ASdR4oKGvvYDZkNBO7Ph8S3Ns7B70lWSajNnuXfUuZ4

高齢者が水分補給を忘れるときの対策|飲むタイミングを決めて脱水を防ごう!

暮らしの工夫
※イメージとして作成した画像です

高齢の親や家族と暮らしていると、「朝からほとんど水を飲んでいない」「水分を取るよう伝えても忘れてしまう」「のどは渇いていないと言って飲みたがらない」と心配になることがあります。

高齢者が水分補給を忘れる背景には、単純な物忘れだけではなく、加齢によってのどの渇きを感じにくくなること、トイレへ行く回数を増やしたくないこと、飲み物を取りに行くこと自体が負担になっていることなど、さまざまな理由があります。

厚生労働省は熱中症予防のため、室内でも屋外でも、のどの渇きを感じていなくてもこまめに水分を補給するよう呼びかけています。特に高齢者は暑さや水分不足に対する感覚機能が低下しやすく、本人が「大丈夫」と感じていても、水分補給を意識する必要があります。

ただし、水分を忘れるからといって、一度に大量の水を飲ませればよいわけではありません。起床時、食事、服薬、入浴、就寝など、毎日の生活動作と水分補給を結び付け、少量ずつ無理なく飲める仕組みを作ることが大切です。また、心臓や腎臓などの病気によって水分量を調整している人は、一般的な目安ではなく医師から指示された量を優先する必要があります。

ここでは、高齢者が水分補給を忘れるときに取り入れやすい対策から、水を飲まなくなる理由、飲み物の選び方、一人暮らしの場合の工夫、脱水や熱中症が疑われるときに注意したい症状まで詳しく整理します。本人へ何度も「水を飲んで」と注意するだけではなく、自然に水分を取れる生活の仕組みを考えていきましょう。

高齢者が水分補給を忘れるときの対策

高齢者が水分補給を忘れる場合は、本人がのどの渇きを感じてから飲む方法だけに頼らず、「いつ飲むか」を生活の中に組み込むことが基本です。厚生労働省も、のどの渇きを感じなくてもこまめに水分を補給することを熱中症予防として案内しています。

例えば起床後、朝食、午前のおやつ、昼食、午後のおやつ、入浴前後、就寝前など、普段必ず行う行動と組み合わせれば、飲み忘れを減らしやすくなります。本人の手が届く場所へ飲み物を置くことも重要です。

一方で、必要な水分量は体格、食事、気温、活動量、病気、服薬などによって変わります。水分制限を受けている人は自己判断で量を増やさず、医師の指示を確認してください。

飲む時間を決める

水分補給を忘れる高齢者には、「のどが渇いたら飲む」という方法より、毎日決まった時間や行動の前後に飲む仕組みが向いています。高齢になるとのどの渇きを感じにくくなる場合があるため、本人の感覚だけに任せていると、長時間何も飲まない状態が続く可能性があるためです。

東京都の熱中症対策情報でも、高齢者はのどの渇きに気づきにくく、毎日決まったタイミングで水分を摂取する習慣をつけるよう声をかけることが示されています。朝から夜まで均等に機会を作り、一度にまとめて飲もうとしないことがポイントです。

タイミング習慣にする例
起床後朝の一杯を用意する
朝食時食事と一緒に飲む
午前休憩時に飲む
昼食時食事と一緒に飲む
午後おやつと一緒に飲む
入浴前後入浴とセットにする
就寝前寝る準備とセットにする

「10時になったから飲んで」と時間だけで覚えてもらうことが難しい場合には、「朝の薬を飲んだら」「テレビの昼番組が始まったら」「おやつを食べるとき」など、本人が普段行っている動作へ結び付けると分かりやすくなります。

ただし、飲む時間を細かく決めすぎると本人や家族の負担になります。最初は起床後、食事時、入浴前後など忘れにくいタイミングから始め、無理なく続けられる習慣を作りましょう。

