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高齢者が洗濯物を干せないときの対策|低い物干しや家事支援で負担を減らそう!

暮らしの工夫
※イメージとして作成した画像です

高齢になると、洗濯機を回すことはできても「洗濯物を干す作業だけがつらい」ということがあります。

濡れた衣類を入れたかごは意外に重く、ベランダまで運ぶ、腕を上げて物干し竿へ掛ける、何度もかがんで洗濯物を取る、乾いた衣類を取り込むといった一連の動作には、腕や肩だけでなく脚、腰、バランス能力も必要になるためです。

特に肩が上がりにくい人、腰や膝に痛みがある人、杖を使用している人、ふらつきがある人では、高い物干し竿やベランダの段差が負担になり、無理をすると転倒につながる可能性もあります。

高齢者が洗濯物を干せないときは、家族がすべて代わりに行う前に、物干しの高さを下げる、室内干しへ変える、座って準備できる場所を作る、乾燥機能を利用するなど、本人が安全に続けられる方法を探すことが大切です。

それでも難しい場合には、訪問介護の生活援助や市町村の介護予防・日常生活支援総合事業、地域の生活支援、民間の家事代行などを検討できるため、洗濯物を干せなくなったことを本人の努力だけで解決しようとせず、身体状態と住環境に合った仕組みへ変えていきましょう。

高齢者が洗濯物を干せないときの対策

洗濯物を干せなくなった高齢者への対策では、最初から「洗濯は全部誰かに任せる」と考える必要はありません。

洗濯機の操作はできるものの高い場所へ手が届かない人なら物干しの高さを変えることで続けられる場合があり、ベランダまで運べない人なら室内に干すことで負担を減らせる可能性があります。

一方で、立っているだけでもふらつく人や急に肩が上がらなくなった人では、便利グッズを追加するだけでは安全を確保できないこともあります。

まず「洗う・運ぶ・干す・取り込む・たたむ」のどこで困っているかを確認し、できる部分を残しながら難しい作業だけを減らしましょう。

物干しを低くする

腕を頭より高く上げることが難しい高齢者には、物干し竿やハンガーを掛ける位置を低くして、肩を大きく上げなくても洗濯物へ手が届く環境を作る方法があります。

高い物干し竿を使い続けると、つま先立ちになったり身体を反らしたりして何とかハンガーを掛けようとすることがあり、肩への負担だけでなく姿勢の不安定さにもつながります。

特にベランダでは床が濡れていることがあり、サンダルを履いた状態で背伸びをすると足元が不安定になりやすいため、本人が自然に立った姿勢で手を伸ばせる位置を基準に考えることが大切です。

高さを調節できる室内物干しや低い位置へ設置できる物干しを利用すれば、衣類を持ったまま腕を高く上げる回数を減らせます。

  • 背伸びをしなくてよい
  • 肩を上げすぎない
  • 踏み台を使わない
  • 身体を反らさない
  • 安定した姿勢で届く
  • 取り込み時も届きやすい

