高齢になると、これまで当たり前にできていたゴミ出しが大きな負担になることがあります。
家庭内でゴミをまとめることはできても、重いゴミ袋を持って集積所まで歩く、階段を下りる、決められた時間までに外へ出すといった一連の動作が難しくなり、「ゴミの日なのに出せない」という状況が起こることがあります。
特に一人暮らしの高齢者や高齢者だけの世帯では、家族へ毎回頼むことが難しく、無理にゴミ袋を運ぼうとして転倒したり、出せないゴミを室内やベランダへため込んだりすることにも注意が必要です。
高齢者のゴミ出しが大変になったときは、本人に頑張ってもらうだけでなく、自治体による戸別のゴミ出し支援、介護予防・日常生活支援総合事業、地域の住民主体サービス、介護保険サービス、民間サービスなど、地域で利用できる支援を確認することが大切です。
環境省も高齢化に伴って家庭から集積所までゴミを運ぶことが難しい人への対応を課題として捉え、高齢者のゴミ出し支援制度を導入する地方公共団体向けの手引きを作成しているため、まず親や本人が暮らす自治体にどのような制度があるか調べてみましょう。
高齢者のゴミ出しが大変なときの対策
高齢者がゴミ出しに困っている場合、最初に確認したいのは「ゴミ出しのどの動作が難しいのか」という点です。
重い袋を持てない人と、階段を下りられない人、収集日の朝に出すことを忘れてしまう人では必要な支援が異なります。
自治体によっては一定の条件を満たす高齢者などを対象として、自宅前などからゴミを収集する仕組みを設けている場合もあります。
家族だけで対応し続ける前に、自治体や地域包括支援センターなどへ相談し、本人の状態に合う方法を探しましょう。
自治体のゴミ出し支援を調べる
高齢者本人だけでは集積所までゴミを運ぶことが難しい場合、最初に確認したいのが住んでいる自治体のゴミ出し支援制度です。
環境省は高齢者のゴミ出し支援制度について地方公共団体向けの手引きを公開しており、高齢化や核家族化などを背景として、ゴミ出しが困難な高齢者を支援する仕組みの必要性を示しています。
実際の制度名や対象条件、収集場所、収集できるゴミの種類、申請方法などは自治体によって異なるため、「高齢者なら誰でも自宅まで回収に来てもらえる」と考えず、本人の住所地を担当する自治体へ確認することが重要です。
制度によっては要介護・要支援認定の有無、障害の有無、同居家族の状況、親族や近隣からゴミ出しの協力を得られるかなどを確認したうえで利用の可否を判断する場合があります。
- 対象となる年齢や状態
- 要介護認定などの条件
- 同居家族の条件
- 収集してもらえる場所
- 対象となるゴミの種類
- 申請方法
自治体のウェブサイトでは「高齢者 ゴミ出し支援」「ふれあい収集」「戸別収集」など異なる名称が使われていることがあるため、見つからない場合はゴミ担当部署や高齢者福祉担当部署へ問い合わせる方法があります。
本人が窓口へ行くことが難しい場合もあるため、家族やケアマネジャーなどによる相談や申請が可能か併せて確認しましょう。
玄関先から回収できる制度を確認する
集積所まで歩くこと自体が難しい高齢者には、自宅の玄関先など指定された場所からゴミを回収する支援が利用できると負担を大きく減らせます。
特に杖や歩行器を使用している人にとって、片手にゴミ袋を持ちながら屋外を歩くことは身体のバランスを崩す原因になり、雨の日や路面が滑りやすい日にはさらに危険が増します。
集合住宅でも、玄関から共用のゴミ置き場まで距離がある、エレベーターがない、途中に階段があるといった住環境では、一般的なゴミ出しが大きな負担になる場合があります。
戸別収集型の支援を利用できれば、本人が長い距離をゴミ袋を持って移動する必要がなくなるため、自宅での生活を続けるための生活支援の一つになります。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 回収場所 | 玄関前まで来るか |
| 集合住宅 | 各戸対応が可能か |
| ゴミの種類 | 何を回収するか |
| 分別 | 本人が行う範囲 |