飲み物を目につく場所へ置く

高齢者が水分を取らない理由が「忘れること」であれば、飲み物が視界に入る環境を作るだけでも思い出すきっかけになります。冷蔵庫の中に飲み物が十分入っていても、本人が冷蔵庫まで行かなければ水分補給にはつながりません。

普段長く過ごす椅子やテーブルの近くなど、本人が手を伸ばしやすい場所へ飲み物を準備しましょう。二階建ての住宅なら、階段を上り下りして飲み物を取りに行かなくても済むよう、生活する場所ごとに準備する方法もあります。

  • 食卓の上
  • いつもの椅子の近く
  • ベッドの近く
  • テレビを見る場所
  • 薬を飲む場所
  • 外出用バッグの中

ペットボトルを置く場合は、本人がふたを開けられるかも確認してください。握力が弱くなっている人では、「飲み物は目の前にあるのに開けられない」ということがあります。扱いやすいボトルやコップを選ぶなど、飲むまでの動作を簡単にすることが大切です。

また、転倒しやすい人では飲み物を取りに行く回数を減らすことが安全面でも役立ちます。水分補給を促すことと同時に、本人が無理なく飲める位置まで環境を整えましょう。

一度にたくさん飲ませない

朝から水分を取っていなかったことに家族が気づくと、「今のうちにたくさん飲んで」と一度に大きなコップで飲ませたくなることがあります。しかし、一度に多量の飲み物を出すと、本人が負担に感じてかえって飲みたがらなくなる場合があります。

水分補給を習慣化するなら、長時間飲まずに過ごした後でまとめて取るのではなく、日中に複数回の機会を作るほうが続けやすくなります。厚生労働省も熱中症予防では「こまめな水分補給」を呼びかけています。

続きにくい方法見直し方
大きなコップを出す小さめの容器も試す
まとめて飲ませる回数を分ける
飲み切るまで待つ無理強いしない
水だけを出す好みも確認する
思い出した時だけ促すタイミングを決める

「コップ一杯を全部飲まなければ意味がない」と考えるより、本人が無理なく続けられる量を何度か取る仕組みにすることが大切です。飲み切ることを強く求められると、水分補給そのものを嫌がるようになる可能性もあります。

なお、具体的にどれくらい飲むべきかは本人の健康状態によって異なります。特に心臓や腎臓などの病気で水分量について指示を受けている人は、一般的な目安より医師の指示を優先してください。

本人が好きな飲み物も取り入れる

「水を飲んで」と勧めてもなかなか飲まない高齢者でも、麦茶など本人が普段から好んでいる飲み物なら自然に手を伸ばすことがあります。水分補給を続けるには、栄養面だけでなく「本人が飲みたいと思えるか」という視点も重要です。

冷たい飲み物が苦手な人には常温や温かい飲み物を試すなど、温度を変えるだけで飲みやすくなる場合があります。反対に暑い時期には、適度に冷えた飲み物のほうが好まれることもあります。

  • 水
  • 麦茶
  • 本人が好むお茶
  • 汁物
  • 牛乳などの飲料
  • 水分を含む食品

ただし、糖分や塩分を多く含む飲料を日常的に大量摂取することは別の問題につながる可能性があります。スポーツドリンクなどについても、暑いからという理由だけで毎日の飲み物として大量に取るのではなく、本人の病気や食事内容も考える必要があります。

飲み物の種類について制限を受けている場合は医師や管理栄養士などへ相談し、その範囲で本人が続けやすいものを選びましょう。

食事と一緒に水分を取る

水分補給を単独の行動として覚えることが難しい人でも、毎日の食事と組み合わせれば習慣にしやすくなります。朝食、昼食、夕食のたびに飲み物を一緒に出せば、少なくとも一日の中で水分を取る機会を複数回作ることができます。