ただし、低くしすぎると長い衣類やタオルが床へ触れたり、本人が深くかがんだりするため、単純に最低位置へ下げればよいわけではありません。

本人に実際にハンガーを掛けてもらい、肩、腰、膝へ無理がなく、足裏を床につけたまま作業できる高さを探しましょう。

室内干しへ切り替える

洗濯機からベランダまでの移動が大変な場合は、洗濯機の近くや生活している部屋に室内物干しを設置すると移動距離を短くできます。

ベランダへ出るには窓枠の段差をまたぐ必要がある住宅も多く、濡れた洗濯物を持った状態で段差を越えることが高齢者の負担になっている場合があります。

室内干しなら雨や強風の日に外へ出る必要がなく、冬の寒い朝や夏の暑い時間帯に長時間ベランダで作業することも避けやすくなります。

洗濯機から数歩の場所に物干しを置ければ、重い洗濯かごを抱えて歩く距離も短くできるため、肩の問題だけでなく歩行に不安がある人にも向いています。

場所確認するポイント
洗面所洗濯機から近い
浴室乾燥設備の有無
リビング生活動線を妨げない
寝室歩行スペースを残す
廊下通行を妨げない
窓際転倒しない配置にする

室内物干しを歩行動線の中央へ置くと、物干しの脚につまずいたり、垂れた衣類が視界を遮ったりする可能性があるため、設置場所には注意が必要です。

室内干しへ変更するときは乾燥だけでなく転倒防止も考え、本人が普段歩く経路を狭くしない場所を選びましょう。

洗濯物を運ぶ負担を減らす

洗濯物を干す動作そのものより、濡れた衣類を洗濯機から物干し場所まで運ぶことがつらい高齢者もいます。

濡れた衣類は乾いた状態より重く、洗濯かごを両手で抱えると手すりや杖を使えなくなるため、歩行が不安定な人にとっては特に注意が必要です。

一度に大量の洗濯をせず少量ずつ洗う、洗濯機の近くに物干し場所を作る、軽いかごへ変更するなど、運ぶ重量と距離の両方を減らすと負担を小さくできます。

洗濯機と物干し場所が別の階にある住宅では、濡れた衣類を持って階段を上り下りすること自体が危険になるため、生活する階で洗濯を完結できないか検討しましょう。

  • 一度の洗濯量を減らす
  • 軽いかごを使う
  • 移動距離を短くする
  • 階段で運ばない
  • 杖を使う手を空ける
  • 洗濯機の近くで干す

キャスター付きのワゴンが便利な場合もありますが、段差がある住宅や歩行時に支持物が必要な人では、ワゴンが動いてかえって危険になる可能性があります。

便利そうな道具を追加する前に、本人が普段どのように歩き、どこで洗濯かごを持ち上げているのかを確認することが重要です。

座って干す準備をする

長時間立っていることがつらい高齢者は、洗濯物をハンガーへ掛ける準備やピンチハンガーへ留める作業を椅子へ座って行うと、立位で作業する時間を減らせます。

例えばテーブルの近くへ安定した椅子を置き、座った状態で衣類をハンガーへ掛けてから、最後に物干しへ移動する方法があります。

靴下や下着など小さな物も、床の洗濯かごから一枚ずつ取るのではなく、座った位置で手が届く台へ置けば何度も腰を曲げる必要がありません。

膝や腰に痛みがある人では「干すために腕を上げる動作」だけでなく「床のかごから洗濯物を取る動作」が負担になっている場合があるため、作業全体を見ることが大切です。

作業負担を減らす方法
衣類を取るかごを台へ置く
ハンガー掛け椅子に座る
ピンチ留め手元で準備する
立ち上がり安定した椅子を使う
物干し低い位置へ掛ける
取り込み同じ手順で戻す

椅子はキャスター付きではなく、立ち座りの際に動きにくい安定した物を選び、必要であれば肘掛けがあるタイプも検討します。

座ったまま無理に遠くの物干しへ手を伸ばすと転倒する可能性があるため、座位で行うのは手元の準備を中心にしましょう。

乾燥機能を利用する

洗濯物を干す動作そのものが難しい場合は、衣類乾燥機、洗濯乾燥機、浴室乾燥などを利用して「干す工程」を減らす方法があります。

特に一人暮らしで洗濯量が少ない高齢者なら、乾燥まで機械で済ませられる衣類を増やすことで、毎回ベランダへ出たり大量のハンガーを操作したりする必要がなくなります。

ただし衣類によっては乾燥機を使用できないものがあり、すべてを同じ方法で乾かせるとは限らないため、洗濯表示を確認する必要があります。

また、高機能な洗濯乾燥機へ買い替えても、操作パネルが複雑で本人が使えなければ家事の自立にはつながらないため、機能数より操作の分かりやすさを優先する考え方も重要です。

  • 乾燥できる衣類を確認する
  • 操作が簡単か確認する
  • フィルターを手入れできるか見る
  • 扉へ無理なく手が届くか確認する
  • 電気代なども確認する
  • 家族が操作方法を共有する