| 収集頻度 | 曜日や回数 |
| 利用条件 | 認定などが必要か |
自治体によっては玄関の中まで取りに来るのではなく、玄関先など決められた屋外の場所へ本人がゴミを出しておく方式もあるため、身体状態に合うか確認してください。
玄関までゴミ袋を運ぶこと自体が難しい場合には、戸別収集だけで解決できないため、介護や生活支援も含めて検討する必要があります。
地域包括支援センターへ相談する
ゴミ出し以外にも買い物や掃除など日常生活で困ることが増えている場合は、親や本人が暮らす地域を担当する地域包括支援センターへ相談する方法があります。
地域包括支援センターは市町村が設置する高齢者の総合相談などを担う機関であり、2025年4月末時点で全国に5,487か所、支所を含めると7,374か所が設置されています。
「ゴミ袋を集積所まで持って行けない」という一つの困りごとでも、その背景には歩行能力の低下、階段昇降の難しさ、認知機能の変化など、別の生活課題が隠れている場合があります。
ゴミ出しだけを誰かに頼めばよいのか、それとも介護予防や介護サービスを含めた支援が必要なのか分からないときに、最初の相談先として利用できます。
- ゴミ出しが難しい
- 買い物へ行けない
- 掃除が負担になった
- 歩行が不安定になった
- 物忘れが増えた
- 一人暮らしが心配
地域包括支援センター自体が毎回ゴミを回収するサービスではありませんが、本人の状態を踏まえて地域で利用できる制度や支援について相談できます。
要介護認定をまだ受けていない高齢者でも相談できるため、家の中にゴミがたまってからではなく、本人が困り始めた段階でつながっておくことが大切です。
介護予防の生活支援を確認する
高齢者のゴミ出し支援は、自治体の清掃部門による戸別収集だけでなく、地域の介護予防や生活支援の仕組みから提供されている場合もあります。
厚生労働省の介護予防・日常生活支援総合事業は、市町村が中心となり、地域の実情に応じて住民など多様な主体が参加し、要支援者などへの支援を行う仕組みです。
地域支援事業の実施に関する厚生労働省の通知では、住民主体による訪問型サービスの生活援助の例として、買い物代行、調理、ゴミ出し、電球交換などが示されています。
つまり地域によっては、専門的な身体介護までは必要ないものの、ゴミ出しのような日常のちょっとした作業に困っている高齢者を支える活動が利用できる可能性があります。
| 支援の例 | 内容 |
|---|---|
| ゴミ出し | 集積所への運搬など |
| 買い物 | 代行などの生活支援 |
| 調理 | 必要な家事支援 |
| 電球交換 | 高所作業の補助 |
| 掃除 | 生活上必要な範囲 |
| 地域活動 | 住民主体の支え合い |
ただし、総合事業で実際にどのようなサービスを実施しているかは市町村ごとに異なり、利用対象者や料金などにも違いがあります。
本人の地域でゴミ出し支援が行われているか、地域包括支援センターや市町村の介護保険担当窓口へ問い合わせてみましょう。
ケアマネジャーへ困りごとを伝える
すでに介護保険サービスを利用している高齢者であれば、担当のケアマネジャーへゴミ出しが難しくなっていることを伝えましょう。
本人や家族にとっては「ゴミ袋を運べないだけ」と感じるかもしれませんが、生活動作の変化として見ると、以前より歩くことが難しくなった、重い物を持てなくなった、収集日を管理しにくくなったなど身体機能や認知機能の変化が関係している場合があります。
ケアマネジャーへ現在の状態を伝えれば、利用している介護サービスとの関係や、地域で利用できる生活支援について相談できます。
家族が週に何度も実家へ行ってゴミを運んでいる場合も、その負担を含めて相談することが重要です。
- いつから困っているか
- どのゴミを運べないか
- 集積所までの距離
- 階段の有無
- 歩行状態
- 家族の支援状況
介護保険の訪問介護で何でも自由に依頼できるわけではなく、本人の状態やケアプランなどに基づいて必要なサービスが検討されます。
