのではなく、そのまま薬剤師へ相談することで管理方法を見直す手掛かりになります。
服用回数を減らせるか相談する
1日に何度も薬を飲む必要があり管理できなくなっている場合には、治療上可能であれば服用方法を単純化できないか医師や薬剤師へ相談することがあります。
厚生労働省の指針でも、高齢者への服薬支援として服用回数を減らすことや、複雑な用法を可能な範囲で単純化することが挙げられています。
- 服用回数が多い
- 昼だけ忘れる
- 食前と食後を間違える
- 複数の薬袋で混乱する
- 外出時の服用が難しい
ただし、すべての薬で服用回数を減らせるわけではなく、薬の効果を保つために決められた回数が必要な場合もあります。
家族が独自に「朝と昼を一緒に飲ませる」といった変更をすることは避け、生活上どの服用が難しいのかを伝えて医療者に判断してもらいましょう。
飲み忘れに気づいたときは自己判断で2回分を飲まない
飲み忘れ対策と同じくらい重要なのが、実際に薬を忘れたときの対応を家族と本人が知っておくことです。
厚生労働省は、飲み忘れたからといって2回分をまとめて服用しないよう案内しており、次の服用時間が近い場合などの対応についても薬の種類によって異なることがあります。
毎日服用する薬については、薬を受け取る段階で「朝の薬を昼に気づいたらどうするか」など具体的に薬剤師へ確認しておくと、実際に忘れたときに慌てず対応できます。
2回分をまとめて飲まない
朝の薬を飲み忘れたことに昼になって気づくと、「不足した分を取り戻すために次回2回分飲めばよい」と考えてしまうことがあります。
しかし、薬を多く服用すれば効果が単純に補われるわけではなく、副作用などにつながる可能性もあるため、自己判断で2回分をまとめて服用することは避けましょう。
- 2回分を一度に飲まない
- 自己判断で量を増やさない
- 別の時間へ勝手に移さない
- 薬ごとの対応を確認する
- 迷ったら薬剤師へ相談する
厚生労働省の一般向け情報でも、飲み忘れた場合に2回分をまとめて飲まないこと、薬によって対応が異なる場合があるため医師や薬剤師へ確認することが示されています。
高齢者本人だけで判断することが難しい場合には、家族が飲み忘れ時の対応を把握し、わかりやすい場所へメモしておく方法もあります。
薬ごとの対応を確認しておく
飲み忘れたときの一般的な考え方を知っていても、実際の対応は薬の種類や服用間隔などによって異なる場合があります。
そのため、「すべての薬は気づいた時点で飲めばよい」「次回は必ず飛ばせばよい」という一律のルールで判断することは避ける必要があります。
| 状況 | 避けたい対応 | 基本の行動 |
|---|---|---|
| 飲み忘れに気づく | 自己判断で倍量 | 指示を確認する |
| 次回時間が近い | 連続して服用 | 薬剤師などへ確認 |
| 何を飲んだかわからない | 念のため追加 | 服用状況を確認 |
| 何度も忘れる | 本人を責める | 管理方法を見直す |
処方時や調剤時に薬剤師へ飲み忘れた場合の対応を尋ね、本人だけでなく薬を管理する家族も内容を共有しておきましょう。
特に複数の薬を使用している場合には、それぞれの対応を覚えきれないこともあるため、わからなくなったら処方元の医療機関や薬局へ確認することが安全です。
飲んだかわからない場合も確認する
高齢者の服薬管理で難しいのは、「飲み忘れた」とわかっている場合だけでなく、「飲んだような気もするが覚えていない」というケースです。
この状態で念のためもう一度服用すると、すでに飲んでいた場合には重複して服用することになるため、自己判断で追加するのは避けましょう。
- カレンダーの薬が残っているか見る
- 空包があるか確認する
- 家族へ確認する
- 管理記録を確認する
- 判断できなければ専門家へ相談する
「飲んだかどうかわからない」が頻繁に起こる場合には、服用後にチェックを付ける方法だけでなく、服薬カレンダーから薬がなくなったことを確認するなど客観的に判断できる仕組みが必要です。
それでも自己管理が難しい場合には、家族や介護職などが必要な分だけ渡す方法も含めて医療・介護の専門職へ相談しましょう。
本人が続けられる仕組みを作って飲み忘れを減らそう
高齢者の薬の飲み忘れ対策では、「忘れないように気をつける」という本人の注意力だけに頼らず、服薬カレンダーや薬ケース、一包化、アラーム、家族の声掛けなどを利用して、飲む薬とタイミングをわかりやすくすることが大切です。
特に朝昼夕で薬が異なる、複数の医療機関から薬を処方されている、薬袋が多くて混乱するという場合には、現在使用している薬と残薬をまとめて医師や薬剤師へ見せ、一包化や服用方法を含めて管理しやすくできないか相談しましょう。
一方、薬を飲む予定は覚えていても包装を開けられない、文字が読みにくい、錠剤をつまめないという場合には、アラームを増やしても解決しないため、本人が服用するまでの一連の動作を確認して原因に合った支援を選ぶ必要があります。
飲んだか覚えていない状態が頻繁に起こる場合や、認知機能の低下などによって自己管理が難しくなっている場合には、本人だけへ管理を任せず、家族や看護師、介護職、薬剤師などと連携して、薬を準備する人や服用を確認する方法を決めることも検討しましょう。
また、飲み忘れた分を取り戻そうとして2回分をまとめて飲むことは避け、忘れた場合の対応は薬によって異なる可能性があるため、処方時や調剤時に医師や薬剤師へ確認しておくことが重要です。
飲み忘れが続いていることは隠す必要のある失敗ではなく、現在の処方や管理方法が本人の生活に合っているかを見直すための重要な情報になるため、残っている薬や忘れやすい時間帯を具体的に伝え、本人が無理なく続けられる服薬環境を整えていきましょう。
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