ドラム式など形状が変わると衣類を出し入れする姿勢も変化するため、買い替え時には本人が扉を開け、洗濯物を取り出せるか実際に確認すると安心です。

干す負担をなくすために新しい負担を増やさないよう、操作、手入れ、衣類の出し入れまで含めて選びましょう。

家族で洗濯を分担する

家族が近くに住んでいる場合は、本人が洗濯機を回し、家族が訪問した日にシーツや毛布など大きな物だけを洗うように役割を分ける方法があります。

高齢者が毎日の下着やタオルまですべて家族へ任せる必要はなく、本人が安全にできる範囲を残すことで生活のリズムや家事の習慣を維持しやすくなります。

一方で、家族が毎日のように洗濯物を干すためだけに実家へ通う方法は長期間続けにくく、特定の家族へ負担が集中する可能性があります。

離れて暮らしている場合には、週末の大物洗濯だけ家族が担当し、日常の洗濯は乾燥機や生活支援を利用するなど、距離に応じて仕組みを作りましょう。

洗濯物分担の例
下着本人が少量ずつ洗う
タオル乾燥機を利用する
普段着低い物干しを使う
シーツ家族や支援を利用する
毛布家族や外部サービス
大物無理に本人が干さない

家族が手伝う場合も「危ないから何もしないで」とすべての家事を取り上げるのではなく、本人が何なら安全にできるかを一緒に考えることが大切です。

家族だけでは継続できないと感じた時点で、介護や地域の生活支援について相談することも検討してください。

訪問介護の生活援助を相談する

要介護認定を受けている高齢者などで、自分では洗濯が難しく日常生活に支援が必要な場合は、訪問介護の生活援助を利用できる可能性があります。

厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、訪問介護について、ホームヘルパーが利用者宅を訪問し、身体介護のほか掃除、洗濯、買い物、調理などの生活援助を行うサービスと案内されています。

ただし介護保険の訪問介護は家事代行サービスとは異なり、本人の日常生活上の必要性やケアプランなどに基づいて提供されるため、「家に来てもらえば家族全員の洗濯まで頼める」というものではありません。

洗濯機の操作はできるが干せない、重い洗濯かごを運べない、大物だけ扱えないなど、本人がどの工程で困っているのかを担当ケアマネジャーへ具体的に伝えると必要な支援を検討しやすくなります。

  • 洗濯機を操作できるか
  • 洗濯物を運べるか
  • 一人で干せるか
  • 取り込めるか
  • たためるか
  • 収納できるか

訪問介護では本人への援助に直接該当しない家族のための家事などは対象にならないため、サービス範囲は事業所やケアマネジャーへ確認してください。

本人ができる作業まですべて代行するのではなく、できない部分を支援して自宅生活を続けるという視点で相談することが大切です。

地域の生活支援を確認する

まだ本格的な介護が必要ではないものの洗濯などの家事が負担になっている場合は、市町村の介護予防・日常生活支援総合事業などで利用できる支援がないか確認する方法があります。

厚生労働省によると、介護予防・日常生活支援総合事業は市町村が中心となり、地域の実情に応じて住民など多様な主体が参加し、要支援者などへの支援や地域の支え合い体制づくりを進める仕組みです。

また、厚生労働省の介護予防ケアマネジメントに関する資料でも、家庭生活に関する日常活動として掃除や洗濯、ゴミ捨てなどの家事が挙げられており、家事を続けられるかどうかは高齢者の生活を考える重要な要素です。

実際に利用できるサービスや対象条件、料金などは市町村によって異なるため、本人の住所地を担当する地域包括支援センターや自治体へ問い合わせましょう。

相談先相談できる内容
地域包括支援センター高齢者の生活全般
市町村地域の生活支援制度
ケアマネジャー介護サービスの調整
社会福祉協議会地域活動などの情報
民間サービス家事支援の契約
家族大物洗濯などの分担