最初から「ヘルパーにゴミを全部出してもらう」と決めるのではなく、現在の困りごとを具体的に伝えて利用可能な支援を確認しましょう。
近所の支え合いを無理なく利用する
地域によっては、自治会、ボランティア、住民主体の生活支援などを通して、ちょっとしたゴミ出しを手伝ってもらえる場合があります。
例えば隣人が自分のゴミを出すときに一緒に運ぶ程度であれば、本人が長年築いてきた近所付き合いの中で自然に助け合えることもあります。
一方で、「高齢だから近所の人が手伝って当然」と考えると特定の人へ負担が集中し、人間関係のトラブルにつながる可能性があります。
継続的な支援が必要なら個人的な善意だけへ頼るのではなく、地域の正式な生活支援や有償ボランティアなどを確認したほうが安定して利用しやすいでしょう。
| 方法 | 確認したいこと |
|---|---|
| 近隣住民 | 無理のない範囲か |
| 自治会 | 支援活動があるか |
| ボランティア | 対象や利用条件 |
| 有償支援 | 料金と対応内容 |
| 総合事業 | 自治体での実施状況 |
| 社会福祉協議会 | 地域活動の情報 |
近隣の人へ依頼する場合は、本人が支援を受けることに納得しているかを確認し、生活状況などの個人情報を必要以上に共有しないことも大切です。
地域のつながりは大きな助けになりますが、長期間必要な支援は制度やサービスも組み合わせて考えましょう。
家族で無理なく分担する
家族が近くに住んでいる場合は、買い物や訪問のついでにゴミを運ぶ方法もありますが、毎回一人の家族だけへ任せると負担が積み重なります。
可燃ゴミが週に複数回ある地域では、そのたびに仕事前や出勤途中に実家へ立ち寄る生活を続けることが難しい場合もあります。
兄弟姉妹がいるなら、大型ゴミは家族、日常の可燃ゴミは地域支援というように、必ずしも全員が同じ作業をするのではなく役割を分ける方法があります。
遠距離に住む家族も、自治体の制度を調べる、申請書類を準備する、粗大ゴミの申し込みをするなど現地へ行かなくても担当できることがあります。
- 日常ゴミの担当
- 粗大ゴミの手続き
- 自治体制度の確認
- 申請書類の準備
- ケアマネジャーとの連絡
- 定期的な生活状況の確認
家族ができることと地域サービスへ任せることを分ければ、誰か一人がゴミ出しのためだけに生活時間を大きく変える状態を避けやすくなります。
親が支援を嫌がる場合も、「家族が楽をしたいから」ではなく、安全に自宅生活を続けるための仕組みとして話し合うと受け入れられやすくなることがあります。
民間の生活支援も選択肢にする
自治体の制度を利用できない場合や、制度では対応できない作業がある場合には、民間の家事代行や生活支援サービスなどを検討する方法もあります。
民間サービスは公的制度より利用対象の自由度が高い場合がありますが、ゴミの分別、室内からの搬出、集積所までの運搬、粗大ゴミへの対応などサービス範囲は事業者ごとに異なります。
特に家庭から出る廃棄物の収集や運搬には法令上のルールがあるため、事業者へ依頼する場合は何をどこまで適法に対応できるサービスなのか確認することが重要です。
「不用品を何でも回収する」という広告だけで判断せず、自治体が案内する処分方法や許可に関する情報も確認しましょう。
| 比較項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 作業範囲 | どこからどこまで運ぶか |
| 利用料金 | 時間制か定額か |
| 利用頻度 | 定期利用できるか |
| 分別 | 対応範囲を確認 |
| 粗大ゴミ | 自治体ルールを確認 |
| 契約 | 追加料金などを確認 |
ゴミ出しだけのために高額なサービスを契約する前に、自治体、地域包括支援センター、社会福祉協議会などで利用できる地域支援がないか確認すると選択肢を整理しやすくなります。
公的制度で足りない部分だけ民間サービスへ依頼するなど、複数の方法を組み合わせることも考えられます。
ゴミ出しが大変になる原因を確認しよう