また、水分は飲料だけから取るものではありません。汁物や水分の多い食品など、食事からも水分を取っています。そのため食事量そのものが減っている高齢者では、食事から得られる水分も少なくなっている可能性があります。

食事場面工夫
朝食飲み物を一緒に出す
昼食汁物なども活用する
おやつ飲み物とセットにする
夕食食卓へ飲み物を置く
服薬時必要な水分を準備する

食事のたびに飲み物を出していても、実際にはほとんど口を付けず残していることがあります。家族が準備した量ではなく、本人が実際にどの程度飲んでいるかを見ることも大切です。

食欲も水分摂取量も一緒に低下している場合や、急に食事を取れなくなった場合は、単なる飲み忘れと決めつけず体調の変化にも注意しましょう。

声かけの内容を簡単にする

家族が水分不足を心配すると、「今日は全然飲んでいないからもっと飲まないと脱水になるよ」と何度も説明してしまうことがあります。しかし、本人によっては長い説明よりも、「お茶にしよう」「今、一緒に飲もう」と具体的に声をかけたほうが行動につながりやすい場合があります。

特に物忘れがある人では、「さっきも飲むように言ったでしょう」と注意しても、本人にはその記憶が残っていないことがあります。忘れたことを責めるのではなく、その都度飲み物を見せながら自然に促すほうが負担を減らせます。

  • 一緒に飲もうと誘う
  • 飲み物を見せる
  • 選択肢を少なくする
  • 飲み切ることを強制しない
  • 忘れたことを責めない
  • 決まった言葉で促す

家族自身がお茶を飲む時間に本人にも用意する方法なら、水分補給だけが特別な介護行為になりにくく、本人も受け入れやすいでしょう。

毎回強く拒否する場合には、単に頑固だからと考えず、トイレへの不安、飲み込みにくさ、味の好みなど、飲みたくない理由を確認することが重要です。

目盛り付きの容器で量を見えるようにする

家族が「今日はどれくらい飲んだのだろう」と分からなくなる場合には、一日の水分摂取状況を大まかに把握できる仕組みを作ると便利です。例えば本人専用のボトルを用意すれば、残量から飲んだ量を確認しやすくなります。

ただし、一日の必要量すべてを大きなボトルへ入れて「今日中にこれを全部飲んで」と渡す方法は、本人にとって負担になる場合があります。大きく重い容器は持ちにくく、量を見るだけで飲む気を失う人もいます。

方法特徴
専用ボトル残量を確認しやすい
小さめのコップ負担感を減らしやすい
水分記録表家族で共有しやすい
冷蔵庫のメモ飲んだ回数を残せる
チェック表習慣化に利用できる

本人が自分で記録できるなら、飲んだ後に印を付ける方法もあります。記録が難しい人なら、家族や介護者が確認した範囲だけ記録する方法でも構いません。

数字を厳密に管理することが目的ではなく、「午前中だけほとんど飲んでいない」などの傾向を見つけ、飲み忘れが起こりやすい時間帯を改善するために活用しましょう。

タイマーや家族からの連絡を活用する

一人で過ごす時間が長い高齢者では、家族がそばで声をかけられないため、タイマーや時計のアラームを水分補給のきっかけとして利用する方法があります。スマートフォンを使える人なら、決まった時刻に通知を設定することもできます。

ただし、アラームが鳴っても何の合図か分からなければ意味がありません。「10時のアラームが鳴ったらテーブルのお茶を飲む」など、行動までセットにして本人と共有しておくことが重要です。

  • 時計のアラーム
  • スマートフォンの通知
  • 家族からの電話
  • 見守り端末の呼びかけ
  • 冷蔵庫のメモ
  • テレビ番組を目安にする

機械の操作が苦手な人なら、複雑なアプリを導入するより家族から決まった時間に電話するほうが分かりやすい場合があります。「お昼を食べた?」という確認と一緒に「飲み物も飲もうね」と伝える方法なら生活確認も兼ねられます。