地域によっては住民主体の支援や有償の生活支援などが用意されている場合もあるため、「介護保険を使えないから家族が全部やるしかない」と決めつける必要はありません。

洗濯以外にも掃除や買い物が難しくなっているなら、その状況もまとめて相談すると本人に必要な支援を整理しやすくなります。

洗濯物を干せない原因を見つけよう

高齢者が洗濯物を干せなくなったときは、便利な物干しを購入する前に、どの身体動作が難しくなっているのかを確認することが重要です。

肩が上がらない人と、立っているとふらつく人、腰を曲げられない人では必要な対策がまったく異なります。

以前は問題なくできていた家事が急に難しくなった場合には、単なる加齢として片付けず、痛みや身体機能の変化がないかも確認してください。

原因を分けて考えることで、本人が続けられる作業と支援が必要な作業を判断しやすくなります。

肩や腕が上がらない

洗濯物を高い竿へ掛けるには肩を上げた状態で衣類やハンガーを操作する必要があるため、肩関節が動かしにくくなると干す作業が急に難しく感じられます。

本人が「腕に力がなくなった」と話していても、実際には力ではなく肩を動かせる範囲が狭くなり、高い位置まで手が届かなくなっている場合があります。

肩が上がらない状態で無理に高い竿を使うと、身体を反らす、横へ傾ける、つま先立ちになるなど別の動作で補おうとするため、転倒にも注意が必要です。

  • 肩より上へ手が届かない
  • 腕を上げると痛い
  • 身体を反らしている
  • 片腕だけで干している
  • 背伸びが増えた
  • 取り込みにも時間がかかる

ゆっくり進んだ変化なら物干し環境の見直しが役立つことがありますが、急に片腕が上がらなくなった場合や強い痛みがある場合は医療機関への相談も検討してください。

肩が動かないことを「運動不足」と決めつけて無理に高い場所へ手を伸ばさせず、まず安全にできる高さへ作業環境を変えましょう。

腰や膝の曲げ伸ばしがつらい

洗濯では、床に置いたかごから衣類を取る、洗濯機の奥へ手を伸ばす、干した衣類を回収するなど、何度も腰や膝を曲げる動作が発生します。

そのため、高い位置へ腕を上げられる人でも、腰痛や膝痛があると一回の洗濯だけで強く疲れることがあります。

床置きの洗濯かごを台の上へ移す、椅子へ座ってハンガーへ掛けるなど、上下方向の移動を減らすと作業を続けやすくなる場合があります。

つらい動作見直す方法
床から取るかごを高くする
前かがみ作業台を使う
長時間立つ座って準備する
膝を曲げる低い収納を避ける
洗濯機から取る姿勢を確認する
強い痛み医療機関へ相談する

洗濯物を干す作業だけを見ていると、高さの問題に気を取られますが、実際には床のかごから衣類を拾う回数のほうが負担になっている場合もあります。

洗濯開始から収納まで一連の動作を見て、腰や膝を深く曲げる場所を減らしてください。

立位や歩行が不安定になっている

立って洗濯物を干している途中でふらつく、ベランダへ出る段差で足が引っかかる、洗濯かごを持つと歩けないという場合は、干し方より歩行の安全を優先する必要があります。

杖を使っている高齢者が洗濯かごを両手で持つと杖を使えなくなり、普段より不安定な状態で移動することになります。

洗濯物を持ったまま階段を移動している場合はさらに危険が増すため、洗濯機と物干し場所を同じ階へ集約できないか検討しましょう。

  • 洗濯かごを持つとふらつく
  • ベランダの段差が怖い
  • 杖を使えなくなる
  • 長時間立てない
  • 方向転換でよろける
  • 階段移動が必要になる