高齢者がゴミを出せなくなる背景には、単純な筋力低下だけではなく、住環境や収集ルールなどさまざまな要因があります。
本人へ「軽い袋にすれば大丈夫」と伝えても、階段そのものを下りられなければ問題は解決しません。
また、身体的には運べても収集曜日や分別方法を管理できず、結果としてゴミがたまっている場合もあります。
どこで困っているかを確認すると、必要な支援を選びやすくなります。
ゴミ袋を持って歩けない
高齢になると歩行自体はできても、重いゴミ袋を持った状態ではバランスを保ちにくくなることがあります。
普段杖を使っている人が反対の手で大きなゴミ袋を持つと、手すりを使えなくなったり、足元が見えにくくなったりして転倒の危険が高まります。
ゴミ袋の底が脚へ当たりながら歩く、大きな袋で前方が見えないといった状態も安全とはいえません。
- 杖を使っている
- 歩行器を使っている
- ふらつきがある
- 重い物を持てない
- ゴミ袋で足元が見えない
- 途中で休憩が必要になる
袋を小さくして一回の重量を減らす方法は負担軽減につながりますが、何度も往復しなければならないほど距離が長い場合には別の問題が生じます。
本人が転倒しそうになりながら続けるのではなく、集積所までの運搬そのものを支援してもらえる方法を検討しましょう。
階段や距離が負担になっている
同じ身体状態でも、玄関のすぐ前にゴミ置き場がある住宅と、階段を下りて数百メートル歩く必要がある住宅ではゴミ出しの負担が大きく異なります。
エレベーターのない集合住宅では、片手にゴミ袋を持ちながら階段の手すりを使うことが難しく、特に下り階段で危険を感じる人もいます。
戸建て住宅でも、坂道や段差が多い地域ではゴミを持った移動が負担になるため、本人の筋力だけでなく自宅から集積所までの経路を見る必要があります。
| 環境 | 負担になりやすい点 |
|---|---|
| 階段 | 手すりを使いにくい |
| 長い廊下 | 運搬距離が長い |
| 坂道 | バランスを崩しやすい |
| 段差 | つまずきやすい |
| 雨天 | 路面が滑りやすい |
| 遠い集積所 | 途中で疲れやすい |
家の中では問題なく歩いているからゴミ出しもできると考えず、実際の移動経路を家族や支援者が一緒に確認すると困りごとを把握しやすくなります。
環境上の負担が大きい場合は、玄関先からの戸別収集など移動距離そのものを短くできる支援が向いています。
収集日や分別が難しくなっている
ゴミ袋を持つ身体能力に問題がなくても、収集日を間違える、分別方法が分からない、指定袋を準備できないといった理由でゴミを出せない高齢者もいます。
特に自治体の分別ルールが細かい場合は、可燃ゴミ、不燃ゴミ、資源物など複数の曜日を管理する必要があります。
以前は問題なくできていた人が急に曜日を間違えることが増えた場合は、単にルールが複雑だからと考えるだけでなく、ほかの日常生活にも変化がないか確認しましょう。
- 収集曜日を間違える
- 分別が分からなくなる
- 指定袋を用意できない
- 同じゴミを何度もためる
- ゴミの日を忘れる
- ほかの予定も忘れる
収集カレンダーを見やすい場所へ掲示する、ゴミ箱へ種類を大きく表示するなど、本人が理解できる範囲で仕組みを簡単にすると改善する場合があります。
物忘れがゴミ出し以外の生活にも影響している場合は、地域包括支援センターや医療機関などへ相談することも検討してください。
自分で続けるならゴミを軽くして安全を優先しよう
本人がまだ自分でゴミを出せる場合は、すべてを家族やサービスへ任せるのではなく、安全に続けられるよう負担を減らす方法もあります。
ポイントは一回に運ぶ重量を減らし、両手や視界をできるだけ確保し、転倒しやすい状況を避けることです。
ただし、本人が「まだできる」と希望していても、実際には何度も転びそうになっている場合は方法の変更が必要です。
自立を守ることと危険な作業を続けることは同じではないため、本人と相談しながら負担を調整しましょう。
小さい袋でこまめに出す
大きなゴミ袋へ限界まで詰めると一袋が重くなり、高齢者が持ち上げるときや集積所まで運ぶときの負担が増えます。
自治体の指定や収集ルールの範囲内で小さめの袋を使い、一回に持つ量を減らせば、腕や腰への負担を軽くできる場合があります。
ただし、小袋にした結果として何度も集積所まで往復する必要が生じるなら、かえって歩行距離が増えるため注意が必要です。
- 詰め込みすぎない
- 持てる重さにする
- 袋を大きくしすぎない
- 足元が見える大きさにする
- 無理な往復を避ける
- 自治体の指定袋を確認する
本人が袋を持ち上げる際に息を止めたり、腰を大きく曲げたりしている場合は、袋を小さくしても負担が残っている可能性があります。
重量調整だけで安全に運べない場合は、自力でのゴミ出しにこだわらず支援を利用しましょう。
危険な移動経路を確認する
ゴミ出しの安全を考えるときは、家の玄関から集積所まで実際に歩き、危険な場所を確認することが役立ちます。
玄関の段差、外階段、道路との境目、坂道など、手ぶらなら問題なくてもゴミ袋を持つと危険になる場所があります。
特に杖を使う人では、ゴミ袋を持つことでいつもの歩行方法を保てなくなっていないかを見る必要があります。
| 場所 | 確認ポイント |
|---|---|
| 玄関 | 段差でふらつかないか |
| 階段 | 手すりを使えるか |
| 通路 | 足元が見えるか |
| 坂道 | 荷物を持って歩けるか |
| 集積所 | 出し入れしやすいか |
| 帰路 | 疲労が強くないか |
本人が「いつも行っているから大丈夫」と話していても、以前より歩行速度が遅くなったり手すりが必要になったりしていれば状況は変化しています。
定期的に実際の動作を確認し、安全性が低くなった時点で戸別収集や生活支援への切り替えを検討しましょう。
雨や暗い時間帯は無理をしない
ゴミ収集の時間が早い地域では、高齢者が朝早くから外へ出なければならないことがあります。
季節によっては周囲が暗かったり、冬場に路面が濡れていたりするため、ゴミ袋を持った歩行の危険が高まります。
「収集に間に合わせなければ」と焦って急いで歩くことも転倒につながるため、時間に余裕を持つことが重要です。
- 暗い時間を避ける
- 雨天時は足元に注意する
- 急いで歩かない
- 滑りやすい履物を避ける
- 重い袋を持たない
- 危険なら支援を頼む
自治体によってゴミを出せる時間帯のルールは異なるため、前夜から出してよいと自己判断せず地域の収集ルールを確認してください。
決められた時間帯に安全に出すこと自体が難しくなった場合は、本人の努力で対応するより自治体の支援制度を相談するほうが現実的です。
ゴミがたまり始めたら生活全体の変化を確認しよう
高齢者宅にゴミがたまっていると、家族は「片付ければ解決する」と考えがちですが、なぜ出せなくなったのかを確認することが重要です。
歩けなくなったため運べない場合もあれば、分別できない、ゴミだと判断できない、片付けそのものが難しくなっている場合もあります。
一度大量に処分しても原因が残れば再びたまる可能性があるため、本人の身体状態や生活能力を確認しましょう。
衛生状態や安全へ影響が出る前に、地域の専門機関へ相談することも大切です。
ゴミ出し以外の家事も確認する
ゴミがたまり始めた場合は、掃除、洗濯、買い物、調理などほかの家事が以前どおりできているか確認しましょう。
ゴミ出しだけが難しいのであれば集積所までの運搬支援で解決できる可能性がありますが、家全体の家事ができなくなっている場合はより幅広い生活支援が必要です。
本人が困っていることをうまく説明できない場合もあるため、家族が訪問したときに生活環境の変化を見ることが役立ちます。
- 洗濯物がたまる
- 掃除ができていない
- 冷蔵庫を管理できない
- 買い物へ行けない
- 食事を準備できない
- 郵便物がたまる
複数の生活動作が同時に難しくなっている場合は、単発のゴミ出し代行だけでは本人の困りごとを十分に支えられない可能性があります。
地域包括支援センターや担当ケアマネジャーへ生活全体の変化を伝え、必要な支援を整理しましょう。
ゴミが増えた原因を整理する
家の中にゴミが大量にある場合でも、本人が片付けを怠けていると決めつけないことが重要です。
身体機能の低下、認知機能の変化、経済的な問題、社会的な孤立など複数の事情が重なっている可能性があり、厚生労働省もいわゆるゴミ屋敷の問題に関して介護保険サービスや地域支援事業など複数の制度を活用できる場合があることを示しています。
本人がゴミだと認識しているものを運べない状態なのか、物を捨てる判断そのものが難しくなっているのかによって支援方法は異なります。
| 状態 | 考える支援 |
|---|---|
| 重くて運べない | ゴミ出し支援 |
| 歩けない | 戸別収集など |
| 分別できない | 生活支援を相談 |
| 家事全体が難しい | 介護相談 |
| 物を捨てられない | 背景を確認する |
| 生活環境が悪化 | 専門機関へ相談 |
家族が本人の留守中に大量の物を勝手に処分すると、信頼関係を損なう可能性があるため、生命や安全に関わる緊急性がない場合は本人の意思を確認しながら進めることが基本です。
家族だけで対応できない状態なら、自治体の福祉担当部署や地域包括支援センターなどへ相談しましょう。
物忘れなどの変化にも気づく
以前は収集日や分別を正しく管理できていた人が、急に何度も曜日を間違えたり、同じ種類のゴミを部屋へため込んだりするようになった場合は、生活全体の変化にも目を向けましょう。
ゴミ出しを忘れる一つの行動だけで認知症だと判断することはできませんが、服薬を忘れる、約束を何度も忘れる、支払いができないなど別の変化が重なっている場合は相談を検討するきっかけになります。
本人を問い詰めるのではなく、最近困っていることがないかを聞き、必要なら地域包括支援センターやかかりつけ医などへつなげます。
- 収集日を何度も間違える
- 分別方法が分からなくなる
- 同じ物を大量に買う
- 服薬を忘れる
- 支払いを忘れる
- 約束を繰り返し忘れる
認知機能の変化があっても、本人ができる作業まで家族がすべて取り上げる必要はありません。
分別用のゴミ箱を分かりやすくする、収集日を見やすく表示するなど、本人が続けられる部分を残しながら必要な支援を追加しましょう。
家族だけでゴミ出しを背負わない仕組みを作ろう
高齢の親のゴミ出しを家族が手伝うこと自体は自然ですが、それが毎週何度も必要になると介護負担の一つになります。
特に離れて暮らす親の場合、ゴミを出すためだけに車で長距離を移動したり、仕事の予定を変えたりする方法は長期間続けにくいでしょう。
家族が支えられる範囲を考えながら、自治体、地域、介護サービスなどを組み合わせることが重要です。
本人の状態が変化したら、以前決めた方法を固定せず支援体制を見直しましょう。
家族ができる範囲を決める
親から頼まれるたびに家族がすべて対応していると、最初は小さな手伝いでも徐々に負担が大きくなることがあります。
日常の可燃ゴミは地域の支援を利用し、家族が訪問したときには粗大ゴミや片付けを手伝うなど、家族にしかできないことへ時間を使う方法があります。
兄弟姉妹がいる場合も、近くに住む人だけへ作業を集中させず、遠方の家族が制度調査や手続きを担当すると分担しやすくなります。
- 毎週できる支援
- 月に一度できる支援
- 遠方からできる手続き
- サービスへ任せる作業
- 緊急時の担当
- 大型ゴミの担当
本人にも家族が対応できる範囲を説明し、「困ったらすべて子どもに頼む」という状態ではなく複数の支援先を持つことが大切です。
家族が疲れ切る前に仕組みを変えることは、親の在宅生活を長く支えることにもつながります。
支援方法を比較して選ぶ
ゴミ出しの支援方法には、自治体の戸別収集、地域の生活支援、介護関連の支援、家族や近隣の協力、民間サービスなどがあります。
どれが適しているかは本人の身体状態だけでなく、集積所までの距離、ゴミの量、家族との距離、利用条件などによって変わります。
一つの方法へ絞る必要はなく、普段のゴミは自治体支援、粗大ゴミは家族が手続きするなど役割を分けても構いません。
| 方法 | 向いている状況 |
|---|---|
| 自治体支援 | 集積所まで運べない |
| 地域支援 | 軽い生活援助が必要 |
| 介護相談 | 生活全体に支援が必要 |
| 家族 | 時々の作業を手伝える |
| 近隣協力 | 無理のない助け合いが可能 |
| 民間サービス | 公的支援で足りない |
料金だけでなく、週に何回必要なのか、玄関から集積所まで対応してもらえるのか、本人が安心して利用できるかも比較してください。
利用できる公的制度は地域差が大きいため、最終的には本人が住む自治体の最新情報を確認することが必要です。
状態が変わったら介護相談につなげる
最初はゴミ袋が重いことだけが問題だった高齢者でも、時間がたつにつれて買い物、調理、掃除など別の生活動作にも支援が必要になる場合があります。
家族がその都度手伝う作業を増やしていくと、本人の生活能力がどの程度変化したのか分かりにくくなるため、困りごとが増えた段階で専門職へ相談することが大切です。
厚生労働省は、高齢者が住み慣れた地域で尊厳ある自立生活を送れるよう、医療、介護、介護予防、住まい、生活支援などを地域で包括的に支える地域包括ケアシステムを推進しています。
- 歩行が不安定になった
- 買い物へ行けない
- 掃除ができなくなった
- 食事を準備できない
- 服薬管理が難しい
- ゴミが室内にたまる
このような変化が増えている場合は、ゴミ出しだけを個別に解決するより、本人が自宅で暮らすために必要な支援を全体として整理したほうがよいでしょう。
地域包括支援センターや担当ケアマネジャーなどへ相談し、本人ができることを残しながら必要な支援を組み合わせてください。
ゴミ出しの負担は地域の支援を使って減らそう
高齢者のゴミ出しが大変になったときは、「少しくらいなら本人が頑張ればよい」と考えず、まず何が難しくなっているのかを確認することが大切です。
重い袋を持てない、杖を使っているため両手を使えない、階段を安全に下りられない、集積所まで遠いといった身体や住環境の問題であれば、袋を軽くする工夫だけでは十分に解決できないことがあります。
自治体によってはゴミ出しが困難な高齢者などを対象とした戸別収集や生活支援を実施している場合があり、介護予防・日常生活支援総合事業でも地域の実情に応じて住民主体のゴミ出しなどが行われる可能性があるため、まず本人の住所地で利用できる制度を確認しましょう。
どこへ相談すればよいか分からない場合や、ゴミ出しだけでなく買い物、掃除、歩行などにも困りごとが増えている場合は、地域包括支援センターへ相談すると生活全体を踏まえた支援を検討しやすくなります。
すでに介護保険サービスを利用している人は担当ケアマネジャーへ困っている状況を伝え、家族や近隣の善意だけへ頼らず、自治体、地域、介護サービス、必要に応じて民間サービスを組み合わせることが重要です。
本人がまだ自分でゴミを出したい場合は、袋を軽くする、足元が見える大きさにする、危険な階段や坂道を確認するなど安全性を優先し、転びそうになりながら自力で続ける状態は避けてください。
また、ゴミを出せないだけでなく、分別や収集日の管理が急に難しくなった、室内にゴミがたまる、掃除や買い物もできなくなったといった変化があれば、生活全体に支援が必要になっている可能性も考えます。
家族が毎回ゴミ出しのために実家へ通う方法は短期間なら対応できても、長く続けば大きな介護負担になりやすいため、早い段階から地域に頼れる仕組みを作っておくことが大切です。
ゴミ出しは小さな家事に見えても、高齢者が自宅で生活を続けるために欠かせない作業の一つであり、できなくなったことを責めるのではなく、できる部分を残しながら難しい部分だけ支援する考え方が本人の自立にもつながります。
自治体ごとに利用条件やサービス内容は異なるため、本人が無理をして転倒したり家にゴミがたまったりする前に、自治体や地域包括支援センターへ相談し、現在の身体状態と住環境に合ったゴミ出し方法へ切り替えていきましょう。

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