本人の認知機能が低下し、電話やアラームによる指示を理解することが難しい場合には、通知だけに頼らず、訪問を含めた見守り方法を検討する必要があります。

高齢者が水分を取らなくなる理由を知ろう

水分補給を忘れる高齢者へ対策を考えるときは、「忘れっぽくなったから」と一つの理由だけで判断しないことが重要です。本人が意識的に水分を控えていたり、飲みたくても飲めない事情があったりする場合があります。

環境省の熱中症予防対策ガイダンスでは、高齢者が脱水になりやすい背景として、のどの渇きを自覚しにくいことや体内の水分量に関係する変化などが示されています。また、トイレの回数を減らしたいという理由から水分摂取を控えるケースにも注意が必要です。

理由が分かれば、「もっと飲んで」と繰り返す以外の対策を考えやすくなります。

のどの渇きを感じにくくなる

高齢者では、若い頃と比べてのどの渇きに気づきにくくなることがあります。そのため、家族から見ると長時間飲んでいない状態でも、本人は「のどは渇いていないからいらない」と答えることがあります。

厚生労働省も、高齢者は暑さや水分不足に対する感覚機能が低下しているため注意が必要としています。

  • のどが渇いていないと言う
  • 飲み物を勧めても断る
  • 暑さをあまり感じない
  • 長時間飲まなくても気にしない
  • 飲み物を自分から取りに行かない

この場合は、本人が「飲みたい」と感じるのを待つより、決まったタイミングで少量ずつ取る習慣を作ることが大切です。厚生労働省も、のどの渇きを感じなくてもこまめな水分補給をするよう呼びかけています。

特に暑い季節は室内にいても熱中症になる可能性があります。エアコンを使っているから大丈夫と考えず、水分補給と室温管理の両方を意識しましょう。

トイレへ行きたくない

高齢者が水分を意識的に控える理由として見逃せないのが、トイレへの不安です。「飲むとトイレが近くなる」「夜中に何度も起きたくない」「歩いてトイレへ行くのが大変」と考え、水分を減らしている場合があります。

特に歩行が不安定な人や尿漏れを心配している人では、水分補給を勧めるだけでは解決しません。

本人の不安確認したいこと
トイレが遠い移動動線を見直す
夜間が怖い照明や手すりを確認
立ち上がれない便座周辺を見直す
尿漏れが心配医療・介護職へ相談
回数が多い必要に応じて受診

本人が水分を減らしてまでトイレを避けているなら、トイレまでの移動や排泄環境を改善することが水分補給の対策になります。

頻尿などの症状が強く生活へ影響している場合は、本人の判断で水分を極端に控えるのではなく、医療機関へ相談しましょう。

飲み込みにくさがある

水やお茶を飲むと頻繁にむせる高齢者では、「飲むと苦しい」という経験から水分を避けることがあります。この場合は飲み忘れではなく、飲み込みにくさが水分摂取を妨げている可能性があります。

むせが頻繁にある場合に、家族が「少しずつなら大丈夫」と自己判断して無理に飲ませることは避けましょう。

  • 水でよくむせる
  • 飲んだ後にせき込む
  • 声が変わることがある
  • 食事でもむせる
  • 飲むことを嫌がる
  • 食事時間が長くなった

飲み込みの状態によっては、飲み物の形態や姿勢などについて専門的な調整が必要になることがあります。医師、歯科医師、言語聴覚士などへ相談し、本人に合った方法を確認してください。

むせがある人へ自己判断でとろみを付ければ必ず安全になるというわけでもありません。適切な状態は人によって異なるため、専門職の評価を受けることが重要です。

飲みやすい環境を作ると水分補給を続けやすい

高齢者が水分補給を忘れる場合には、本人の記憶力だけに頼らない環境づくりが役立ちます。「覚えておいてね」と伝えるより、座っている場所から飲み物が見える、簡単に容器を開けられる、持ちやすいコップを使える状態にしたほうが行動につながりやすくなります。