本人が「まだ一人でできる」と話していても、壁や家具へ何度もつかまりながら干しているなら、安全に自立できている状態とは言いにくくなります。

転倒する前に室内干しや乾燥機、家事支援へ切り替え、本人が危険な動作を繰り返さなくても生活できる環境を作りましょう。

洗濯しやすい環境へ変えるポイント

高齢者の家事を楽にするには、本人の身体を環境へ合わせるより、環境を本人の身体へ合わせる発想が役立ちます。

洗濯物を高い竿へ干せないのであれば背伸びを練習するのではなく、竿を下げたり別の場所へ干したりするほうが安全に続けられることがあります。

また、洗濯機から物干し、取り込み、収納までの距離を短くすると、重い衣類を持って歩く回数も減らせます。

新しい用品を購入するときは便利さだけでなく、転倒や操作ミスにつながらないかまで確認しましょう。

洗濯動線を短くする

洗濯機と物干し場所が離れている住宅では、洗う作業より濡れた衣類を運ぶ作業のほうが高齢者にとって大きな負担になる場合があります。

洗濯機が一階で物干し場が二階にある場合などは、濡れた衣類を抱えて階段を移動する必要があるため、転倒予防の観点から生活動線そのものを見直す価値があります。

洗濯機の近くに室内物干しを置く、浴室乾燥を使う、普段着だけ同じ階で乾かすなど、洗う場所と乾かす場所を近づけましょう。

  • 洗濯機の近くで干す
  • 階段移動をなくす
  • 段差をまたがない
  • 収納場所も近づける
  • 重い衣類を長距離運ばない
  • 生活する階で完結させる

動線を変えるときは、物干し用品を廊下や出入口へ置いて別の転倒要因を作らないようにしてください。

「洗濯機から収納まで」を一つの動線として考え、できるだけ短く単純な経路にすると毎日の負担を減らせます。

踏み台を使わない配置にする

高齢者が高い物干し竿へ届かないからといって、踏み台へ乗って高さを補う方法は慎重に考える必要があります。

踏み台の上では床面より支持できる範囲が狭くなり、その状態で腕を上げたり洗濯物の重さに引かれたりするとバランスを崩す可能性があります。

日常的な洗濯のために毎回踏み台が必要なら、本人の身体に対して物干し位置が高すぎると考え、環境側を変えるほうが現実的です。

状態見直す内容
背伸びが必要物干しを下げる
踏み台が必要低い物干しへ変更
身体を反らす手が届く位置にする
窓枠をまたぐ室内干しを検討
腕が疲れる少量ずつ干す
ふらつく家事支援を検討

長い棒などを使って高い位置へハンガーを掛ける用品もありますが、肩や握力、バランス能力によっては操作が難しい場合があります。

道具を増やして複雑な動作を覚えてもらうより、本人が自然な姿勢で直接手を届かせられる配置を優先しましょう。

洗濯物の量を減らす

一回の洗濯量が多いと、運ぶ重量だけでなくハンガーへ掛ける回数や立っている時間も増えるため、少量ずつ洗うことで負担を分散できる場合があります。

一人暮らしの高齢者であれば、衣類やタオルを何日分もためて大きなかご一杯にしてから洗うより、本人が無理なく扱える量を基準に洗濯する方法があります。

ただし毎日洗濯機を操作すること自体が負担になる人では回数を増やすと逆効果になるため、本人の生活リズムに合わせる必要があります。

  • かご一杯までためない
  • 大物を別日にする
  • 乾燥機対応品を分ける
  • 軽い衣類を中心にする
  • 家族の訪問日に大物を洗う
  • 本人が扱える量を基準にする

