高齢者が靴紐を結べないときは?かがまず履きやすくする工夫

歩行・外出
※イメージとして作成した画像です

高齢の親が靴紐を結べなくなったり、靴を履くためにかがむ動作がつらそうになったりすると、毎日の外出をどのように支えればよいのか悩むものです。

以前は問題なく履いていたスニーカーでも、年齢とともに指先を細かく動かしにくくなったり、腰や膝が曲がりにくくなったりすると、靴紐を結ぶだけで時間がかかることがあり、急いで外出しようとして片足立ちになったり、かかとを踏んだまま歩いたりすると、転倒につながる心配もあります。

特に一人暮らしの高齢者では、靴の脱ぎ履きが面倒になることで買い物や散歩を控えるようになり、外出の機会が減ってしまう場合もあるため、単に靴紐を結べるようにするのではなく、本人が安全に外出を続けられる環境を整えることが大切です。

高齢者が靴紐を結べない場合には、面ファスナー式やファスナー式の靴へ替える方法、結び直しが不要な靴紐を利用する方法、長い靴べらを使う方法、玄関に椅子を置いて座ったまま履く方法などがあり、本人の身体の状態や普段の歩き方に合わせて選ぶことで、負担を減らせる可能性があります。

ただし、脱ぎ履きのしやすさだけを優先して大きすぎる靴やかかとのないサンダルを選ぶと、歩行中に足がずれたり、靴が脱げたりするおそれがあるため、足を適切に固定できることも重要です。

高齢者が靴紐を結べないときに役立つ具体的な工夫から、かがまず履ける靴の特徴、玄関環境の整え方、転倒を防ぐための靴選び、家族が手伝う際の注意点まで、日常生活で取り入れやすい方法を紹介します。

高齢者が靴紐を結べないときは?かがまず履きやすくする工夫

高齢者が靴紐を結べなくなった場合には、無理に以前と同じ結び方を続ける必要はなく、靴の留め具や履き方を変えることで、指先や腰への負担を減らせる可能性があります。

特に重要なのは、靴を履くときに深くかがまなくてもよいこと、足を入れた後に甲やかかとが安定すること、本人が毎日無理なく操作できることの三つです。

ここでは靴を買い替える方法だけでなく、今使っている靴を活用する工夫や玄関での動作を楽にする方法も含めて紹介します。

面ファスナー式の靴

高齢者が靴紐を結べない場合に、まず検討したいのが面ファスナー式の靴であり、靴紐を結ぶ細かな動作を省きながら、足の甲の締め付け具合を調整しやすいことが特徴です。

面ファスナーは一般にマジックテープとも呼ばれ、ベルトを開いて足を入れ、適切な位置で留めるだけで着用できるため、指先の力が弱くなった人や、靴紐を結ぶ姿勢を長く保てない人にも向いている場合があります。

例えば散歩や買い物へ出かけるたびに家族が靴紐を結んでいた高齢者でも、ベルトの端をつまめる状態であれば、自分で靴を履けるようになる可能性があり、外出時の自立を支えることにもつながります。

ただし、面ファスナーを軽く重ねただけでは歩行中に緩むことがあり、反対に強く締めすぎると足の甲を圧迫するため、足を入れた後にかかとが浮かず、痛みもない程度に固定することが大切です。

また、面ファスナーのベルトが短すぎると足のむくみに対応しにくくなるため、足の甲が高い人や夕方に足がむくみやすい人では、開口部が大きく、調整できる範囲が広い靴を選ぶと使いやすくなります。

ファスナー式の靴

ファスナー式の靴は、靴の側面などに付いたファスナーを開閉することで履き口を広げられるため、靴紐を毎回結ぶことが難しい高齢者にとって便利な選択肢です。

特に紐とファスナーが組み合わされたタイプでは、最初に足に合うよう紐の締め具合を調整しておき、普段はファスナーを使って脱ぎ履きできるため、履きやすさと足の固定を両立しやすい場合があります。

例えば長年スニーカーを履いてきた人で、面ファスナー式のデザインに抵抗がある場合でも、見た目が一般的な紐靴に近いファスナー式なら、これまでの服装や好みに合わせて選びやすいでしょう。

