高齢者がテレビのリモコンを使えない状態になると、「電源を入れられない」「チャンネルを変えられない」「音量を調整できない」といった小さな困りごとが毎日のように起こり、家族がそのたびに呼ばれることがあります。
以前は普通にテレビを操作できていたのに、最近になってリモコンを使えなくなった場合、「認知症なのではないか」と心配する家族もいますが、リモコン操作が難しくなる原因は認知機能だけではありません。
現在のテレビ用リモコンには、電源、数字、音量、チャンネルだけでなく、入力切換、番組表、録画、動画配信サービス、BS・CS、データ放送など多数のボタンが配置されているため、文字が見えにくい人や指先を動かしにくい人にとっては操作そのものが複雑になっています。
厚生労働省が過去に示した高齢者が利用しやすい商品の開発に関する資料でも、複数のリモコンから必要なものを判別すること、形が似ているボタンを区別すること、各ボタンの機能を覚えておくことなどが高齢者の困りごととして挙げられており、操作しやすいリモコンを利用するという考え方が示されています。
高齢者がリモコンを使えないときは、何度も操作方法を覚えてもらおうとするより、必要なボタンを減らす、大きな文字やボタンの製品へ替える、目印を付ける、リモコンを一つにまとめるなど、本人が迷いにくい環境へ変えることが大切です。
高齢者がリモコンを使えないときの対策
高齢者がリモコンを使えないときには、まず電源、音量、チャンネルなど、本人が日常的にどの操作を必要としているのかを確認しましょう。
テレビに付属する多機能リモコンをすべて使いこなす必要はなく、普段見る番組が決まっている人であれば、数種類の基本操作だけできれば十分な場合があります。
必要な操作を絞ったうえで、大型ボタンの簡単リモコンや目印などを利用すると、本人が自分でテレビを操作できる可能性を残しながら家族の負担も減らしやすくなります。
簡単リモコンへ替える
ボタンが多すぎて高齢者が迷っている場合には、テレビに付属しているリモコンを使い続けるのではなく、必要な機能へ絞った簡単リモコンへ替える方法があります。
実際に市販されているテレビ用の簡単リモコンには、大きなボタンを採用した製品や、地上デジタル放送を見るための操作を中心にした製品、使わないボタンを無効にできる製品などがあります。
- 電源
- 音量
- チャンネル
- 数字ボタン
- 消音
- 必要最低限の切換機能
普段テレビを見るだけの人であれば、録画や細かな設定などの機能がなくても困らないことが多く、むしろボタンが減ることで「どこを押せばよいのかわからない」という迷いを減らせます。
ただし、市販の簡単リモコンはすべてのテレビで利用できるわけではなく、メーカーや機種によって一部のボタンが動作しない場合もあるため、購入前には必ず対応メーカーや対応機種、必要な機能を確認しましょう。
大きなボタンのリモコンを選ぶ
操作するボタン自体は理解できているものの、押し間違いが増えている高齢者には、ボタンが大きく、隣のボタンとの間隔がわかりやすいリモコンが適しています。
指先を細かく動かしにくい人では、小さなボタンを狙って押したつもりでも隣の入力切換や放送切換を押してしまい、突然テレビが映らなくなったように感じることがあります。
| 困りごと | 選びたい特徴 | 期待できること |
|---|---|---|
| 押し間違える | 大型ボタン | 狙って押しやすい |
| 文字が見えない | 大きな表示 | 機能を判別しやすい |
| 手が震える | ボタン間隔が広い | 隣を押しにくい |
| 握りにくい | 持ちやすい形 | 操作を安定させやすい |
| 押したかわからない | クリック感がある | 操作を確認しやすい |
ソニーなどからも大きなボタンを特徴としたテレビ用リモコンが販売されており、大型ボタンという考え方は高齢者専用品に限らず一般的なリモコンにも取り入れられています。
本人が実物を確認できる場合には、文字の見やすさだけでなく、リモコンを片手で持てるか、必要なボタンまで指が届くか、押した感覚がわかるかまで試して選びましょう。
必要なボタンに目印を付ける