特に手の力が弱い人、歩行が不安定な人、物忘れがある人では、「冷蔵庫からペットボトルを出して、ふたを開けて、コップへ注ぐ」という一連の動作が想像以上の負担になることがあります。

飲み物の種類だけでなく、飲むまでに必要な動作を一つずつ確認しましょう。

持ちやすい容器を選ぶ

高齢者が飲み物を取らないときには、コップやボトルが本人に合っているかも確認しましょう。握力が弱くなっている人では、大きく重いマグカップを持ち上げにくい場合があります。

反対に軽すぎて倒しやすい容器や、表面が滑りやすいコップが使いにくい人もいます。

  • 持ちやすい重さ
  • 握りやすい形
  • 滑りにくい
  • 倒れにくい
  • 洗いやすい
  • 本人が扱いやすい容量

手指に痛みや変形がある人なら、取っ手の形によっても使いやすさが変わります。本人が実際に持ち上げ、口元まで運べるか確認しましょう。

飲み物をこぼすことが増えたからといって、水分を控えさせるのではなく、容器や姿勢を見直すことが大切です。

飲み物を取りに行く負担を減らす

足腰が弱くなった高齢者では、のどが渇いていても冷蔵庫まで歩くことを面倒に感じ、水分を取らない場合があります。特に居間と台所が離れている住宅や、寝室が別の階にある住宅では移動そのものが負担になります。

普段過ごす場所の近くへ飲み物を置き、本人が立ち上がって長い距離を歩かなくても水分を取れる環境にしましょう。

生活場所工夫
居間テーブルへ飲み物を置く
寝室手の届く場所へ用意
二階飲み物を別に準備
外出時携帯できる容器を用意
食卓食事前に準備する

飲み物を置く場所では、本人が手を伸ばした際に身体を大きく傾けなくても取れることも確認してください。水分補給のために転倒してしまっては意味がありません。

飲み物を常温で長時間置く場合には衛生面にも注意し、食品や飲料の保存方法を守りましょう。

家族で水分補給を共有する

複数の家族で高齢者を見守っている場合には、「誰かが飲ませただろう」と考え、実際には長時間水分を取っていなかったということがあります。反対に、それぞれが何度も水分を勧めて本人が嫌になってしまうこともあります。

簡単な記録を共有すれば、どの時間帯に飲んだかを把握しやすくなります。

  • 朝の水分を記録する
  • 昼の状況を共有する
  • 訪問介護時の様子を確認する
  • 飲めなかった理由を書く
  • 体調の変化も残す
  • 家族間で確認する

記録は細かいミリリットルまで毎回測る必要があるとは限りません。「朝は飲めた」「昼はほとんど飲めなかった」などの簡単な情報でも、傾向を見つける材料になります。

医療・介護職へ相談するときにも、いつ頃から飲む量が減ったのか、食事量も減っているのかといった情報があると状況を伝えやすくなります。

一人暮らしの高齢者は見守りと組み合わせよう

一人暮らしの高齢者が水分補給を忘れる場合は、飲み物を用意するだけでなく、実際に飲めているかを確認する仕組みも考える必要があります。家族と同居していれば食事や会話の際に気づけますが、一人暮らしでは水分不足が続いていても周囲が把握しにくいためです。

特に暑い時期は、水分補給に加えて室温管理も重要です。厚生労働省は熱中症について、屋外だけでなく室内で何もしていないときにも発症することがあるとしており、高齢者には特に注意を呼びかけています。

本人ができることを尊重しながら、電話、訪問、介護サービスなど必要な範囲で見守りを組み合わせましょう。

電話で飲んだか確認する

電話を問題なく使える高齢者なら、家族から決まった時間に連絡する方法が取り入れやすいでしょう。「水を飲んだ?」と確認するだけでなく、「今、一緒にお茶を飲もう」など行動につながる声かけにすると分かりやすくなります。