ただし、ファスナーのつまみが小さいと指先で持ちにくくなることがあり、関節の痛みや手の震えがある人では、実際に開閉できるかを購入前に試すことが重要です。

また、ファスナーが閉まっていても靴紐が緩んでいると足が靴の中で動きやすくなるため、定期的に甲の固定具合を確認し、必要に応じて家族や支援者が調整することが望まれます。

結ばない靴紐

現在使っているスニーカーをそのまま履き続けたい場合には、結び直しが不要な靴紐へ交換する方法があり、靴を買い替えずに着脱の負担を減らせる可能性があります。

結ばない靴紐には、伸縮性のある素材を使ったタイプや、留め具で長さを固定するタイプなどがあり、毎回蝶結びをする必要がないため、細かな指の動きが難しくなった人にも使いやすい場合があります。

例えばお気に入りの運動靴を履いて散歩を続けたい高齢者では、靴紐を交換するだけで外出前の準備が楽になることがあり、新しい靴に慣れる負担を避けられる点も利点です。

ただし、伸縮性のある靴紐は足を入れやすい反面、緩すぎると歩行中にかかとが浮いたり、靴の中で足が前後に動いたりする可能性があるため、単に履きやすいだけで選ばないことが重要です。

特に歩行が不安定な人や足に装具を使用している人では、必要な固定力が得られるかを確認し、靴紐の交換後に室内で短い距離を歩いて、靴が脱げそうにならないかを確かめましょう。

手を使わず履ける靴

かがむ動作が難しい高齢者には、立ったまま足を入れやすい構造の靴も選択肢になり、履き口やかかと部分に工夫がある製品では、手でかかとを引き上げなくても履ける場合があります。

このような靴は一般にハンズフリーシューズなどと呼ばれることがあり、靴紐を結ぶ動作だけでなく、靴を履くために腰を曲げる動作も減らせるため、腰痛や膝の痛みがある人にとって便利な場合があります。

ただし、手を使わず履けるという特徴だけで高齢者全員に適しているわけではなく、足を入れるときに片足へ体重をかける必要がある製品では、立位のバランスが不安定な人に転倒の危険が生じることがあります。

確認項目見るポイント
履き口足を入れやすいか
かかと歩行中に浮かないか
甲の固定足が前後にずれないか
靴底滑りにくく歩きやすいか
着用姿勢安全に履けるか

立ったまま履ける靴を購入する場合でも、最初は椅子に座った状態で試し、足を入れた後にかかとが正しい位置に収まっているか、数歩歩いても脱げないかを確認することが大切です。

特に転倒歴がある人や杖を使っている人では、靴の便利さよりも着用時の安定性を優先し、必要に応じて理学療法士などへ相談しましょう。

長い靴べら

靴紐を結ぶことだけでなく、靴を履くときにかがむことが難しい高齢者には、長い靴べらを使う方法があり、腰を深く曲げずにかかとを靴の中へ収めやすくなります。

一般的な短い靴べらでは足元まで手を伸ばす必要がありますが、持ち手が長いタイプなら椅子に座った姿勢でも使いやすく、腰や膝への負担を減らせる場合があります。

例えば玄関に安定した椅子を置き、靴を足元にそろえてから長い靴べらを使うようにすると、立ったまま片足でバランスを取る必要が少なくなり、靴を履く動作を落ち着いて行いやすくなります。

ただし、靴べらを使えばどのような靴でも安全に履けるわけではなく、履き口が狭すぎる靴や、かかと部分が柔らかすぎる靴では、足を正しい位置に収めにくいことがあります。

また、靴べらを杖の代わりにして体重をかけることは危険なため、立位が不安定な場合には必ず椅子に座り、必要に応じて家族がそばで見守ることが大切です。

玄関用の椅子

高齢者が靴を履く際にふらついたり、靴紐を結ぶために長時間かがんだりする場合には、玄関に安定した椅子を置くことで、座ったまま安全に脱ぎ履きしやすくなります。

特に膝や腰に痛みがある人では、床に近い位置までしゃがむ動作が負担になるため、座面の高さが合った椅子を利用すると、足元へ手を伸ばす距離を減らせる場合があります。

また、肘掛けがある椅子は立ち上がる際の支えとして役立つ場合がありますが、椅子自体が軽くて動きやすいと危険なため、安定性や設置場所を確認することが重要です。

  • 座面が安定している
  • 立ち座りしやすい高さ
  • 滑りにくい脚部
  • 十分な設置スペース
  • 必要に応じた肘掛け

玄関が狭い場合には、椅子を置くことで通路がふさがれたり、靴や荷物が散らかってつまずきやすくなったりする可能性があるため、出入りの動線を確保する必要があります。

また、椅子に座ることで必ず安全になるとは限らず、座面が高すぎて足が床につかない場合や、立ち上がりが難しい場合には別の工夫が必要になるため、本人が実際に使ってみて判断しましょう。