リモコンを買い替えるほどではないものの、「電源がどこかわからない」「音量とチャンネルを間違える」という場合には、必要なボタンへ目印を付けるだけでも使いやすくなることがあります。
例えば電源には赤、音量には黄色、よく見るチャンネルには青というように、本人が識別しやすい色や形で目印を付ければ、細かな文字を毎回読む必要を減らせます。
- 電源に大きな目印を付ける
- 音量へ色を付ける
- よく見る番号を目立たせる
- 不要な場所を目立たなくする
- 触ってわかるシールを使う
- 本人が理解できる表現にする
視力が低下している場合には小さな文字を書き足すだけでは見えにくいため、色の違いや凹凸のあるシールなど、本人が認識しやすい方法を選ぶことがポイントです。
ただし、目印をたくさん付けると新しい情報が増えてかえってわかりにくくなるため、まずは電源、音量、よく見るチャンネルなど数か所に絞って試しましょう。
使わないボタンを減らす
高齢者がテレビを見られなくなる原因として意外に多いのが、入力切換やBS・CSなど普段使用しないボタンを誤って押してしまい、いつものテレビ画面へ戻せなくなるケースです。
簡単リモコンの中には、特定の操作ボタンを無効にできる機種もあるため、本人が使わない機能を操作できないようにすることで誤操作を減らせる場合があります。
| ボタン | 普段の必要性 | 考え方 |
|---|---|---|
| 電源 | 高い | わかりやすく残す |
| 音量 | 高い | 大きく見せる |
| チャンネル | 高い | 操作を単純にする |
| 入力切換 | 人による | 誤操作に注意 |
| BS・CS | 人による | 使わなければ不要 |
| 詳細設定 | 低い場合が多い | 家族用に分ける |
家族が録画や設定をするときには純正リモコンを使い、本人には基本操作だけの簡単リモコンを使ってもらうというように、利用者によってリモコンを分ける方法もあります。
本人がテレビを見るために必要な操作まで無効にしてしまわないよう、普段どの機能を使っているかを数日観察してから整理すると失敗を防ぎやすくなります。
操作手順を一つに決める
同じテレビを見る場合でも、数字ボタンでチャンネルを選ぶ方法と、チャンネルの上下ボタンを何度も押す方法など複数の操作方法があると、高齢者が途中で混乱することがあります。
そのため、本人が理解しやすい一つの方法へ操作手順を統一し、家族も同じ説明を繰り返すようにすると覚えやすくなる場合があります。
- 電源を押す
- 見たい番号を押す
- 音量だけ調整する
- 終了時に電源を押す
テレビを見るだけなら複雑なメニュー画面を開く必要はなく、普段の生活に必要な操作をできるだけ少ない手順へまとめることが重要です。
紙へ説明を書く場合も「テレビを見るときは赤い電源を押す」のように本人が理解できる言葉を使い、専門用語や小さな説明を大量に並べないようにしましょう。
リモコンを一つにまとめる
テレビ、レコーダー、ケーブルテレビなど複数の機器を利用している家庭では、似た形のリモコンが何本も並び、高齢者がどれを使えばよいのかわからなくなることがあります。
厚生労働省が示した高齢者向け商品の開発事例でも、複数のリモコンの操作方法を覚えることや、必要なリモコンを判別することが困難として挙げられ、複数の機能を一台へ集約する考え方が紹介されています。
| 状態 | 起こりやすい問題 | 対策 |
|---|---|---|
| リモコンが複数 | どれか迷う | 必要数を減らす |
| 形が似ている | 取り違える | 色や置き場所を変える |
| テレビ用が不明 | 操作できない | 大きな目印を付ける |
| 操作が複雑 | 途中で混乱する | 簡単リモコンを検討 |
ただし、万能リモコンなどへまとめる場合でも、設定後のボタンが増えすぎれば高齢者にとって簡単になるとは限りません。
「一台で何でもできること」より「本人が迷わず必要なことだけできること」を優先して選びましょう。
置き場所を固定する
操作方法はわかっているのに、リモコンを毎回探している高齢者では、機器の問題より置き場所の問題を改善したほうが効果的なことがあります。