衣類の種類を見直し、乾きやすく軽い普段着やタオルを選ぶことも、洗濯を続けるための小さな工夫になります。

回数と一回の量のどちらを減らしたほうが楽なのか本人へ確認し、習慣を大きく崩さない方法を選びましょう。

できない部分だけ家事支援へ任せよう

洗濯物を干せなくなったからといって、高齢者本人が洗濯に関するすべての能力を失ったとは限りません。

洗濯機のボタンを押すことはできる、乾いた衣類をたたむことはできるなど、本人が安全に続けられる作業が残っている場合があります。

できない工程だけを家族やサービスへ任せれば、本人の家事習慣を保ちながら事故につながりやすい作業を減らせます。

一方で洗濯以外の家事まで難しくなっているなら、個別の便利グッズだけではなく生活全体への支援を考えるタイミングです。

本人ができる作業を残す

家族から見ると危なっかしく感じても、本人にとって洗濯は長年続けてきた生活習慣であり、突然すべてを取り上げられることへ抵抗を感じる場合があります。

例えば高い場所へ干す作業だけを家族や支援者が担当し、洗濯機への投入、ボタン操作、衣類をたたむ作業などは本人が続ける方法があります。

厚生労働省が示す介護予防の考え方でも、掃除や洗濯などの家事は家庭生活における日常活動として位置づけられており、できる生活行為を維持する視点は重要です。

  • 洗濯機へ入れる
  • ボタンを押す
  • ハンガーを準備する
  • 衣類をたたむ
  • 引き出しへ収納する
  • 必要な衣類を選ぶ

もちろん本人の安全が優先されるため、ふらつきが強いのに「自立のため」と無理に立位作業を続けてもらう必要はありません。

安全にできる部分と危険な部分を分け、本人の希望も聞きながら役割を調整しましょう。

支援サービスの違いを整理する

高齢者の洗濯を手伝う方法には、介護保険の訪問介護、介護予防・日常生活支援総合事業など地域の支援、民間の家事代行、家族による支援など複数の選択肢があります。

介護保険の訪問介護では洗濯が生活援助として提供される場合がありますが、本人への日常生活上の援助であることなど一定の考え方に基づいて利用するサービスです。

民間サービスは介護保険外で柔軟に依頼できる場合がある一方、料金や対応範囲は事業者ごとに異なるため、継続利用するなら内容を比較する必要があります。

方法特徴
訪問介護必要性に基づく生活援助
総合事業市町村ごとに内容が異なる
地域支援地域によって利用可否が異なる
家事代行契約内容に応じて利用
家族無理のない範囲で分担
乾燥設備干す工程自体を減らせる

どれか一つだけを選ぶ必要はなく、普段着は乾燥機、シーツは家族、日常の家事は必要に応じて生活支援というように組み合わせる方法もあります。

公的なサービスは対象者や提供内容に地域差があるため、本人の住所地の地域包括支援センターや担当ケアマネジャーへ最新の利用条件を確認してください。

ほかの家事も難しければ早めに相談する

洗濯物を干せないだけでなく、掃除機をかけられない、ゴミを集積所へ運べない、買い物へ行けない、食事を作れないなど複数の家事が難しくなっている場合は、生活全体を確認する必要があります。

厚生労働省は介護予防・日常生活支援総合事業について、市町村を中心として地域の実情に応じた多様な主体による支援を充実させ、要支援者などへの効果的な支援を目指す仕組みとしています。