靴の置き方

靴紐を結べない高齢者が靴を履きやすくするためには、靴そのものを替えるだけでなく、玄関での置き方を整えることも重要であり、足を入れやすい位置に靴をそろえることで余計な動作を減らせます。

例えば椅子に座ったときに足が自然に届く場所へ靴を置き、左右の向きをそろえておくと、靴を探したり、履くために体をひねったりする必要が少なくなります。

また、靴の周囲に傘や買い物袋、段ボールなどが置かれていると、足を動かす際につまずいたり、椅子から立ち上がるときにバランスを崩したりする可能性があるため、玄関の整理整頓も大切です。

  • 靴の左右をそろえる
  • 椅子の正面に置く
  • 足元の荷物を片付ける
  • 靴べらを取りやすくする
  • 通路を広く保つ

ただし、本人が普段使っている場所から靴を大きく移動すると、かえって探しにくくなる場合もあるため、本人が分かりやすい位置を一緒に決めることが重要です。

靴を履く動作に時間がかかる人ほど、玄関の環境を整えることで焦らず準備できるようになり、外出前の負担を減らしやすくなります。

靴下の工夫

靴紐を結べない高齢者では、靴だけでなく靴下の履きにくさが外出の負担になっている場合もあり、足先まで手が届かない人や指先の力が弱い人では、靴下を履く動作にも時間がかかることがあります。

例えば腰を深く曲げることが難しい人には、靴下を引き上げるための自助具が役立つ場合があり、靴下を履く際の姿勢を工夫することで、無理な前かがみを減らせる可能性があります。

また、締め付けが強すぎる靴下は足に跡が残ったり不快感につながったりすることがあるため、本人の足の状態に合ったものを選ぶことが大切です。

困りごと工夫の例
足先に手が届かない靴下用自助具
履き口がきつい適切な伸縮性の靴下
靴の中でずれる足に合うサイズ
足がむくみやすい締め付けの確認

ただし、靴下が厚すぎると靴の中が窮屈になり、反対に薄すぎると靴との間に隙間ができる場合があるため、靴下を履いた状態で靴のサイズを確認することが重要です。

足の感覚が鈍くなっている人や糖尿病などで足のトラブルが起こりやすい人では、靴下のしわや圧迫に気づきにくい場合があるため、必要に応じて医療職へ相談しましょう。

家族による着用補助

高齢者が靴紐を結べず、自分で靴を履くことも難しい場合には、家族が着用を手伝う方法がありますが、すべての動作を代わりに行うのではなく、本人ができる部分を残すことが大切です。

例えば本人が靴へ足を入れられる場合には、家族は靴を適切な位置へ置き、かかとが収まったかを確認してから、面ファスナーやファスナーを留める部分だけを手伝う方法が考えられます。

また、靴を履かせる際に足を強く引っ張ったり、無理に押し込んだりすると、痛みや皮膚の傷につながる可能性があるため、本人の反応を確認しながらゆっくり進めることが重要です。

  • 本人ができる動作を確認する
  • 椅子に座ってもらう
  • 足を無理に押し込まない
  • かかとの位置を確認する
  • 歩き始める前に固定する

本人が靴を履くことに時間をかけていても、急いで手を出すと自分で行う機会を減らしてしまう場合があるため、必要なところだけ支援する姿勢が望まれます。

また、家族が毎回靴を履かせることに負担を感じる場合には、靴の種類や玄関環境を見直し、できるだけ本人が自分で着用できる方法を探すことが大切です。

高齢者が靴紐を結べなくなる理由

高齢者が靴紐を結べなくなる背景には、指先の細かな動きの変化だけでなく、腰や膝の痛み、筋力の低下、視力の変化など、複数の要因が関係している場合があります。

そのため、靴紐を結べないことだけを問題として考えるのではなく、どの動作が難しくなっているのかを確認することで、本人に合った靴や補助具を選びやすくなります。

また、以前は問題なくできていた動作が急に難しくなった場合には、体調や病気の影響が関係している可能性もあるため、変化の時期やほかの症状にも注意が必要です。

指先の動かしにくさ

靴紐を結ぶためには、左右の手で紐をつまみ、交差させ、輪を作るという細かな動作が必要になるため、指先の力や器用さが低下すると、以前より時間がかかったり結び目が緩くなったりすることがあります。