ソファの隙間や布団の中などへ入り込むと、視力が低下している人には見つけにくくなるため、テレビを見る場所から手が届く範囲に専用の置き場所を作りましょう。
- テーブルの同じ場所
- 専用リモコンスタンド
- 椅子の横の収納
- 目立つ色のケース
- ストラップで固定
- 本人が手を伸ばせる場所
市販の簡単リモコンにはストラップホールを備えた製品もあるため、紛失しやすい場合にはストラップなどを活用する方法もあります。
本人が毎回同じ椅子でテレビを見るのであれば、その場所から自然に手を伸ばしたところへ置くなど、探さなくても使える環境にすることがポイントです。
家族用の純正リモコンは別に保管する
本人には簡単リモコンを使ってもらいながら、テレビの細かな設定や録画などが必要なときだけ家族が純正リモコンを使用する方法も便利です。
高齢者本人が純正リモコンを使う必要がなければ、簡単リモコンと一緒に置いておく必要はなく、むしろ似たリモコンが二本並ぶことで迷う原因になる可能性があります。
| 利用者 | 使うリモコン | 主な用途 |
|---|---|---|
| 高齢者本人 | 簡単リモコン | 日常の視聴 |
| 家族 | 純正リモコン | 設定変更 |
| 家族 | 純正リモコン | 録画など |
| 本人と家族 | 必要に応じ使い分け | 操作を単純化 |
純正リモコンを別の引き出しなどへ保管しておけば、本人が誤って設定を変更する可能性を減らしながら、必要な機能は家族が利用できます。
ただし、簡単リモコンが故障したときなどに純正品が必要になることもあるため、処分せず家族がわかる場所へ保管しておきましょう。
リモコンを使えない原因を確認しよう
高齢者がリモコンを使えないときには、すぐに「覚えられなくなった」と考えるのではなく、どの段階で困っているのかを観察することが重要です。
ボタンの文字が見えない、指先で押せない、リモコンをテレビへ向けにくい、ボタンの意味がわからないなど、同じ「使えない」でも原因によって必要な対策は異なります。
本人へ何度も操作方法を説明する前に、身体面、見え方、機器、操作の理解という複数の視点から原因を整理しましょう。
文字やボタンが見えにくい
高齢者が「どこを押せばよいかわからない」と言っていても、実際にはボタンの文字そのものが見えていない場合があります。
テレビ用リモコンには小さな文字で多くの機能が表示されている製品があり、似た色のボタンが密集していると、見えにくさによって押し間違いが起こりやすくなります。
- 文字が小さい
- 数字を読みにくい
- 色を区別しにくい
- 暗い場所で見えない
- ボタンの境目がわからない
- 似た表示を間違える
この場合には操作方法を繰り返し説明するより、大きな文字とボタンのリモコンへ変更したり、よく使うボタンへ大きな目印を付けたりするほうが実用的です。
テレビ以外でも新聞や薬の表示、時計などが見えにくくなっている場合には、リモコンだけの問題として考えず、眼鏡が現在の見え方に合っているかなども確認しましょう。
指先で小さなボタンを押しにくい
高齢者ではボタンの場所がわかっていても、指先を正確に動かしにくかったり、手の震えや関節の痛みなどによって小さなボタンを押しにくかったりすることがあります。
高齢者向けとして開発されたテレビリモコンの中には、大型ボタンや押したことを確認しやすい構造などを採用した例もあり、身体状態に合わせて操作部分を工夫する考え方があります。
| 困り方 | 考えられる原因 | 工夫 |
|---|---|---|
| 隣を押す | 細かな操作が難しい | 大型ボタン |
| 強く押せない | 指の力が弱い | 押しやすい製品 |
| 手が震える | 位置を狙いにくい | ボタン間隔を確認 |
| 握れない | 手指の問題 | 置いたまま操作 |
卓上へ置いたままボタンを押しやすいリモコンであれば、本体を握りながら親指で操作することが難しい人にも使いやすい場合があります。
手指の痛みや震えが強くなっている場合や、リモコン以外の箸、ボタン、筆記具なども急に扱いにくくなった場合には、身体状態について医療機関へ相談することも検討しましょう。
ボタンの意味がわからなくなっている
