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高齢者が洗濯機を使えないときの対策|操作を簡単にして無理のない洗濯方法へ変えよう!

暮らしの工夫
※イメージとして作成した画像です

高齢者が洗濯機を使えない状態になると、家族は「今まで普通に洗濯していたのに、なぜ急にできなくなったのだろう」と心配になることがあります。

しかし洗濯は、衣類を集める、洗濯槽へ入れる、洗剤を量る、電源を入れる、コースを選ぶ、スタートする、終了後に取り出す、干すという複数の工程から成り立っているため、視力や手指の動かしやすさ、筋力、記憶力などが変化すると、一部の工程だけ難しくなることがあります。

特に新しい洗濯機は便利な機能が増えている一方で、コース、自動投入、予約、乾燥、すすぎ、脱水など多くの表示が並ぶ機種もあり、日常的には標準コースしか使わない高齢者にとって操作の選択肢が多すぎる場合があります。

厚生労働省の認知症に関する作業療法資料でも、洗濯機の操作が分からず混乱する場合の工夫として、使わないボタンを隠す、使うボタンを目立たせる、押す順番に数字を付けるといった方法が示されており、本人へ複雑な操作を覚えてもらうだけでなく環境を分かりやすく変える視点が重要です。

ここでは、高齢者が洗濯機を使えないときにできる具体的な対策から、操作できなくなる原因、洗濯機を選び直すポイント、洗濯物を取り出して干す工程の負担軽減、訪問介護などを利用する考え方まで、本人の自立を残しながら安全に洗濯を続ける方法を整理します。

高齢者が洗濯機を使えないときの対策

高齢者が洗濯機を使えない場合には、最初から「もう洗濯は任せられない」と判断するのではなく、どの工程で困っているかを確認することが大切です。

電源やスタートボタンが分からないだけなら表示を工夫することで使える場合があり、洗剤量が分からないなら計量方法を簡単にすることで負担を減らせる可能性があります。

反対に、水を含んだ洗濯物を持ち上げられない、洗濯物を何度も入れたまま忘れるなど、操作以外の問題が重なっている場合には洗濯という家事全体を見直す必要があります。

本人ができる部分は残しながら、難しい判断や身体的な負担だけを減らすという考え方で対策を組み合わせましょう。

標準コースだけを使う

高齢者が洗濯機の操作で迷う場合には、日常的に使用するコースを一つに決め、基本的には同じ手順で洗濯できるようにすると分かりやすくなります。

現在の洗濯機には、おしゃれ着、毛布、つけおき、すすぎ一回、槽洗浄など複数のコースを備えた製品がありますが、普段着や下着、タオルなどを洗うことが中心なら、毎回すべての選択肢から本人に選んでもらう必要はありません。

家族が「これは毛布用」「こちらはおしゃれ着用」と全機能を説明すると、本人にとって覚える情報が増えてしまい、以前できていた標準的な洗濯まで難しくなる場合があります。

まずは電源を入れ、普段使用するコースを確認し、スタートするという日常の流れを固定すると、操作のたびに考えることを減らせます。

  • 普段使うコースを決める
  • 不要な設定を触らない
  • 毎回同じ順番にする
  • 特殊な洗濯は家族が行う
  • 洗濯量も大きく変えない
  • 操作後の確認方法を決める

ただし衣類によっては洗濯表示に従った扱いが必要なので、すべての衣類を同じ方法で洗えるとは限りません。

本人が普段洗う衣類をできるだけ扱いやすい物へそろえ、特別な洗濯が必要な衣類は家族が訪問したときに洗うなど役割を分けると、本人の日常操作を簡単にできます。

使うボタンを目立たせる

洗濯方法は理解しているものの、操作パネルの文字が小さくて電源やスタートの位置を見つけられない場合には、普段使用するボタンを目立たせる方法があります。

厚生労働省の認知症に関する作業療法資料では、洗濯機の操作が分からなくなる場合の工夫として、使わないボタンを隠し、使用するボタンを蛍光色などで目立たせる方法が示されています。

例えば電源ボタンに一つ目の目印、スタートボタンに二つ目の目印を付ければ、文字を細かく読まなくても位置を手がかりに操作できる場合があります。

一方で操作パネル全体へ色違いのシールや説明文を大量に貼ると、情報量が増えてかえって迷う可能性があるため、目印は本当に必要な場所へ限定することがポイントです。

困りごと工夫
電源が分からない目印を付ける
スタートを迷う色で区別する
文字が小さい大きな表示を付ける
不要な機能を押す使わない部分を隠す
順番を忘れる番号を付ける
毎回迷う操作を固定する

目印を付ける場合にはメーカーが表示している安全上の注意事項を隠したり、操作や開閉の妨げになったりしないようにしてください。

家族が貼って終わりにするのではなく、本人に一人で操作してもらい、その目印を実際に手がかりとして使えるか確認しましょう。

押す順番に番号を付ける

一つ一つのボタンは理解できても、どの順番で操作すればよいか分からなくなる高齢者には、押す場所へ番号を付ける方法があります。

厚生労働省の資料でも、洗濯機の操作が分からなくなる場合には、押す順番に数字を貼る方法が紹介されています。

例えば普段使用する洗濯方法に合わせて「1 電源」「2 必要な操作」「3 スタート」のようにすれば、本人が次に何をすればよいか判断する負担を減らせます。

操作パネルに直接多くの説明を書き込むより、必要最小限の数字と洗濯機の横に置いた簡単な手順表を組み合わせると、表示がごちゃごちゃしにくくなります。

  • 一番目を明確にする
  • 順番を固定する
  • 番号を大きくする
  • 説明文を短くする
  • 不要な工程を加えない
  • 本人と一緒に試す

ただし洗濯物の種類によって毎回異なる設定を本人に選んでもらう必要があると、番号を付けても操作が複雑になるため、本人が扱う洗濯物の種類そのものを整理することも有効です。

番号を何個も覚えなければならない状態になった場合は、さらに操作の少ない洗濯機へ替えることも検討しましょう。

手順表を洗濯機の近くに置く

家族が何度説明しても洗濯機の使い方を忘れてしまう場合には、普段行う洗濯だけを対象にした手順表を作って洗濯機の近くへ置く方法があります。

取扱説明書には多くの機能が掲載されているため、必要な情報を自分で探すことが難しい高齢者には、「洗濯物を入れる」「洗剤を入れる」「電源」「スタート」のように本人の行動を短く書いた専用の手順表が適しています。

本人が文字を読みづらい場合は文字を大きくし、操作パネルへ付けた色や番号と同じ表示を手順表でも使うと、どのボタンを操作するのか対応させやすくなります。

また、「洗濯が終わったらふたを開ける」「洗濯物を取り出す」など、運転開始後の行動まで含めておくと洗濯物の放置を防ぐ手がかりにもなります。

手順表示例
1洗濯物を入れる
2洗剤を入れる
3電源を入れる
4いつものコースにする
5スタートする
6終わったら取り出す

手順表を作成するときは、実際の機種の取扱説明書を確認して正しい操作順に合わせる必要があります。

説明を書き足すほど使いやすくなるとは限らないため、本人が途中で迷う場所を確認し、できるだけ短い手順で完了できるよう調整してください。

洗剤を入れやすくする

洗濯機のボタンは操作できても、洗剤をどの程度入れればよいか分からなくなり、洗剤を極端に多く入れたり入れ忘れたりすることがあります。

液体洗剤を使用する場合には、洗濯物の量や洗剤製品の表示、洗濯機の表示などに従って適量を判断する必要があるため、この計量作業そのものが高齢者の負担になる場合があります。

本人が毎回同程度の量を洗濯する家庭なら、家族が使用している洗剤と洗濯機に合わせて分かりやすい方法を決め、計量容器の必要な位置を目立たせるなど判断を減らす工夫ができます。

また、洗剤や柔軟剤の自動投入機能を備えた洗濯機であれば日々の計量を減らせる場合がありますが、補充やタンクの手入れなど別の管理が必要になることも理解しておかなければなりません。

  • 使う洗剤を一種類にする
  • 計量方法を固定する
  • 適量の位置を目立たせる
  • 柔軟剤を必須にしない
  • 自動投入も検討する
  • 補充は家族が支援する

洗剤を大量に入れてしまう人に大容量容器をそのまま渡すことが不安なら、家族が管理方法を見直し、本人が迷わない形で必要な量を使える環境を作ることが大切です。

どの程度使用するかは洗剤や機種によって異なるため、家族の感覚だけで決めず、それぞれの製品表示や取扱説明書を確認してください。

一回の洗濯量を減らす

洗濯機を操作できないように見えても、実際には洗濯物が多すぎて運ぶことや取り出すことが負担になっている場合があります。

厚生労働省の介護作業に関する資料でも、洗濯では水を含んで重くなった洗濯物の入れ替えや持ち運び、干す作業、取り込む作業などが身体的な負担になることが示されています。

数日分を一度に洗濯すると、洗濯槽から大量の衣類を取り出し、かごへ入れて物干し場まで運ぶ必要があるため、筋力やバランス能力が低下した高齢者には負担が大きくなります。

洗濯する曜日を増やして一回の量を減らしたり、大きなシーツや毛布は家族が担当したりすれば、本人が扱う重量を減らせます。

負担工夫
衣類が重い一回量を減らす
かごを運べない移動距離を短くする
シーツが大きい家族が担当する
毛布を扱えない別の方法を利用する
洗濯物がたまる曜日を決める
干すのが大変乾燥方法を見直す

一回量を減らすと洗濯回数は増えるため、本人が毎日の操作を負担に感じる場合には必ずしも適した方法ではありません。

操作回数と一回当たりの身体負担のどちらが本人にとって大きいかを見ながら、無理のない頻度を決めましょう。

簡単な洗濯機へ買い替える

現在の洗濯機が多機能で操作パネルも複雑な場合には、普段使う操作が分かりやすい機種へ買い替えることで、本人が再び洗濯できる可能性があります。

高齢者向けという名称だけで探すのではなく、電源とスタートの位置が見つけやすいか、標準的な洗濯までに何回操作する必要があるか、文字を本人が読めるかという実際の使い方で比較することが重要です。

また、縦型とドラム式では洗濯物を出し入れする姿勢が異なり、本体サイズや投入口の高さも製品ごとに違うため、操作パネルだけで選ぶと別の負担が生じることがあります。

家族にはタッチパネルが分かりやすくても、本人には押した感覚がある物理ボタンのほうが使いやすい場合があり、反対に大きな画面表示が適している人もいます。

  • 電源が見つけやすい
  • スタートが分かりやすい
  • 標準操作が少ない
  • 文字を読みやすい
  • 洗濯物を取り出しやすい
  • 本人が慣れやすい

買い替えると以前の操作方法が使えなくなるため、長年同じ洗濯機を使っていた人では新機種に変更したこと自体が混乱につながる可能性もあります。

可能であれば購入前に本人へ操作部を見てもらい、普段の洗濯を想定して電源からスタートまで進められるか確認しましょう。

危険がある場合は一人で使わせない

操作を簡単にしても、洗濯機へ不適切な物を入れる、洗濯が終わったことを理解できない、水漏れなどの異常へ対応できないといった状態がある場合には、一人で使用する方法そのものを見直す必要があります。

本人の自立を尊重することは重要ですが、本人ができなくなった部分を環境で補える段階なのか、家族や介護サービスなどによる支援が必要な段階なのかを分けて考えることが大切です。

例えば電源ボタンを見つけられないだけなら目印が役立つ可能性がありますが、洗濯物ではない物を洗濯槽へ入れて運転してしまう場合には、単なる表示の問題ではありません。

また、洗濯機の周囲が濡れていても気づかない、ふらつきながら重い洗濯かごを運ぶなどの状態があるなら、家事を継続できるかだけでなく事故の予防も優先します。

状態対応の目安
ボタンだけ迷う表示を工夫する
順番を忘れる手順を固定する
洗剤量を迷う計量を簡単にする
取り出せない身体負担を減らす
危険な誤操作がある単独使用を見直す
生活全体に変化がある相談先を利用する

洗濯を任せない判断をする場合にも、本人の衣類が清潔に保たれる代替手段を同時に用意する必要があります。

家族が定期的に洗濯する、訪問介護について相談する、民間の家事支援を利用するなど、本人の生活状況に合う方法へ切り替えましょう。

洗濯機を使えない原因を確認しよう

高齢者が洗濯機を使えないときに、すぐ認知症や年齢の問題と決めつけることは適切ではありません。

小さな文字を読めない、指先でボタンを押しにくい、洗濯槽の底へ手が届かない、新しい機種の操作に慣れていないなど、身体や環境の問題でも洗濯は難しくなります。

一方で、長年使用していた洗濯機なのに急に操作方法が分からなくなり、電話や服薬、買い物などほかの日常生活にも変化が現れている場合には、家電の問題だけとして扱わないことも大切です。

本人が実際に洗濯している様子を確認し、どこで作業が止まるのかを一つずつ整理しましょう。

操作パネルが見えにくい

洗濯機の操作パネルには、電源、スタート、一時停止、コース、洗い、すすぎ、脱水、予約など多くの文字が並んでいるため、視力が低下すると必要な表示を見つけにくくなります。

特に洗面所や脱衣所は居間より照明が暗いこともあり、昼間は操作できても夜には表示を読めないといった状況も考えられます。

まず本人が普段洗濯する場所と時間帯で、電源やスタートの文字を読めるか、液晶の数字を確認できるかを見てください。

  • 電源表示を読めるか
  • スタートを見つけられるか
  • 液晶数字を確認できるか
  • コース名を区別できるか
  • 十分な照明があるか
  • 眼鏡を使っているか

見えにくさだけが問題なら、大きな目印や照明の改善で操作しやすくなる可能性があり、洗濯機をすぐ買い替える必要がない場合もあります。

洗濯機以外でも新聞、薬の表示、時計などが急に見えにくくなっているなら、必要に応じて眼科など医療機関への相談も検討しましょう。

身体への負担が大きい

高齢者が「洗濯機を使えない」と話していても、実際にはボタンではなく洗濯物を持ち上げたり取り出したりする動作が難しくなっていることがあります。

厚生労働省の介護作業に関する資料でも、洗濯では水を含んだ洗濯物の持ち運びや入れ替え、干す作業などが身体的負担になる要因として示されています。

縦型洗濯機では槽の底にある小さな衣類を取るために身体を前へ倒す必要があり、身長や腕の長さ、腰の状態によっては取り出すことが難しくなります。

難しい動作確認すること
衣類を運ぶ洗濯かごの重さ
槽へ入れる投入口の高さ
底から取る腕が届くか
かごへ移す腰への負担
物干し場へ運ぶ移動距離
衣類を干す竿の高さ

洗濯機だけを簡単な製品へ替えても、取り出しや持ち運びができなければ洗濯という家事を一人で完了することはできません。

本人がどの工程まで無理なくできるかを確認し、重い物だけ家族が担当するなど部分的に支援する方法も考えましょう。

操作手順を忘れている

長年同じ洗濯機を使用していたにもかかわらず、突然電源の入れ方が分からない、何度説明してもスタートできないという変化が続く場合には、記憶や認知機能を含めた生活全体の状態を確認することが大切です。

ただし、一度洗濯機を使えなかったという事実だけで認知症と判断することはできず、視力の低下、体調不良、機種変更、操作パネルの故障などさまざまな原因を考える必要があります。

注目したいのは洗濯以外にも以前できていたことが難しくなっているかという点で、服薬、金銭管理、電話、買い物、調理など複数の生活場面で変化が続いていないか確認します。

  • 長年の操作を忘れる
  • 何度説明しても迷う
  • 洗濯済みか分からない
  • 同じ衣類を何度も洗う
  • ほかの家電でも迷う
  • 生活全体に変化がある

本人へ「認知症だからできない」と決めつけて指摘すると不安や反発につながることがあるため、「最近洗濯で困ることはないか」という具体的な生活上の困りごとから確認するとよいでしょう。

複数の変化が続いて心配な場合には、かかりつけ医や地域包括支援センターなどへ相談し、家族だけで判断しないことが大切です。

高齢者が使いやすい洗濯機を選ぼう

洗濯機を買い替える場合は、高機能であることより本人が日常的な洗濯を少ない操作で行えることを優先しましょう。

家族にとって便利なスマートフォン連携や多数の自動コースも、本人が利用しないのであれば選択肢を増やして操作を複雑にする可能性があります。

一方で洗剤の自動投入や乾燥などは本人の負担を減らせることもあるため、単純に機能が少ない製品だけを探すのではなく、本人が行う作業を減らせる機能かどうかで判断することがポイントです。

操作パネルだけでなく、投入口の高さ、扉の開け方、洗濯物の取り出しやすさまで確認してください。

操作パネルの分かりやすさを見る

高齢者向けの洗濯機選びでは、普段使用する電源、スタート、コースなどの表示を本人が見つけやすいかを確認することが重要です。

ボタン数が少なければ必ず簡単とは限らず、一つのボタンを何度も押して機能を切り替える方式より、目的のボタンが独立しているほうが分かりやすい人もいます。

反対に多くの物理ボタンが並んでいると混乱する人には、大きな画面で必要な操作が表示される方式のほうが適している場合もあります。

  • 電源を見つけやすい
  • スタートが目立つ
  • 文字を読みやすい
  • 標準コースが分かりやすい
  • 不要な表示が多すぎない
  • 以前の操作に近い

可能であれば本人に展示品などを見てもらい、「普段の服を洗うならどう操作するか」を実際に確認すると、家族だけで選ぶより適性を判断しやすくなります。

買い替え後には操作方法が変わるため、新しい製品の設置日に家族が一緒に何度か洗濯し、必要な目印や手順表を整えましょう。

出し入れのしやすさを見る

洗濯機は操作できても、洗濯槽から衣類を取り出せなければ高齢者が一人で洗濯を完了することはできません。

縦型洗濯機では上から衣類を出し入れし、ドラム式では前方から出し入れするため、腰や膝、腕の状態によって楽に感じる方式が異なります。

そのため「高齢者には縦型がよい」「ドラム式がよい」と一律に決めず、本人が洗濯物を持った状態で無理のない姿勢を取れるかを確認してください。

確認項目見るポイント
投入口衣類を入れやすい
槽の深さ底へ手が届く
扉無理なく開閉できる
操作部自然に手が届く
設置場所身体を動かせる
洗濯かご近くへ置ける

特に小柄な人が深い縦型洗濯機を使う場合には、槽の底にある靴下などへ手が届くかを購入前に確認しておくことが重要です。

不安定な踏み台へ乗って洗濯物を取り出す方法は転倒につながる可能性があるため、本人の身体に合わない高さの製品を無理に使わせないようにしましょう。

負担を減らす機能を選ぶ

高齢者向けでは機能を減らすことばかり考えがちですが、本人が苦手な作業を自動化できる機能なら、多少高機能でも家事の負担を軽減できる可能性があります。

例えば洗剤の計量が難しい人には自動投入、洗濯物を干すことが難しい人には乾燥機能などが役立つことがあります。

一方で自動投入では洗剤タンクへの補充や手入れ、乾燥機能ではフィルターなどの手入れが必要になる機種もあるため、便利な機能にも管理作業が伴うことを考えておかなければなりません。

  • 自動投入
  • 乾燥機能
  • 分かりやすい自動コース
  • 終了通知
  • 槽洗浄機能
  • 手入れしやすい構造

本人が日々の運転だけ担当し、洗剤の補充やフィルターの手入れを家族が定期訪問時に担当するなど、機能に合わせて役割分担を決める方法もあります。

便利さの数ではなく、本人が苦手としている工程を実際に減らせるかを基準に機能を選びましょう。

洗濯物を運んで干す負担も減らそう

高齢者の洗濯では、洗濯機の操作よりも洗濯後の衣類を取り出し、運び、干し、乾いた後に取り込む工程が大きな負担になることがあります。

厚生労働省の介護作業に関する資料でも、洗濯では水を含んだ洗濯物の持ち運びや干し作業などが身体的負担となり、洗濯物の量や物干し竿の高さなどが負担要因になり得ることが示されています。

そのため洗濯機を使えるようにするだけではなく、洗濯開始から収納までの一連の動線を確認することが重要です。

特に転倒が心配な高齢者では、重いかごを持って段差や階段を移動する生活になっていないか確認しましょう。

洗濯かごを軽くする

濡れた衣類を一つの大きな洗濯かごへ詰め込むと重量が増え、高齢者が持ち上げたり運んだりする負担が大きくなります。

一回の洗濯量を減らす、小さく軽いかごを使う、洗濯機と物干し場所の距離を短くするなど、持ち運ぶ重量と距離を同時に減らすことが有効です。

取っ手が持ちにくいかごや深すぎるかごでは衣類を取り出すときにも身体を大きく曲げる必要があるため、本人が扱いやすい形状を選びます。

  • 一回量を減らす
  • 軽いかごを使う
  • 持ち手を確認する
  • 深すぎるかごを避ける
  • 移動距離を短くする
  • 階段を避ける

洗濯物を持って歩くと両手がふさがり、ふらついたときに手すりを使えなくなることもあるため、歩行が不安定な人では運搬方法そのものを見直す必要があります。

キャスター付きの道具などを検討する場合にも、床の段差や敷物へ引っ掛からないかを確認し、本人の住環境に合わせて選びましょう。

物干し竿を低くする

洗濯物を干すために毎回腕を頭より高く上げている場合には、物干し竿の高さが本人に合っているか確認してください。

厚生労働省の資料でも、洗濯作業の負担要因として物干し竿の高さが高いことが挙げられており、高い場所へ衣類を掛け続ける作業は身体的な負担になります。

特に肩を上げにくい人やバランスに不安がある人が、背伸びをしたり踏み台へ乗ったりして干す環境は見直す必要があります。

現在の負担見直し方
竿が高い高さを下げる
背伸びが必要手の届く位置にする
踏み台を使う床から作業できるようにする
ベランダが遠い室内干しも検討する
衣類が重い一回量を減らす
肩がつらい乾燥方法を変える

室内物干しを利用する場合にも、歩行する場所へ大きく張り出して転倒の原因にならないよう配置に注意してください。

昔から同じ高さで干している家庭でも、本人の身体状態は変化するため、現在の身長や腕の上げやすさに合わせて物干し環境を調整しましょう。

乾燥機能を活用する

洗濯機の操作はできるものの、洗濯物を干すことが大きな負担になっている場合には、衣類乾燥機や乾燥機能付き洗濯機を利用する方法があります。

乾燥まで機械で行えれば、濡れた衣類を物干し場まで運び、一枚ずつハンガーへ掛け、高い位置へ干す工程を減らせます。

一方で、衣類によって乾燥機を使用できない場合があり、フィルターなどの手入れも必要になるため、すべての洗濯物を本人の判断なしに乾燥できるとは限りません。

  • 干す作業を減らせる
  • 運搬距離を短くできる
  • 天候の影響を受けにくい
  • 衣類表示の確認が必要
  • フィルター管理が必要
  • 本人の操作確認が必要

本人が乾燥可能な衣類を判断することが難しい場合には、家族が衣類を扱いやすい物へ整理したり、乾燥を利用する物と利用しない物を分けたりする工夫が必要です。

乾燥機能を追加する目的は新しい機能を覚えてもらうことではなく、本人が負担に感じている干す工程を安全に減らすことだと考えましょう。

洗濯を一人で続けるのが難しいときは支援を使おう

洗濯機を使えない状態が続き、衣類がたまる、同じ服を何日も着る、洗濯済みと汚れた衣類を区別できないといった問題が生じているなら、家族だけで操作を教え続ける以外の方法も考える必要があります。

介護保険の訪問介護では、本人の日常生活を営むために必要で一定の条件を満たす場合、生活援助として洗濯などが位置付けられることがあります。

ただし家族分の洗濯など本人の日常生活の援助に直接該当しない行為は対象にならない場合があり、希望する家事を何でも介護保険で依頼できるわけではありません。

本人の状態や世帯状況によって利用できる支援が異なるため、ケアマネジャーや地域包括支援センターなどへ具体的な困りごとを伝えて相談しましょう。

家族で役割を分ける

高齢者が洗濯のすべてを一人でできなくなっても、本人ができる工程まで家族がすべて取り上げる必要はありません。

例えば本人は衣類を洗濯機へ入れて運転し、重い洗濯物を取り出して干す作業だけ家族が担当するなど、難しくなった部分に合わせて役割を分ける方法があります。

離れて暮らしていて頻繁に訪問できない場合には、シーツや毛布など大きな物を家族の訪問日にまとめて洗い、本人には軽い普段着だけを任せる方法も考えられます。

  • 本人は普段着を洗う
  • 家族は大物を担当する
  • 洗剤補充は家族が行う
  • 手入れを家族が行う
  • 衣類を整理する
  • 無理な工程だけ代行する