例えば手指の関節に痛みがある人では、細い靴紐をつまむこと自体が負担になる場合があり、指がこわばる人では、結び目を作る途中で紐を離してしまうこともあります。

また、手の震えや感覚の低下がある場合には、紐の位置を調整しにくくなるため、結び方を繰り返し練習するだけでは改善しないこともあります。

  • 指先の力の低下
  • 関節の痛み
  • 手の震え
  • 指のこわばり
  • 感覚の変化

こうした場合には、面ファスナー式の靴や結ばない靴紐などを利用することで、細かな動作を減らしながら靴を履ける可能性があります。

ただし、手の動かしにくさが急に現れた場合や、片側だけに力が入りにくい場合には、病気が関係している可能性があるため、靴の工夫だけで済ませず医療機関へ相談することが重要です。

腰や膝の負担

高齢者が靴紐を結べなくなる理由として、腰や膝を深く曲げることが難しくなっている場合があり、靴紐を結ぶための姿勢を保つこと自体が負担になっていることがあります。

例えば膝の痛みがある人では、しゃがんだ姿勢から立ち上がる動作がつらくなり、腰痛がある人では、前かがみになって足元へ手を伸ばすことで痛みが強くなる場合があります。

また、股関節の動きが制限されている人では、椅子に座っていても足元へ手が届きにくくなることがあるため、靴の種類だけでなく着用姿勢を見直す必要があります。

負担がある部位工夫の例
腰長い靴べら
膝玄関用の椅子
股関節大きく開く履き口
複数の関節着脱しやすい靴

靴を履くために無理な姿勢を取ると、痛みだけでなくバランスを崩す原因にもなるため、椅子に座って落ち着いて着用できる環境を整えることが大切です。

ただし、痛みが強い場合や急に関節が動かしにくくなった場合には、自己判断で動作を続けず、医師や理学療法士などへ相談しましょう。

バランス能力の変化

高齢者が靴を履くときに困る理由には、片足立ちや前かがみの姿勢でバランスを保ちにくくなることもあり、靴紐を結ぶ動作そのものより、姿勢を維持することが難しくなっている場合があります。

例えば玄関で立ったまま靴を履こうとして片足を持ち上げると、体重が片側に集中するため、ふらつきやすい人では転倒の危険が高まることがあります。

また、靴を履くために頭を下げた姿勢から急に体を起こすと、めまいや立ちくらみを感じる人もいるため、慌てずゆっくり動作することが大切です。

  • 片足立ちが不安定
  • 前かがみでふらつく
  • 立ち上がりに時間がかかる
  • 方向転換が難しい
  • 玄関の段差が怖い

こうした場合には、立ったまま履ける靴であっても無理に立位で着用せず、椅子に座って靴を履く方法を優先すると安全性を高めやすくなります。

また、転倒を繰り返している人や歩行に不安がある人では、靴の種類だけでなく身体機能や住環境を含めた評価が必要になるため、医療職や介護の専門職へ相談することも検討しましょう。

高齢者が転びにくい靴を選ぶポイント

靴紐を結べない高齢者のために靴を選ぶ際には、脱ぎ履きのしやすさだけでなく、歩行中に足が安定することや、つまずきにくい靴底であることも重要です。

高齢者の靴選びに関する研究や医療機関の情報でも、足に合ったサイズ、甲の固定、かかとの安定性、靴底の曲がりやすさなどが大切な要素として挙げられており、履きやすいだけで大きすぎる靴を選ぶことには注意が必要です。

ここでは日常の散歩や買い物などで使用する靴を想定し、購入前に確認したいポイントを整理します。

足に合ったサイズ

高齢者が履きやすい靴を選ぶときには、足を入れやすいという理由だけで大きめのサイズを選ばず、足の長さや幅、甲の高さに合ったものを選ぶことが重要です。

靴が大きすぎると、歩くたびに足が前後へずれたり、かかとが浮いたりする場合があり、靴を履くときには楽でも、歩行中にはつまずきやすくなる可能性があります。

一方で、靴が小さすぎると足指が圧迫され、痛みや皮膚のトラブルにつながることがあるため、つま先に適切な余裕がありながら、足の甲やかかとが安定するサイズを選ぶことが大切です。

確認する場所目安
つま先指が圧迫されない
足の甲適度に固定できる
かかと歩行中に浮かない
足幅横から強く当たらない
足全体痛みやしびれがない

医療機関による転倒を防ぐ靴の選び方でも、つま先の余裕だけでなく、甲の締まりやかかとの安定性を確認することが勧められています。

また、足のむくみがある人では時間帯によって履き心地が変わることがあるため、実際に使用する靴下を履いて試着し、立った状態や歩いた状態でも確認するとよいでしょう。

かかとの安定性

靴紐を結べない高齢者が靴を選ぶ際には、かかとがしっかり収まる構造であることが重要であり、履きやすさを優先してかかとを踏んだまま歩くことは避けたいところです。

かかとを踏んだ状態では靴が足に固定されにくくなり、歩行中に靴が脱げたり、足が靴の中で動いたりする可能性があるため、靴を履いた後にはかかと部分が正しい位置に収まっているかを確認する必要があります。

また、かかと部分が柔らかすぎる靴では足の後方を支える力が不足する場合があり、歩行が不安定な人では、適度な硬さと形状を持つ靴が向いていることがあります。

  • かかとを覆う形状
  • 適度な硬さ
  • 歩行中に浮かない
  • 靴が脱げにくい
  • 足首が不安定にならない

ただし、かかと部分が硬ければ必ずよいわけではなく、足の形に合わない場合には靴擦れや痛みにつながるため、本人が実際に履いて歩き心地を確認することが大切です。

また、かかとを踏まずに履ける構造の靴でも、歩行中に足が固定されているかを確認し、必要に応じて専門家へ相談しましょう。

靴底の滑りにくさ

高齢者が外出用の靴を選ぶ際には、靴底が滑りにくいことが重要ですが、滑りにくさだけを重視するのではなく、床面との相性や靴底の曲がりやすさも確認する必要があります。

例えば雨の日の濡れた路面では滑りにくい靴底が役立つ場合がありますが、摩擦が強すぎる靴底では、歩行中に足を引っかけやすくなることもあるため、使用する環境に合った靴を選ぶことが大切です。

また、靴底が硬すぎると足の動きに合わせて曲がりにくくなり、歩行時の負担やつまずきにつながる可能性があるため、足指の付け根付近で適度に曲がるかを確認するとよいでしょう。

靴底の特徴確認すること
滑りにくさ使用する路面との相性
曲がりやすさ足の動きに合うか
つま先の形引っかかりにくいか
接地面安定して立てるか
重量足を上げやすいか

厚生労働省の転倒防止に有効な靴の考え方でも、靴底の屈曲性や重量、つま先部分の形状、床面との摩擦のバランスなどが重要とされています。

靴底がすり減っている場合には、本来の滑りにくさや安定性が低下している可能性があるため、長年使っている靴では定期的に状態を確認し、必要に応じて交換しましょう。

靴の脱ぎ履きを安全にする生活環境の整え方

高齢者が靴紐を結べない場合には、靴の種類を変えるだけでなく、玄関や外出前の環境を整えることで、脱ぎ履きの負担を減らせる可能性があります。

特に玄関では、靴を履くために前かがみになったり、段差を上り下りしたり、片足立ちになったりすることがあるため、転倒を防ぐ視点で環境を見直すことが重要です。

また、本人が一人で靴を履けるようにするためには、補助具の使いやすさだけでなく、日常的に無理なく続けられる動作を考える必要があります。

玄関の段差対策

高齢者が靴を履く際に玄関の段差が大きいと、靴を履いた後の立ち上がりや移動が難しくなる場合があり、靴紐を結べないことに加えて、段差の上り下りが外出の負担になっている可能性があります。

例えば玄関の上がり框が高い場合には、靴を履くために座った後、立ち上がる際に大きな力が必要になることがあるため、本人の身体の状態に合わせた環境調整が重要です。

また、段差の近くに靴や荷物が置かれていると、足を引っかけたり、移動中にバランスを崩したりする可能性があるため、通路を整理することも大切です。

  • 段差の高さを確認する
  • 靴を散らかさない
  • 滑りやすいマットを避ける
  • 手すりの必要性を検討する
  • 照明を明るくする

段差解消のために踏み台を置く場合には、踏み台そのものが動いたり、足を踏み外したりする危険がないかを確認する必要があり、安易に小さな台を置くだけではかえって危険になることがあります。

転倒の不安が大きい場合には、地域包括支援センターや介護支援専門員、福祉用具の専門職などへ相談し、住環境全体を確認してもらう方法も考えられます。

補助具の置き場所

長い靴べらや玄関用の椅子などを用意しても、本人が使いたいときに手が届かなければ十分に活用できないため、補助具の置き場所を工夫することが重要です。

例えば靴べらを玄関の壁に掛ける場合には、椅子に座った状態でも無理なく手が届く高さに設置すると、立ち上がって取りに行く必要がなくなります。

また、靴を履くための椅子と靴べら、普段使う靴を近い場所にまとめておくと、外出前の動作が少なくなり、慌てず準備しやすくなります。

補助具置き方の工夫
長い靴べら座ったまま届く位置
玄関用の椅子安定した平らな場所
普段使う靴椅子の正面
杖倒れにくい収納場所
外出用品通路をふさがない場所

ただし、補助具を増やしすぎると玄関が狭くなり、かえってつまずきやすくなる場合があるため、本人が実際に使うものを中心に配置することが大切です。

また、補助具の位置を急に変更すると、慣れた場所にあると思って手を伸ばした際にバランスを崩す可能性もあるため、本人と相談しながら配置を決めましょう。

外出前の準備

高齢者が靴紐を結べない場合には、外出直前に慌てて靴を履こうとすると転倒の危険が高まる可能性があるため、時間に余裕を持って準備することが大切です。

例えば病院の予約時間や送迎車の到着時刻が迫っていると、急いで立ったまま靴を履こうとしたり、かかとを踏んだまま出発したりすることがあるため、靴の着用に必要な時間をあらかじめ見込んでおくとよいでしょう。

また、外出前には靴だけでなく、靴下や杖、バッグなどを準備しておくことで、靴を履いた後に何度も室内へ戻る必要が少なくなります。

  • 出発時間に余裕を持つ
  • 靴下を先に準備する
  • 椅子に座って靴を履く
  • かかとの位置を確認する
  • 数歩歩いて状態を見る

特に新しい靴や補助具を使い始めたときには、外出当日に初めて使用するのではなく、事前に自宅で着脱や歩行を試しておくことで、不具合に気づきやすくなります。

本人が自分で靴を履くことに時間をかけている場合でも、家族は急がせず、必要な部分だけを手伝うことで、安全と自立の両方を支えやすくなります。

高齢者が靴紐を結べなくても安心して外出できる工夫を選ぼう

高齢者が靴紐を結べなくなった場合には、無理に従来の紐靴を使い続ける必要はなく、面ファスナー式やファスナー式の靴、結ばない靴紐、手を使わず履ける構造の靴などを活用することで、毎日の脱ぎ履きの負担を減らせる可能性があります。

また、腰や膝を曲げることが難しい人では、長い靴べらや玄関用の椅子を使い、座ったまま靴を履ける環境を整えることで、前かがみや片足立ちの動作を減らし、外出前の不安を軽くできる場合があります。

ただし、脱ぎ履きが簡単な靴でも、サイズが大きすぎたり、かかとが固定されなかったりすると歩行中に足がずれやすくなるため、足の甲を適切に固定できること、かかとが安定していること、靴底が歩き方に合っていることを確認する必要があります。

靴紐を結べない理由には、指先の動かしにくさや関節の痛み、バランス能力の変化などが関係している場合があるため、どの動作が難しいのかを確認し、急に症状が現れた場合や転倒を繰り返している場合には、医師や理学療法士などへ相談することも大切です。

家族が支援する際には、本人ができる動作をすべて代わりに行うのではなく、靴をそろえる、補助具を取りやすい位置に置く、必要な留め具だけを手伝うなど、本人の力を生かせる方法を選ぶことで、外出への意欲や自立した生活を支えやすくなります。

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