文字は見えていてボタンも押せるのに、「どれが電源なのかわからない」「チャンネルを変えたいのに入力切換を押す」という場合には、機能の理解や選択で困っている可能性があります。
特に一つのリモコンへ数十個のボタンが並んでいると、必要な機能をその中から選び出すこと自体が負担になります。
- 電源の場所を毎回迷う
- 音量とチャンネルを間違える
- 入力切換を押して戻せない
- 不要な設定画面を開く
- 説明しても同じ場所で迷う
- 複数のリモコンを取り違える
このような場合には説明書を渡して覚えてもらうより、本人が使用する機能そのものを減らし、選択肢を少なくした環境を作るほうがわかりやすくなることがあります。
リモコン以外の日常生活でも新しい困りごとが増えている場合には、その変化も合わせて確認することが大切です。
高齢者向けのリモコンは機能の少なさを重視しよう
高齢者向けにリモコンを選ぶ場合、「高機能だから便利」という一般的な家電選びの考え方が当てはまらないことがあります。
本人がテレビの電源、音量、チャンネルしか使わないのであれば、動画配信サービスや録画など多数の専用ボタンがあってもメリットより迷いの原因になる可能性があります。
本人が実際に必要とする操作を確認し、文字、ボタン、持ちやすさ、誤操作防止、テレビへの対応状況という順番で検討すると選びやすくなります。
大きさだけでなくボタン数を見る
高齢者向けのリモコンを探すと「大きなボタン」に目が向きやすいものの、ボタンそのものが大きくても数が多ければ、目的の機能を探す負担は残ります。
そのため、本人が日常的に使う機能を先に書き出し、それ以上のボタンがどの程度必要なのかを考えて選ぶことが重要です。
- 電源が必要
- 音量調整が必要
- チャンネル変更が必要
- 数字ボタンが必要
- 入力切換が必要か確認
- 録画機能が必要か確認
毎日地上デジタル放送を見るだけなら、基本操作に絞ったリモコンが適する可能性があり、実際に地上デジタル放送視聴のボタンへ絞った市販製品もあります。
反対に録画番組や動画配信サービスを本人が日常的に利用している場合には、単純にボタンを減らすと必要な操作までできなくなるため、生活スタイルを確認して選びましょう。
誤操作防止機能を確認する
高齢者が頻繁に間違ったボタンを押してテレビを見られなくしてしまう場合には、不要な操作を無効にできるリモコンが便利です。
例えばソニーの一部の簡単リモコンには特定の操作ボタンを無効化する機能があり、ELPAの簡単テレビリモコンにも使わないボタンを無効化して誤操作を防ぐ機能を備えた製品があります。
| 機能 | メリット | 確認点 |
|---|---|---|
| ボタン無効化 | 誤操作を減らす | 対象ボタン |
| 大型ボタン | 押しやすい | 本人の指 |
| 大きな文字 | 読みやすい | 見え方 |
| ストラップ | 紛失対策 | 設置場所 |
| 卓上操作 | 握らず使える | 押した際の安定性 |
ただし、家族が勝手に多数のボタンを使えなくすると、本人が普段利用していた機能まで失われてしまう可能性があります。
どの操作で困っているのかを観察し、誤操作につながる部分だけを整理することがポイントです。
テレビとの対応を購入前に確認する
市販の簡単リモコンや汎用リモコンは多くのテレビメーカーへ対応していますが、すべてのメーカーや機種、すべての機能を操作できるとは限りません。
メーカー設定が必要な製品もあり、同じメーカーでも機種によって対応する機能が異なることがあります。
- テレビメーカー
- テレビの型番
- 対応する製造年代
- 必要な操作機能
- メーカー設定方法
- レコーダーとの対応
特にケーブルテレビのセットトップボックスやレコーダーを経由して視聴している家庭では、テレビだけに対応した簡単リモコンではチャンネルを変更できない場合があります。
購入前にテレビ本体のメーカー名と型番を確認し、製品メーカーの対応表や説明書で使用できることを確かめましょう。
認知機能の変化が気になる場合はリモコン以外も確認しよう
高齢者が今まで使えていたリモコンを使えなくなると家族は認知症を心配することがありますが、リモコンが使えないという一つの出来事だけで認知症と判断することはできません。
視力の低下、手指の動かしにくさ、テレビやリモコンを買い替えたことによる操作方法の変化など、さまざまな原因が考えられます。
一方で、以前から使っている家電の操作だけでなく、生活のさまざまな場面で以前できていたことが難しくなっている場合には、変化を記録しながら適切な相談先につなげることも大切です。
リモコンだけ使えないのか確認する
最初に確認したいのは、本人が困っているのがテレビのリモコンだけなのか、それとも日常生活のさまざまな道具の操作にも変化が出ているのかという点です。
新しいテレビへ買い替えた直後から操作できなくなったのであれば、単純にボタン配置や操作方法が変わったことが原因かもしれません。
- 電話を使えるか
- エアコンを操作できるか
- 電子レンジを使えるか
- 時計を読めるか
- いつもの家電を使えるか
- 生活手順に変化がないか
複数の家電で操作を間違えるようになったからといって直ちに認知症とは限りませんが、以前できていた生活動作の変化を把握する材料にはなります。
「できないこと」を本人へ次々と試すような確認ではなく、普段の生活の中で何に困っているのかを自然に観察しましょう。
物忘れなどほかの変化も確認する
リモコンの操作だけでなく、同じことを何度も尋ねる、約束を忘れる、慣れた作業の手順がわからなくなるなど家族が気になる変化が重なっている場合には、相談を検討してもよいでしょう。
厚生労働省は、自分や家族などについて認知症かもしれないと思われる症状に気づいたときの相談先として、地域包括支援センターなどを案内しています。
| 変化 | 確認する視点 | 対応 |
|---|---|---|
| リモコンだけ難しい | 機器や見え方 | 環境を見直す |
| 複数の家電で迷う | 以前との変化 | 生活全体を見る |
| 物忘れも増えた | 日常への影響 | 相談を検討 |
| 生活手順が変化 | 継続しているか | 専門機関へ相談 |
家族が認知症かどうかを自宅で判定しようとするのではなく、気になる出来事を具体的に整理して相談することが大切です。
「テレビの電源ボタンがわからなくなった」「以前使っていた電子レンジでも操作を迷うようになった」など、いつ頃から何が変わったかを伝えると状況を説明しやすくなります。
困りごとが増えたら相談先を利用する
リモコンだけでなく日常生活で困る場面が増え、本人や家族が不安を感じている場合には、家族だけで原因を判断せず相談窓口を利用できます。
厚生労働省が案内する地域包括支援センターでは、高齢者が住み慣れた地域で暮らせるよう保健・医療・介護に関する相談を受け、必要に応じて関係機関やサービスにつなぐ役割を担っています。
- 地域包括支援センター
- かかりつけ医
- 認知症疾患医療センター
- 自治体の高齢者相談窓口
- 担当ケアマネジャー
- 必要に応じた専門機関
特に一人暮らしの高齢者では、テレビだけでなく電話やエアコンなど生活に必要な機器まで使いにくくなると、日常生活へ与える影響が大きくなる可能性があります。
相談することと本人からすべての操作を取り上げることは別であり、本人ができることは残しながら、難しくなった部分だけ環境や支援で補うという考え方が重要です。
家族が毎回操作する前に使いやすい環境を作ろう
高齢者がリモコンを使えなくなると、家族が代わりにチャンネルや音量を変更することが増えますが、毎回代わりに操作することだけが解決方法ではありません。
電源だけ押せる、チャンネルだけ選べるなど本人に残っている能力を確認し、その部分を生かせるようリモコンやテレビ周辺の環境を整えることも大切です。
特に家族と離れて暮らしている高齢者では、電話で操作方法を何度も説明しなくても自分でテレビを見られる状態を作ることが本人と家族双方の負担軽減につながります。
説明書は短く大きく作る
操作方法を忘れる高齢者のために説明書を置く場合には、テレビの取扱説明書をそのまま渡すのではなく、本人が必要とする操作だけを書いた簡単なメモを用意すると使いやすくなります。
一枚の紙に多数の手順を書くと読む場所を見失いやすいため、基本操作を数項目に絞り、文字を大きくしてリモコンの近くへ置きましょう。
- テレビをつける
- 番組を変える
- 音を大きくする
- 音を小さくする
- テレビを消す
「入力切換」「地上デジタル」のような機器側の名称より、本人が普段使っている「テレビをつける」「音を大きくする」といった表現のほうが理解しやすい場合があります。
説明書を作ったら家族が見せるだけで終わらせず、本人に実際に操作してもらい、どの説明で迷うのかを確認して修正しましょう。
テレビ周辺の物を整理する
テレビの前に複数のリモコン、新聞、眼鏡、電話などさまざまな物が置かれていると、必要なリモコンを探すだけでも負担になります。
本人がテレビを見る場所を基準として、簡単リモコンを決まった位置へ置き、家族しか使わないリモコンは別の場所へ移動すると選択肢を減らせます。
| 物 | 置き方 | 目的 |
|---|---|---|
| 簡単リモコン | 本人の手元 | すぐ操作する |
| 純正リモコン | 別の場所 | 誤操作を減らす |
| 説明メモ | 見やすい位置 | 手順を確認する |
| 眼鏡 | 定位置 | 表示を見やすくする |
| 不要な機器 | 整理する | 迷いを減らす |
特にテレビとレコーダーのリモコンが似ている場合には、本人が使用する一本だけを手元に置く方法がわかりやすくなります。
環境を整理した後は置き場所を頻繁に変更せず、毎日同じ場所から取って同じ場所へ戻せるようにしましょう。
本人ができる操作は残す
リモコン操作を間違えるようになると、家族は「触らないほうがいい」と考えてすべて代わりに操作したくなることがあります。
しかし、電源や音量など本人が理解できる操作まで取り上げる必要はなく、難しい部分だけを減らして自分でできる操作を残すという方法があります。
- できる操作を確認する
- 必要な機能だけ残す
- 失敗しやすい機能を減らす
- 本人が使いやすい位置へ置く
- 同じ操作方法を続ける
- 状態変化に応じて見直す
例えば入力切換だけを頻繁に間違える人なら、入力切換を無効化できる簡単リモコンへ替えることで、電源やチャンネル操作は本人に続けてもらえる可能性があります。
「すべてできるか、すべて家族がするか」という二択ではなく、本人ができる範囲と環境で補える範囲を組み合わせて考えましょう。
必要な機能だけに絞って自分でテレビを楽しめる環境にしよう
高齢者がリモコンを使えないときには、「操作を覚えられなくなった」と決めつけず、文字が見えないのか、小さなボタンを押しにくいのか、必要なボタンを多数の選択肢から見つけられないのか、複数のリモコンを取り違えているのかを一つずつ確認することが大切です。
ボタンが多すぎる場合には基本操作へ絞った簡単リモコンへ替え、文字が見えにくい場合には大きな文字やボタンを選び、押し間違いが多い場合には不要なボタンを無効化するなど、困っている原因に合わせて環境を変えると操作しやすくなる可能性があります。
また、リモコンを買い替えなくても、電源や音量へ大きな目印を付ける、本人が使うリモコンを一本だけにする、置き場所を固定する、短く大きな文字で操作方法を書くといった工夫から始められます。
市販の簡単リモコンを購入する場合には、大型ボタンという表示だけで判断せず、ボタン数、文字の大きさ、誤操作防止機能、卓上での押しやすさ、ストラップの有無などを確認し、何より本人のテレビメーカーや機種に対応しているかを購入前に確かめましょう。
リモコンだけが難しい場合には機器や見え方、手指の動きなどが影響している可能性がありますが、以前使えていた複数の家電を操作できなくなったり、物忘れや生活手順の変化など家族が気になることが重なったりしている場合には、かかりつけ医や地域包括支援センターなどへ相談する方法があります。
家族が毎回テレビを操作するより、本人が必要とする電源、音量、チャンネルなどを自分で操作できる環境を作ることを目標にし、できない機能を増やさないことよりも、迷わず使える機能を残すという視点でリモコンとテレビ周辺を整えていきましょう。


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