家族が一つずつ代行していると変化に気づきにくくなるため、「最近できなくなった家事」を書き出して相談すると必要な支援を整理しやすくなります。

  • 洗濯物を干せない
  • 掃除ができない
  • ゴミを出せない
  • 買い物へ行けない
  • 調理が難しい
  • 入浴にも不安がある

すでに要介護認定を受けている場合は担当ケアマネジャーへ伝え、まだ介護サービスを利用していない場合は地域包括支援センターへ相談する方法があります。

家事の困りごとは在宅生活を続けるうえで重要な情報なので、「洗濯くらいで相談してよいのだろうか」と遠慮せず、負担が大きくなった段階で相談しましょう。

急に洗濯できなくなったときは身体の変化にも注意しよう

高齢者が以前まで普通に行っていた洗濯を急にできなくなった場合は、年齢だけを理由にせず身体や生活の変化を確認してください。

肩や腰の痛み、筋力やバランス能力の変化だけでなく、洗濯機の操作手順が分からなくなったなど別の理由が隠れている場合があります。

家族が洗濯を代行すると表面的には困りごとがなくなるため、なぜできなくなったのかが分からないままになることもあります。

本人の安全を確保しながら、いつから、どの作業が、どの程度難しくなったのかを確認しましょう。

急な痛みや動かしにくさを確認する

昨日まで問題なく洗濯物を干していた人が突然「腕が上がらない」「腰が痛くて動けない」と話す場合は、単純に高齢だからと判断しないことが大切です。

洗濯物を干す動作は肩、肘、手首、腰、膝など多くの部位を使うため、身体のどこかに痛みや動かしにくさが生じると急に難しくなることがあります。

痛みを我慢して家事を続けると転倒したり状態を悪化させたりする可能性もあるため、強い症状がある場合は洗濯を中止して医療機関への相談を検討します。

  • 突然腕が上がらない
  • 強い肩の痛みがある
  • 腰痛で立てない
  • 片側に力が入りにくい
  • 急に歩きにくくなった
  • 普段と様子が違う

特に突然片側の手足へ力が入りにくい、言葉が出にくいなど急な神経症状がある場合には、家事環境の変更より医療的な対応を優先する必要があります。

ゆっくり進んだ変化の場合でも、痛みが続いて生活へ影響しているなら、本人が無理を続ける前にかかりつけ医などへ相談しましょう。

洗濯機の操作が難しくなっていないか見る

洗濯物を干していないため家族が身体機能の問題だと思っていても、実際には洗濯機の操作が分からず洗濯そのものを始められていない場合があります。

新しい洗濯機へ買い替えた直後なら操作方法の違いが原因かもしれませんが、長年使ってきた機械の手順を急に何度も間違えるようになった場合は生活全体の変化にも目を向けます。

洗剤を何度も入れる、洗濯済みか分からなくなる、同じ衣類を繰り返し洗うなどがあれば、本人を責めずほかの日常生活で困っていることがないか確認してください。

変化確認すること
ボタンが分からない操作を簡単にする
洗剤量を間違える計量方法を見直す
洗濯したか忘れる生活全体を確認する
衣類を放置する取り出せるか確認する
同じ物を繰り返し洗う物忘れの状況を見る
他の家事も難しい専門機関へ相談する

一つの失敗だけで認知症と判断することはできませんが、服薬、買い物、金銭管理、約束などにも変化が重なっている場合は相談するきっかけになります。

地域包括支援センターやかかりつけ医などへ、洗濯だけでなく最近の生活全体の変化を伝えましょう。

家族だけで抱え込まない

高齢の親が洗濯できなくなると、近くに住む家族が毎回洗濯物を持ち帰ったり、休日にまとめて干したりして対応することがあります。

短期間なら可能でも、週に何度も訪問する状態が続けば家族の仕事や家庭生活へ影響するため、早い段階から外部の支援を検討することが重要です。

本人が「他人を家に入れたくない」と話す場合も、いきなりすべてを任せるのではなく、家族以外の相談先を作るところから始める方法があります。

  • 家族の訪問回数を確認する
  • 誰か一人へ負担を集中させない
  • 地域包括支援センターへ相談する
  • ケアマネジャーへ状況を伝える
  • 地域の生活支援を確認する
  • 民間サービスも比較する

遠方の家族でも、自治体の制度を調べる、サービスの候補を整理する、本人と一緒に相談先へ電話するなど現地へ行かなくてもできる支援があります。

家族が限界になってから仕組みを変えるのではなく、本人がまだできることが多い段階で支援先を知っておくと、その後の変化にも対応しやすくなります。

洗濯は本人が安全にできる範囲を残して負担を減らそう

高齢者が洗濯物を干せないときは、「もう洗濯はできない」と一括りにせず、洗う、取り出す、運ぶ、ハンガーへ掛ける、干す、取り込む、たたむ、収納するという工程を分けて、どこで困っているのかを確認することが大切です。

高い物干しへ手が届かないだけなら物干し位置を下げ、ベランダへの移動が危険なら室内干しへ変更し、濡れた衣類が重いなら洗濯量を減らすなど、環境を本人へ合わせることで家事を続けられる場合があります。

一方で、ふらつきながらベランダへ出る、踏み台へ乗る、杖を使わず重い洗濯かごを運ぶといった方法は事故につながる可能性があるため、本人の自立を守ることと危険な作業を続けてもらうことを混同しないようにしましょう。

自分で行うことが難しくなった場合には、訪問介護で洗濯などの生活援助を利用できる可能性があり、市町村の介護予防・日常生活支援総合事業や地域の生活支援、民間サービスなども選択肢になるため、地域包括支援センターや担当ケアマネジャーへ現在の困りごとを具体的に伝えることが役立ちます。

洗濯物を干せないことに加えて掃除、買い物、ゴミ出し、調理なども難しくなった場合や、急に肩が上がらなくなった、歩行が不安定になった、洗濯機の操作を何度も間違えるようになったなどの変化がある場合は、家事だけの問題として終わらせず、本人がこれからも安全に自宅で暮らすために必要な支援を生活全体から見直しましょう。

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