高齢者がファスナーを上げられないときの対策|引き手の工夫から着やすい服の選び方まで紹介!

暮らしの工夫
※イメージとして作成した画像です

高齢の親が上着を着るときにファスナーを上げられず、外出の準備に時間がかかってしまうことはありませんか。

以前は簡単に閉められていたジャンパーやカーディガンでも、年齢を重ねて指先の力が弱くなったり、手指の関節が動かしにくくなったりすると、小さな引き手をつまむ動作や左右の金具を合わせる動作が難しくなる場合があります。

特に前開きの上着では、ファスナーを上へ引っ張るだけでなく、最初に左右の部品を正しい位置へ差し込み、片方の裾を押さえながら引き上げる必要があるため、片手が使いにくい人や手指に震えがある人にとって負担になりやすい動作です。

しかし、ファスナーを上げられないからといって、すぐに家族がすべて着せる必要はなく、引き手を大きくする、服の裾を安定させる、椅子に座って操作する、留め具の種類を変えるなど、本人ができる動作を増やす工夫があります。

大切なのは、引き手をつかめないのか、最初の差し込みができないのか、途中で引っかかるのかを見極めることであり、困っている工程に合わせた対策を選ぶことで、着替えの負担を減らしながら安全に身支度を続けやすくなります。

高齢者がファスナーを上げられないときの対策

高齢者がファスナーを上げられない場合には、最初にどの操作が難しいのかを確認し、その工程を簡単にする方法から試すことが大切です。

引き手をつまむことが難しい人には大きなリングや補助具が役立つ場合がありますが、左右の金具を差し込めない人では、引き手だけを変更しても問題が解決しないことがあります。

また、ファスナーそのものが傷んでいたり、衣服の生地が引っかかっていたりする場合には、本人の力の問題ではなく、修理や服の交換が必要になる可能性もあります。

ここでは、家庭で取り入れやすい工夫から衣服の変更まで、負担を減らすための九つの方法を紹介します。

引き手を大きくする

ファスナーの小さな引き手をつまめない高齢者には、指を掛けやすい大きな引き手へ変更したり、専用の補助パーツを取り付けたりする方法が役立ちます。

一般的な衣服のファスナーには細い金属製の引き手が付いていることがあり、指先の力が弱い人や関節に痛みがある人では、つまんだ状態を保ちながら上へ動かすことが難しい場合があります。

例えば冬用のジャンパーを着るときに、何度も引き手をつかみ直している人なら、指を通せるリング状の補助具を取り付けることで、細かなつまみ動作を減らせる可能性があります。

引き手を選ぶ際には、大きさだけでなく、指が滑りにくい形状か、手のひらでも力を伝えられるか、本人が使いやすい方向へ引けるかを確認することが重要です。

  • 指を通せるリング型
  • 幅の広い持ち手型
  • 柔らかい素材の引き手
  • 滑りにくい表面加工
  • 握りやすい長さの補助具

ただし、大きすぎる引き手は家具や周囲の物に引っかかることがあり、取り付け部分が弱いと引っ張った際に外れる可能性もあるため、適合性と固定状態を確認する必要があります。

引き手を大きくしてもファスナーの差し込みが難しい場合には、別の工程への対策が必要になるため、本人がどこまで操作できるようになったかを確認しましょう。

リング型の補助具を使う

指先で引き手をしっかりつまめない場合には、ファスナーの引き手にリング型の補助具を取り付けることで、操作しやすくなることがあります。

リング型の補助具は、細い金属部分を指で挟む代わりに、輪の中へ指を掛けて引っ張れるため、指先の細かな操作が難しい人に向いている場合があります。

例えば手指の関節が曲がりにくい人でも、輪に人差し指を掛けて腕全体の動きで引き上げられれば、指先だけで強く握り込む必要が少なくなります。

また、引き手が見つけにくい人には、衣服と色の違うリングを付けることで、どこを持てばよいか判断しやすくなる場合もあります。

補助具の形状期待できる利点注意点
リング型指を掛けやすい輪の大きさを確認
幅広の持ち手つまみやすい厚みが邪魔にならないか
短いストラップ手が届きやすい引っかかりに注意
樹脂製の引き手握る面積を増やせる取り付け強度を確認

ただし、長いひもを首元に垂らしたり、輪を大きくしすぎたりすると、周囲の物へ引っかかる危険があるため、必要以上に長い補助具は避けましょう。

取り付け後には、上げる動作だけでなく下げる動作も試し、衣服を脱ぐときにも安全に使えるか確認することが大切です。

服の裾を安定させる

ファスナーの引き手を持てても上へ動かせない高齢者には、衣服の裾が一緒に持ち上がらないように安定させる工夫が役立つ場合があります。

前開きの上着では、ファスナーを上へ引く際に反対方向へ衣服を支える力が必要になることがあり、片方の手で裾を押さえられないと、上着全体が引っ張られてしまうことがあります。

例えば片手の力が弱い人では、引き手を動かすこと自体はできても、裾が浮き上がってファスナーが進まず、何度もやり直すことがあります。

そのため、椅子に座って衣服の位置を整え、使える手で無理なく支えられる場所を確認するなど、ファスナーを引く前の姿勢を工夫することが大切です。

  • 椅子に座って姿勢を安定させる
  • 裾のねじれを直す
  • 衣服を身体の中央へ整える
  • 無理のない位置で裾を支える
  • 必要な部分だけ介助を受ける

ただし、裾を固定するために鋭利なクリップや強い力が必要な器具を自己判断で使うと、生地を傷めたり、皮膚を挟んだりする可能性があるため注意が必要です。

片手での固定が難しい場合には、作業療法士などへ相談し、本人の身体機能に合ったファスナー補助具や衣服の改良方法を検討しましょう。

差し込み部分を確認する

上着のファスナーを上げられない原因が最初の差し込み操作にある場合には、左右の部品を正しい位置へ合わせられているかを確認することが重要です。

前が完全に開くタイプのファスナーは、片側の差し込み部品を反対側のスライダーへ十分に入れてから引き上げる構造になっているため、差し込みが浅いと途中で外れたり、動かなくなったりすることがあります。

例えば指先に震えがある人や視力が低下している人では、小さな差し込み口が見つけにくく、部品の向きを合わせるまでに時間がかかる場合があります。

このような場合には、明るい場所で上着の前を整え、左右の裾の高さをそろえてから、部品を無理なく差し込めるか試すことが大切です。

困っている状態考えられる原因対応
金具が入らない位置のずれ裾をそろえる
少し上げると外れる差し込み不足根元を確認
金具が見えにくい照明や視力の問題明るさを確保
差し込んでも動かない部品の損傷修理を検討

ただし、部品が曲がっていたり破損していたりする場合には、無理に押し込むとファスナー全体が傷むことがあるため、強い力を加えないようにしましょう。

差し込み操作が毎回難しい人では、補助具の活用や差し込み不要の留め具への変更も含めて考えると、着替えを続けやすくなります。

椅子に座って操作する

高齢者がファスナーを上げるときにふらついたり、手元を見ようとして身体が前へ傾いたりする場合には、安定した椅子に座って操作する方法が役立ちます。

立ったままファスナーを閉めると、片手で衣服を支えながらもう片方の手で引き上げる必要があり、手元へ注意が集中することで足元のバランスを崩す場合があります。

特に冬用の厚い上着では、前を閉じる際に腕を身体の中央へ寄せる必要があるため、肩の動きにくい人や立位が不安定な人には負担になることがあります。

椅子に座っていれば、身体を安定させながら差し込み部分を確認しやすくなり、途中で疲れた場合にも休みながら操作できます。

  • ぐらつかない椅子を使う
  • 足裏を床につける
  • 十分な照明を確保する
  • 衣服の裾を整える
  • 急がず操作する

ただし、キャスター付きの椅子や座面が不安定な椅子では、前かがみになった際に椅子が動く可能性があるため、着替えに適した安定した椅子を選ぶ必要があります。

座っていても身体を支えにくい場合には、一人で無理に操作せず、家族や介護職へ必要な部分だけ手伝ってもらいましょう。

ファスナーの引っかかりを直す

ファスナーを途中まで上げられるのに特定の位置で止まる場合には、衣服の生地や糸が挟まっていないかを確認することが大切です。

特に裏地のあるジャンパーや厚手の防寒着では、スライダーの近くへ布が入り込み、引き上げる途中で動かなくなることがあります。

例えば毎回同じ位置でファスナーが止まる場合には、本人の握力不足だけでなく、裏地のたるみや縫い目の位置、ファスナーの歯の損傷などが関係している可能性があります。

引っかかったときは無理に上へ引っ張らず、衣服の状態を確認しながら、動かせる範囲で慎重に戻して生地を外すことが基本です。

症状考えられる原因対応
途中で止まる生地の巻き込み挟まった部分を確認
動きが重い汚れや摩耗状態を点検
閉めても開くスライダーの不具合修理を検討
歯が欠けている部品の破損交換を相談

ただし、ペンチなどでスライダーを強く挟んだり、適合しない油を大量に付けたりすると、部品の破損や衣服の汚れにつながる可能性があるため避けましょう。

引っかかりが繰り返される場合には、洋服の修理店などへ相談し、本人が少ない力で操作できる状態に整えることが重要です。

見やすい色の引き手を選ぶ

ファスナーの引き手が見つからず操作に時間がかかる高齢者には、衣服と色の違う引き手や補助パーツを選ぶ方法が役立つ場合があります。

例えば黒いジャンパーに黒い小さな引き手が付いていると、視力が低下している人では位置を見つけにくく、何度も手探りで探す必要が生じることがあります。

引き手の色を明るくしたり、周囲の生地と区別しやすい色を選んだりすると、どこをつかめばよいか判断しやすくなる可能性があります。

また、最初の差し込み部分が見えにくい場合には、着替える場所の照明を明るくし、手元へ影が落ちないようにすることも大切です。

  • 衣服と違う色を選ぶ
  • 引き手の位置を見つけやすくする
  • 手元の照明を整える
  • 暗い場所で急いで操作しない
  • 触って分かる形状を選ぶ

ただし、色の見え方には個人差があり、明るい色なら必ず見やすいとは限らないため、本人が実際に見分けやすい組み合わせを選ぶ必要があります。

視力の問題が大きい場合には、色だけに頼らず、触ったときに位置が分かる形状の補助具も組み合わせるとよいでしょう。

留め具を変更する

ファスナーの引き手や操作方法を工夫しても上げられない場合には、ファスナー以外の留め具へ変更する方法があります。

例えば片手しか使えない人や指先の細かな動作が難しい人では、左右の金具を差し込む工程そのものが負担になるため、引き手を大きくするだけでは十分な改善につながらない場合があります。

このような場合には、大きめのスナップボタンや面ファスナー、本人が扱いやすいマグネット式の留め具などを備えた服へ変更することで、着替えの工程を減らせる可能性があります。

ただし、スナップボタンには押す力が必要であり、面ファスナーは位置合わせや手入れが必要になるため、すべての人に同じ留め具が適しているわけではありません。

留め具特徴注意点
ファスナー前をまとめて閉じられる差し込みが必要
大きなボタンつまみやすい穴へ通す操作が必要
スナップボタン押して留められる押す力が必要
面ファスナー細かな操作が少ない位置合わせが必要
マグネット式近づけて留められる製品がある磁石の取り扱いに注意

マグネット式の留め具は、植込み型医療機器などへの影響に注意が必要な場合があるため、使用する製品の注意事項を確認し、必要に応じて医療機関へ相談しましょう。

留め具を変更するときには、閉めやすさだけでなく、外出先で本人が自分で脱げるか、洗濯や手入れがしやすいかまで考えることが大切です。

着やすい服に買い替える

高齢者が毎回ファスナーを上げられず困っている場合には、現在の服を無理に使い続けるのではなく、着脱しやすい衣服への買い替えを検討することも有効です。

例えば厚手で重いジャンパーは、ファスナーの操作だけでなく、裾をそろえたり、肩周りの生地を整えたりする動作にも力が必要になるため、複数の負担が重なりやすくなります。

一方、軽量で前開きが大きく、留め具が扱いやすい上着なら、着る動作から前を閉じる動作までを無理なく続けられる場合があります。

特に冬場は保温性を優先しがちですが、暖かくても一人で着られない服では外出の準備が負担になるため、暖かさと着脱のしやすさを両立することが重要です。

  • 軽くて持ち上げやすい
  • 前が大きく開く
  • 袖口にゆとりがある
  • 留め具を操作しやすい
  • 座った姿勢でも着やすい

ただし、大きすぎる服は袖が手先を覆ったり、裾が邪魔になったりすることがあるため、単純に大きなサイズを選べばよいわけではありません。

本人が実際に試着し、ファスナーを閉めるところまで無理なくできるかを確認してから購入すると、買い替え後の使いにくさを減らせます。

ファスナーを上げにくくなる原因を見極めよう

高齢者がファスナーを上げられない背景には、握力や指先の動きの変化だけでなく、関節の痛み、視力の低下、片側の手の使いにくさなど、さまざまな原因が関係することがあります。

また、ファスナーを上げる動作には、引き手をつまむ、左右の金具を合わせる、裾を支える、上方向へ引くという複数の工程が含まれるため、どの工程で困っているかによって必要な工夫が異なります。

以前は簡単にできていた操作が難しくなった場合には、単なる加齢と決めつけず、身体の状態や衣服の不具合を確認することが重要です。

ここでは、手指の力、関節の動き、視力や手元の操作という三つの視点から原因を整理します。

指先の力が弱くなっている

ファスナーを上げられない原因の一つとして、指先で小さな物をつまむ力や、その状態を保つ力が弱くなっている可能性があります。

ファスナーの引き手は小さく薄い形状のものが多く、親指と人差し指で挟みながら上へ引く必要があるため、握力が低下している人には負担になりやすい操作です。

例えばペットボトルのふたを開けにくい、硬貨を拾いにくい、小さなボタンを留めにくいといった困りごとが同時にある場合には、手指の力や細かな操作の変化が関係している可能性があります。

このような場合には、引き手を大きくしたり、指を掛けられる補助具を使ったりすることで、細かなつまみ動作を減らせることがあります。

  • 引き手をつまめない
  • 途中で指が滑る
  • 小さな物を落としやすい
  • ボタン操作も難しい
  • 指先が疲れやすい

ただし、指先の力が急に弱くなった場合や、片側の手だけ突然動かしにくくなった場合には、神経や脳の病気が関係している可能性があるため注意が必要です。

特に突然の片側の脱力や言葉のもつれ、顔のゆがみがある場合には脳卒中が疑われるため、着替えの問題として様子を見ず、速やかに救急対応を求めましょう。

手指の関節に痛みがある

ファスナーの引き手をつまむと指が痛む高齢者では、手指の関節の状態が操作の難しさに関係している可能性があります。

例えば指の関節に痛みや腫れがある場合には、小さな引き手を強く挟む動作が負担となり、ファスナーを上げる途中で手を離してしまうことがあります。

また、指を十分に曲げられない人では、細い金属の引き手をつかむこと自体が難しくなるため、単純に力を入れる練習をしても改善しない場合があります。

そのため、関節に痛みがある人には、強く握らなくても指を掛けられるリング型の補助具や、少ない操作で閉められる留め具が役立つ可能性があります。

困っている動作考えられる工夫
つまむと痛いリング型の引き手
指を曲げにくい幅広の持ち手
強く引けない軽く動くファスナー
差し込みが難しい別の留め具

ただし、痛みがある状態で無理に指を動かしたり、強く引っ張る動作を繰り返したりすると、症状が悪化する可能性があります。

関節の痛みや腫れが続く場合には医療機関へ相談し、原因に合った治療や日常生活の工夫を検討することが大切です。

手元が見えにくくなっている

高齢者がファスナーを上げられない場合には、手指の力だけでなく、引き手や差し込み部分が見えにくくなっていることも考えられます。

例えば暗い色の上着ではファスナーの金具と生地の色が似ていることがあり、視力が低下している人では差し込み口を見つけにくくなる場合があります。

また、手元が暗い場所では左右の部品の向きを確認しにくく、正しく差し込めていないまま引き上げようとして、途中で止まることがあります。

そのため、着替える場所の照明を整え、衣服と色の違う引き手を選ぶなど、手元を見やすくする工夫が役立ちます。

  • 手元を明るくする
  • 影ができにくい場所で着替える
  • 引き手の色を目立たせる
  • 触って分かる形状を選ぶ
  • 差し込み位置を確認する

ただし、視力が低下している場合には照明だけで十分に改善しないこともあるため、色や形状の工夫を組み合わせることが大切です。

見えにくさが急に強くなった場合や、日常生活のほかの場面でも困っている場合には、眼科などで目の状態を確認しましょう。

ファスナーを扱いやすい服を選ぼう

高齢者がファスナーを上げられない場合には、補助具を取り付けるだけでなく、最初から扱いやすい留め具を備えた衣服を選ぶことも大切です。

例えば前開きのジャンパーでも、差し込み部分が小さい製品と、引き手が大きく扱いやすい製品では、操作に必要な力や細かな動作が異なります。

また、服の重さや身幅、袖の太さによっても着替えの負担は変わるため、ファスナーだけを見て選ぶと、購入後に別の部分が着にくいと感じることがあります。

ここでは、引き手の形状、衣服全体の着やすさ、ファスナー以外の選択肢について整理します。

大きな引き手の服を選ぶ

ファスナー付きの服を購入する際には、引き手の大きさや形状を確認し、本人が無理なくつかめるものを選ぶことが重要です。

例えば引き手が細く短い服では、指先の力が弱い人がつまみにくく、外出前に何度も操作をやり直すことがあります。

一方、幅が広く指を掛けやすい引き手なら、手指の負担を抑えながらファスナーを動かせる可能性があります。

また、引き手が大きくてもファスナーそのものが硬い場合には強い力が必要になるため、実際に上下へ動かして滑らかさを確認することが大切です。

確認項目選び方のポイント
引き手の大きさ指を掛けやすい
表面の形状滑りにくい
動きの軽さ少ない力で動く
差し込み部分位置を合わせやすい
開閉のしやすさ上げ下げの両方が簡単

ただし、店頭で一度だけ操作できても、疲れているときや厚手の肌着を着ているときには難しくなる場合があるため、普段の生活に近い状態で試すとよいでしょう。

可能であれば本人が試着し、ファスナーを最初から最後まで閉められるか、脱ぐときにも問題がないかを確認してから購入しましょう。

軽くてゆとりのある服を選ぶ

高齢者がファスナーを上げにくい場合には、服の重さや身体への密着具合を見直すことで、操作が楽になる可能性があります。

例えば身体にぴったりした上着では、左右の裾を中央へ引き寄せる際に生地が突っ張り、差し込み部分を合わせにくくなる場合があります。

また、重い防寒着では上着全体を支える負担が大きくなり、ファスナーを閉める前に腕や肩が疲れてしまうことがあります。

そのため、適度にゆとりがあり、軽くて動きやすい素材を選ぶことで、裾をそろえる動作や引き上げる動作を行いやすくなる場合があります。

  • 身幅に適度なゆとりがある
  • 肩周りが窮屈でない
  • 軽くて持ち上げやすい
  • 生地が過度に硬くない
  • 裾の位置を整えやすい

ただし、大きすぎる服では生地がたるみ、かえってファスナーの周囲へ布が入り込みやすくなる場合があるため、ゆとりと身体への適合を両立することが重要です。

特に冬場は重ね着をした状態で試着し、袖や胸元が突っ張らず、ファスナーの差し込み部分を無理なく合わせられるか確認しましょう。

ファスナー以外の服を選ぶ

ファスナーの差し込み操作が難しい高齢者には、ファスナーを使わずに着られる衣服を選ぶことも現実的な対策です。

例えば面ファスナーで前を閉じる上着なら、左右の位置を合わせて押さえる操作が中心になるため、小さな金具を差し込む動作を減らせる可能性があります。

また、前を留めなくても羽織れるカーディガンや、本人が扱いやすい大きなボタンの服も選択肢になります。

ただし、面ファスナーは衣服へ引っかかることがあり、大きなボタンでも指先で穴へ通す操作が必要になるため、本人が実際に使いやすいかを確かめることが大切です。

服の種類向いている場合注意点
面ファスナー付き細かな差し込みが難しい位置合わせが必要
大きなボタン付き指でつまむ動作ができる穴へ通す操作が必要
スナップ付き押す力を使える押す位置を合わせる
羽織るタイプ留め具を避けたい防寒性を確認

服の変更を検討するときには、着るときだけでなく、脱ぐときや洗濯するときの扱いやすさも確認しましょう。

本人が気に入っている服を着続けたい場合には、洋服の修理店へ留め具の変更を相談する方法もあり、好みと使いやすさを両立できる可能性があります。

片手でファスナーを上げる方法を考えよう

脳卒中の後遺症などで片側の手を使いにくい高齢者では、ファスナーを上げる際に左右の裾を支える動作が特に難しくなる場合があります。

前開きのファスナーは通常、片手で差し込み部分を支えながら、もう片方の手で引き手を操作するため、片手だけで同じ動作を行うには工夫が必要です。

片手での操作を補助する自助具や衣服の改良方法もありますが、本人の身体機能や服の構造によって使いやすさが変わるため、無理に同じ方法を当てはめないことが重要です。

ここでは、片手で操作する際の考え方、自助具の活用、専門職へ相談する目安を紹介します。

片手で操作しやすい姿勢を作る

片側の手を使いにくい高齢者がファスナーを上げる場合には、まず身体を安定させ、使える手で操作しやすい位置へ衣服を整えることが重要です。

例えば立ったまま片手で裾を支えようとすると、身体が傾いたり、衣服が引っ張られたりして、差し込み部分を合わせにくくなる場合があります。

安定した椅子に座り、上着の前を身体の中央へ整えることで、手元を見ながら落ち着いて操作しやすくなることがあります。

また、動かしにくい腕を無理に引っ張って衣服を整えることは避け、肩や肘に痛みが出ない範囲で着替えることが大切です。

  • 安定した椅子に座る
  • 衣服の裾をそろえる
  • 使える手の位置を確認する
  • 身体を大きく傾けない
  • 痛みが出る動作を避ける

ただし、片手でファスナーを閉める方法は、麻痺の程度や身体のバランスによって適した手順が異なるため、自己流で無理に繰り返すことは勧められません。

日常的に片手での着替えが必要な場合には、作業療法士へ相談し、本人が安全に行える姿勢や動作を確認するとよいでしょう。

片手用の自助具を活用する

片手でファスナーを上げることが難しい場合には、衣服の裾を支えたり、引き手を動かしたりするための自助具を検討する方法があります。

実際に、作業療法の分野では、片手でファスナーを扱いやすくするために、衣服を固定する仕組みや引き手を補助する道具が紹介されています。

例えば岐阜市障害者生活支援センターでは、片手でファスナーを留めるための補助具の事例が紹介されており、差し込み部分を安定させることが操作の助けになると考えられます。

ただし、こうした道具は服の形状や本人の動作能力によって使いやすさが変わり、使い方に慣れる必要があるため、紹介されている方法をそのまま誰にでも適用できるわけではありません。

自助具の目的補助する動作
引き手を大きくするつまむ操作
裾を固定する衣服を支える操作
差し込みを補助する左右の部品の位置合わせ
衣服を改良する細かな操作の削減

特にクリップやひもを使う補助具では、皮膚を挟んだり、ひもが周囲の物へ引っかかったりする危険があるため、本人の状態に合わない道具を無理に使わないことが重要です。

自助具の導入を考える場合には、作業療法士などに実際の着替え動作を見てもらい、安全性と使いやすさを確認してから利用しましょう。

作業療法士へ相談する

高齢者がファスナーを上げられない状態が続き、家庭での工夫だけでは改善しない場合には、作業療法士へ相談する方法があります。

作業療法士は、着替えや食事などの日常生活動作を行いやすくするために、身体の動きや環境、道具の使い方を評価する専門職です。

例えば片麻痺がある人では、使える手で衣服をどのように支えるか、どの位置でファスナーを操作するか、どのような自助具が適しているかを個別に検討できます。

また、関節の痛みがある人や手指の力が弱い人では、ファスナーの操作を練習するだけでなく、衣服の留め具を変更したほうが負担を減らせる場合もあります。

  • 片手で差し込めない
  • 補助具を使っても難しい
  • 着替え中に身体が傾く
  • 肩や手指に痛みがある
  • 家族の介助が毎回必要

ただし、急に片側の手が動かなくなった場合や、言葉のもつれ、顔のゆがみなどが現れた場合には、リハビリの相談よりも緊急の医療対応が優先されます。

日常的な着替えの困難については、主治医や担当のケアマネジャーへ相談し、必要に応じて作業療法士による評価や支援につなげましょう。

家族がファスナーを手伝うときの注意点

高齢者がファスナーを上げられない場合には、家族が最初の差し込み部分だけを手伝ったり、引き手を大きくする補助具を準備したりすることで、本人が自分で着替えを続けられる場合があります。

しかし、家族が急いでファスナーを引き上げると、衣服の生地や皮膚を挟んだり、本人の身体を引っ張ってバランスを崩したりする可能性があります。

また、本人ができる動作まで家族がすべて代わりに行うと、着替えの機会が減り、本人の希望に沿わない介助になることもあるため、必要な部分だけを手伝うことが重要です。

ここでは、安全な介助方法、本人の自立を支える工夫、医療機関へ相談したい状況について整理します。

引き上げる前に声をかける

家族が高齢者のファスナーを閉める際には、急に引き上げるのではなく、これから操作することを本人へ伝えてから行うことが大切です。

例えば首元まで一気にファスナーを上げると、衣服が急に引っ張られて驚いたり、あごや首元の皮膚を挟みそうになったりする場合があります。

また、本人が衣服の裾を整えている途中に家族が引き上げると、手や指がファスナーの近くへ入り、思わぬけがにつながる可能性があります。

そのため、差し込み部分を合わせた後は、本人の手の位置を確認し、ゆっくり引き上げながら途中で生地が挟まっていないか確かめることが重要です。

  • 操作する前に声をかける
  • 本人の手の位置を確認する
  • ゆっくり引き上げる
  • 生地の巻き込みを確認する
  • 首元では特に慎重に動かす

ただし、ファスナーが途中で止まった場合には、強い力で引っ張って解決しようとせず、原因を確認してから操作を再開しましょう。

本人が痛みや不快感を訴えた場合にはすぐに動作を止め、衣服の位置や皮膚の状態を確認することが大切です。

本人ができる部分を残す

高齢者がファスナーを上げられない場合でも、家族が最初から最後まですべて操作するのではなく、本人ができる工程を残すことが重要です。

例えば差し込み部分を合わせることは難しくても、引き手を上へ動かすことはできる人では、家族が最初の差し込みだけを手伝うことで、残りの操作を本人が行える場合があります。

また、引き手をつまめない人でも、リング型の補助具を使えば自分で引き上げられる可能性があるため、本人が困っている工程に合わせた支援を考えることが大切です。

着替えに時間がかかっても、本人が安全にできる動作を続けることは、生活の中で自分で身支度を整える機会を保つことにつながります。

工程家族ができる支援
衣服を整える裾の位置をそろえる
金具を差し込む必要な部分だけ補助
引き手を持つ補助具を準備する
上へ引き上げる安全を見守る
最後まで閉める生地の巻き込みを確認

ただし、本人が痛みを我慢していたり、着替え中に転倒しそうになったりする場合には、自立を優先して危険な動作を続けさせないことが重要です。

本人の希望を聞きながら、できる動作を尊重し、必要な部分だけを手伝うことで、安全性と自立の両方を考えた支援につながります。

急な身体の変化を見逃さない

高齢者が突然ファスナーを上げられなくなった場合には、単なる握力の低下や年齢の影響と決めつけず、身体の状態に変化が起きていないか確認することが重要です。

例えば昨日まで問題なく操作できていた人が、急に片側の手を動かせなくなったり、指先に力が入らなくなったりした場合には、神経や脳の病気が関係している可能性があります。

特に顔のゆがみ、片側の腕の脱力、言葉のもつれなどが突然現れた場合には脳卒中が疑われるため、様子を見ずに119番へ連絡する必要があります。

また、急な変化ではなくても、手指の痛みやしびれが続く場合や、ボタン操作、食事、筆記などほかの日常生活動作にも困りごとが増えている場合には、医療機関へ相談することが大切です。

  • 片側の手が突然動かない
  • 顔の片側が下がる
  • 言葉が出にくい
  • 急なしびれや脱力がある
  • 日常動作の困難が増えている

ただし、ファスナーを上げにくいという症状だけで特定の病気を判断することはできないため、身体の変化やほかの症状を合わせて確認する必要があります。

日常的な操作の難しさについては、主治医や作業療法士などへ相談し、身体の状態に合った衣服や補助具を選ぶことが大切です。

ファスナーを上げやすくして毎日の着替えを楽にしよう

高齢者がファスナーを上げられないときには、まず引き手をつまめないのか、左右の金具を差し込めないのか、途中で引っかかるのかを確認し、困っている工程に合った対策を選ぶことが重要です。

小さな引き手が原因の場合にはリング型の補助具や幅広の持ち手が役立つ可能性があり、裾を支えにくい場合には安定した椅子に座って操作するなど、身体の姿勢を整える工夫も有効です。

一方、差し込み操作そのものが難しい場合には、引き手を大きくするだけでは改善しないことがあるため、片手用の自助具や面ファスナー、スナップボタンなど、別の留め具を備えた服も選択肢になります。

また、ファスナーが途中で止まる場合には、生地の巻き込みや部品の損傷が関係している可能性があるため、本人に強い力を出させるのではなく、衣服の状態を確認して必要に応じて修理を検討しましょう。

家族が着替えを手伝う際には、本人ができる工程を残しながら必要な部分だけを補い、片手での操作が難しい場合や身体に痛みがある場合には、作業療法士などの専門職へ相談することで、本人が好きな服を安全に着続けられる方法を見つけやすくなります。

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