家族が全部行うほうが早い場合でも、本人が安全にできる家事を続けることが生活の習慣につながっていることもあるため、本人の希望を確認して役割を決めましょう。

一方で本人が危険な操作を繰り返している場合には、自立を優先しすぎず安全な方法へ切り替える必要があります。

訪問介護を相談する

介護が必要な高齢者では、訪問介護の生活援助として洗濯の支援を受けられる場合があります。

厚生労働省の資料では生活援助に洗濯が含まれ、洗濯機または手洗いによる洗濯だけでなく、洗濯物の乾燥、取り入れ、収納なども洗濯に関する行為として示されています。

ただし介護保険による生活援助は、本人の日常生活に必要な支援であることなどの条件があり、家族の衣類をまとめて洗うといった本人以外への家事を自由に依頼する制度ではありません。

相談したい内容相談先の例
洗濯ができないケアマネジャー
介護サービス未利用地域包括支援センター
身体状態が変化したかかりつけ医
家事支援を増やしたいケアマネジャー
保険外支援も使いたい民間サービスなど
生活全体が心配地域包括支援センター

すでに要介護認定を受けている人は、担当ケアマネジャーへ「洗濯機の操作ができなくなった」「洗濯物を干せなくなった」など具体的に伝えると必要な支援を検討しやすくなります。

サービスの利用可否や範囲は個別の状況によって異なるため、自己判断で利用できると決めず、現在のケアプランや本人の状態を踏まえて相談してください。

生活全体の変化を相談する

洗濯機が使えないことに加えて、電子レンジや電話などほかの家電操作も難しくなる、薬を飲み忘れる、同じ物を何度も買う、ゴミ出しができなくなるなどの変化が重なっている場合には、洗濯だけを個別に解決するのではなく生活全体を確認することが重要です。

一方で、新しい洗濯機へ交換した直後に使えなくなった場合や、操作パネルの文字だけが見えない場合には、単純に機器や環境が本人へ合っていない可能性もあります。

以前との違いがいつから始まり、洗濯以外の生活にも広がっているかを家族が記録しておくと、医療機関や介護の相談先へ状況を伝えやすくなります。

  • ほかの家電も使えない
  • 服薬ミスが増えた
  • 買い物で迷う
  • 同じ衣類を繰り返し洗う
  • 汚れた服を放置する
  • 金銭管理にも変化がある

本人へ病気を決めつけるように話すのではなく、「最近家事で大変なことが増えていないか」「洗濯のどこが一番困るか」と具体的な困りごとから話を始めるとよいでしょう。

家族だけでは判断しにくい場合には、かかりつけ医や地域包括支援センターなどへ相談し、本人ができる生活を維持するためにどのような支援が必要か一緒に考えてもらいましょう。

洗濯機の操作より毎日の清潔を無理なく保つことを優先しよう

高齢者が洗濯機を使えないときには、何度も同じ操作を覚えてもらうことだけを目標にせず、まず電源が分からないのか、操作順を忘れるのか、洗剤を量れないのか、洗濯物を取り出せないのかを確認し、本人が困っている工程に合わせて対策することが大切です。

操作が原因なら、普段使うコースを一つに絞る、使用するボタンを目立たせる、押す順番に番号を付ける、大きな文字の手順表を置くといった工夫によって、現在の洗濯機を使い続けられる可能性があり、本人に多くの機能を覚えてもらうより環境を本人へ合わせる視点が役立ちます。

買い替えが必要な場合も単純にボタン数が少ない機種を選ぶのではなく、電源やスタートを見つけやすいか、本人が文字を読めるか、洗濯槽へ手が届くか、扉を無理なく開閉できるかまで確認し、洗剤の自動投入や乾燥機能についても本人の苦手な工程を減らせる場合に活用しましょう。

さらに洗濯は機械を動かして終わりではなく、水を含んだ衣類を取り出し、かごで運び、高い場所へ干し、乾いた衣類を取り込むところまで続くため、一回量を減らす、軽いかごを使う、物干し竿を低くする、乾燥機能を利用するなど、身体的な負担や転倒につながる動作も一緒に見直す必要があります。

操作を簡単にしても一人での洗濯が難しい場合や、ほかの日常生活にも変化が広がっている場合には、家族だけで抱え込まずケアマネジャーや地域包括支援センターなどへ相談し、訪問介護や家事支援も含めて本人が清潔な衣類で生活できる仕組みを作ることを優先しましょう。

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