電話する時間を毎日ある程度固定すれば、本人も生活のリズムとして覚えやすくなります。

  • 朝に一度確認する
  • 昼食後に電話する
  • 暑い日は回数を見直す
  • 室温も確認する
  • 食事の様子を聞く
  • 体調の変化を確認する

電話で「飲んだ」と答えていても、物忘れがある場合には実際の状況と一致しない可能性があります。飲水状況を正確に把握する必要がある状態なら、電話確認だけで十分かを見直しましょう。

連絡が取れない場合に誰が様子を見に行くのかも、家族間で決めておくと安心です。

一日分を分かりやすく準備する

本人が自分で飲み物を準備することは難しいものの、置いてあれば飲める場合には、家族が訪問した際に飲みやすい状態まで準備しておく方法があります。

重要なのは、本人が「どれを飲めばよいか」「どうやって開けるか」で迷わないことです。

困りごと準備の例
ふたを開けられない扱いやすい容器を選ぶ
飲み物を探せない置き場所を固定する
飲んだか忘れる簡単な記録を使う
冷蔵庫へ行けない手元へ準備する
重い容器を持てない小分けにする

ただし、一日分の飲料を机の上へ置いたとしても、それだけで飲んだことにはなりません。夕方にほとんど残っているようなら、準備方法だけでは不十分です。

自分から水分を取ることが難しくなっている場合は、訪問回数や介護サービスなどを含めて見守り体制を検討しましょう。

暑い時期は室温も確認する

夏場の高齢者の水分不足を考えるときは、水分補給だけでなく暑さを避けることも重要です。厚生労働省は熱中症予防として、こまめな水分補給とともに、エアコンなどを利用して暑さを避けることを呼びかけています。

高齢者では暑さを感じにくくなり、家族が訪問すると室内がかなり暑いのに本人は「暑くない」と話すこともあります。

  • 室温を確認する
  • エアコンを適切に使う
  • 温湿度計を見やすくする
  • 飲み物を手元へ置く
  • カーテンなどで日差しを調整する
  • 家族が定期的に連絡する

エアコンのリモコン操作が難しくなっている場合は、家族が外出前に設定するなど本人の操作負担を減らす方法を考えます。

水分をほとんど取れず、暑い室内で一人で過ごしている状態なら、単なる飲み忘れとして様子を見ず、本人の体調確認を優先してください。

飲めない状態や体調の変化があれば早めに対応しよう

高齢者が水分補給を忘れること自体は生活上の工夫で改善できる場合がありますが、すでに体調へ変化が出ている場合には注意が必要です。厚生労働省は熱中症の症状として、めまい、立ちくらみ、手足のしびれ、頭痛、吐き気、倦怠感などを挙げています。

さらに、返事がおかしい、意識を失う、けいれんするといった状態は重い熱中症で見られることがあります。自力で水が飲めない、意識がない場合には、無理に口から水を飲ませるのではなく救急要請が必要です。

「いつもの飲み忘れだろう」と考えず、普段と違う様子がないかを確認しましょう。

普段と違う症状を見逃さない

高齢者では、本人が体調不良をうまく説明できない場合があります。そのため、「のどが渇いたと言っていないから脱水ではない」と判断せず、家族から見て普段と違う様子がないか確認することが大切です。

厚生労働省では、熱中症で見られる症状としてめまい、立ちくらみ、頭痛、吐き気、倦怠感などを案内しています。

  • めまいがする
  • 立ちくらみがある
  • 気分が悪い
  • 頭痛がある
  • 吐き気がある
  • 強い倦怠感がある

これらの症状が暑い環境で見られた場合には、涼しい場所へ移動する、身体を冷やすなど適切な対応を行い、状態を確認します。

本人の持病や体調によっても似た症状が起こることがあるため、症状が強い場合や判断に迷う場合は医療機関などへ相談してください。

自力で飲めない場合は無理に飲ませない

体調が悪い高齢者を見つけると、家族は「とにかく水を飲ませなければ」と考えがちです。しかし、意識状態がおかしい人や自分で水を飲めない人へ無理に飲ませることは危険です。

厚生労働省は、熱中症が疑われる人が自力で水を飲めない場合や意識がない場合には、すぐに救急車を呼ぶよう案内しています。

状態対応の考え方
会話できる状態を確認する
暑い場所にいる涼しい場所へ移す
身体が熱い身体を冷やす
自力で飲めない無理に飲ませない
意識がおかしい救急要請を考える
意識がない救急車を呼ぶ

意識がはっきりしない状態で口へ水を流し込むと、誤って気管へ入る危険があります。「水分不足なら水を飲ませればよい」と単純に考えないことが重要です。

重い症状が見られる場合は、家庭で飲水量を調整する段階ではありません。速やかに必要な救急対応へつなげてください。

水分制限がある人は医師の指示を優先する

一般的な熱中症対策ではこまめな水分補給が勧められますが、すべての高齢者が同じ量を飲めばよいわけではありません。心臓や腎臓などの病気によっては、水分や塩分の摂取について個別の指示を受けている場合があります。

厚生労働省の高齢者向け熱中症対策資料でも、水分や塩分の摂取量については、かかりつけ医から指示がある場合にはその指示に従うことが示されています。

  • 水分制限を受けている
  • 塩分制限を受けている
  • 心臓の病気がある
  • 腎臓の病気がある
  • 利尿薬などを使用している
  • 医師から飲水量の指示がある

暑いからと家族の判断で水分や塩分を大幅に増やしたり、スポーツドリンクや経口補水液を日常的に大量に飲ませたりすることは避けましょう。

「暑い日の水分量をどうすればよいか分からない」という場合は、普段診てもらっている医師や医療職へ相談し、本人に合った方法を確認してください。

水分補給を生活習慣にして高齢者の飲み忘れを減らそう

高齢者が水分補給を忘れるときは、「水を飲むことを覚えておいてもらう」だけではなく、忘れても自然に水分を取れる環境を作ることが大切です。起床後、食事、おやつ、入浴前後、就寝前など普段の行動と飲水を組み合わせ、本人が長く過ごす場所へ飲み物を準備すれば、のどの渇きを感じるまで待たずに水分を取る機会を作れます。

また、水分を取らない理由も確認しましょう。単純に忘れている場合だけでなく、トイレへ行く回数を増やしたくない、冷蔵庫まで歩くのが大変、ペットボトルのふたを開けられない、水やお茶でむせるなど、本人なりの理由が隠れていることがあります。原因に合わない声かけを何度繰り返しても改善しにくいため、飲むまでの一連の動作を見ることが重要です。

一人暮らしの高齢者なら、電話や訪問による確認も組み合わせましょう。特に暑い時期は水分補給だけでなく室温管理も必要です。厚生労働省が案内しているように、熱中症は屋外だけではなく室内でも起こるため、エアコンなどを適切に使い、のどが渇いていなくてもこまめに水分を取る習慣を作ることが大切です。

一方で、水分量は全員に共通するものではありません。心臓や腎臓などの病気で水分・塩分について指示を受けている人は、一般的な目安ではなく、かかりつけ医の指示を優先してください。また、水分を飲むたびにむせる、急に飲めなくなった、食事も取れなくなったといった変化があれば、飲み忘れだけの問題と考えず専門職へ相談しましょう。

高齢者の水分補給で目指したいのは、家族が一日中「水を飲んで」と言い続ける状態ではありません。本人が扱いやすい容器を選び、目につく場所へ飲み物を置き、生活の節目で自然に飲める仕組みを整えることで、本人にも家族にも負担の少ない習慣にできます。普段の飲み方と体調を確認しながら、無理なく続けられる水分補給の方法を整えていきましょう。

\ 最新情報をチェック /

コメント

トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました