高齢の親が玄関のドアを開けるときに力を込めていたり、トイレや浴室の扉を開けるのに時間がかかっていたりすると、毎日の生活で困っていないか心配になるものです。
以前は簡単に開け閉めできていたドアでも、年齢とともに握力や腕の筋力が低下したり、肩や手指の関節に痛みが出たりすると、同じドアを以前より重く感じることがあり、特に玄関の重い開き戸では、ドアを引きながら後ろへ下がる動作が負担になる場合があります。
また、ドアが重くなる原因は高齢者の身体の変化だけではなく、ドアクローザーの調整不良や蝶番の不具合、引き戸の戸車の摩耗、レールにたまったごみなど、建具そのものの状態が関係していることもあるため、原因を確認せずに本人の力だけで開けようとすることは避けたいところです。
高齢者がドアを重く感じる場合には、ドアノブをレバーハンドルへ交換する方法、引き戸のレールや戸車を点検する方法、ドアクローザーの状態を確認する方法、開き戸を引き戸へ変更する方法などがあり、困っている場所や身体の状態によって適した対策は異なります。
特に杖や歩行器を使っている人では、ドアを開けるために片手を離したり、後ろへ下がったりすることで転倒する危険があるため、単に軽く開くようにするだけでなく、扉の前後で安定した姿勢を保てることも重要です。
高齢者がドアを重く感じるときに役立つ具体的な工夫から、玄関やトイレなど場所別の対策、修理と交換の判断方法、介護保険の住宅改修制度、家族が支援する際の注意点まで、安全で使いやすい住まいを整えるためのポイントを紹介します。
高齢者がドアを重く感じるときの対策
高齢者がドアを重く感じるときには、最初に扉そのものが動きにくくなっているのか、ドアノブの操作や開閉時の姿勢が負担になっているのかを確認することが大切です。
例えばドアの動きが以前より悪くなっている場合には修理や調整が必要になる可能性がありますが、ドアの動きに問題がなくても握力が弱くなっている場合には、持ち手の変更や扉の形式を見直すことで使いやすくなることがあります。
ここでは費用を抑えて試しやすい方法から住宅改修を伴う方法まで、九つの対策を順番に紹介します。
ドアノブの交換
高齢者がドアを重く感じる場合には、丸いドアノブをレバーハンドルへ交換する方法が有効なことがあり、指先で強く握って回す動作を減らせるため、握力が弱くなった人や手指に痛みがある人にも操作しやすくなる可能性があります。
丸いドアノブでは、手のひらと指でノブをつかみ、手首をひねりながら回す必要がありますが、レバーハンドルなら手のひらや指を使って押し下げられるため、細かな力の調整が難しい人でも扱いやすい場合があります。
例えばトイレのドアノブを回すたびに手が痛くなる高齢者では、レバーハンドルへ変更することで、ドアを開ける前の操作が楽になる可能性があり、急いでトイレへ向かうときの負担軽減にもつながります。
ただし、ドアノブを交換しても扉そのものが重い場合には開閉に必要な力は十分に減らないため、ハンドルの操作性とドア本体の動きやすさを分けて考えることが重要です。
また、既存のドアに適合する製品を選ぶ必要があり、鍵付きの扉では施錠機能や非常時の解錠方法にも関係するため、交換前に専門業者へ確認すると安心です。
ドアクローザーの点検
玄関などの開き戸が以前より重く感じられる場合には、ドアの上部に取り付けられているドアクローザーの状態を確認することが重要であり、製品の種類や調整状態によって開閉時の感覚が変わることがあります。
ドアクローザーは扉が急に閉まることを防ぎ、一定の速度で閉じるための装置ですが、開く際の抵抗や閉じる速度に不具合があると、高齢者が扉を扱いにくく感じる場合があります。
例えば玄関のドアを開ける際に強い力が必要になったり、途中で急に重く感じたりする場合には、扉の建て付けだけでなく、ドアクローザーや蝶番の状態を点検することで原因を見つけられる可能性があります。
- 開くときの重さ
- 閉じるときの速度
- 途中で引っかかる感覚
- 油漏れの有無
- 異音やがたつき
ただし、ドアクローザーの調整ねじをむやみに回したり、本体を分解したりすると、扉が急に閉まるなど危険な状態になるおそれがあるため、取扱説明書を確認し、不明な場合には管理会社や専門業者へ相談しましょう。
特に玄関ドアは防火性能や避難時の安全性に関係する場合があるため、閉まる力を弱くすることだけを優先せず、必要な機能を保ちながら使いやすさを改善することが大切です。
蝶番の修理
開き戸が重くなったり、開閉するときに床や枠へこすれたりする場合には、蝶番の緩みや建て付けの変化が関係していることがあり、修理や調整によってドアの動きが改善する可能性があります。
蝶番は扉を支えながら回転させる部品であり、長年使用しているうちにねじが緩んだり、扉の位置がわずかに変わったりすると、枠や床と接触して余計な力が必要になることがあります。
例えば室内ドアを開けるたびに下側が床へ当たる場合には、単に高齢者の腕の力が弱くなったのではなく、扉が下がっている可能性もあるため、家族が実際に開閉して状態を確認することが重要です。
| 症状 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 床にこする | 扉の下がり |
| 枠に当たる | 建て付けのずれ |
| きしむ音がする | 蝶番の摩耗など |
| がたつく | 固定部分の緩み |
| 途中で止まる | 部品の干渉 |
ただし、重い扉を自分で持ち上げたり、蝶番のねじを外したりすると、扉が倒れてけがをする危険があるため、無理な作業は避け、必要に応じて建具の修理業者へ依頼しましょう。
高齢者が毎日使用する扉では、わずかな引っかかりでも大きな負担になることがあるため、以前と動きが違うと感じた段階で点検することが望まれます。
引き戸のレール清掃
高齢者が引き戸を重く感じる場合には、最初にレールや敷居の溝へごみやほこりがたまっていないかを確認する方法があり、汚れを取り除くだけで動きが改善することがあります。
引き戸は扉を横方向へ動かす構造のため、レールや戸車の状態が開閉のしやすさに影響しやすく、髪の毛や細かなごみが詰まると、途中で引っかかったり動きが重くなったりする場合があります。
例えば廊下と居室の間にある引き戸が以前より動きにくくなった場合には、掃除機や柔らかいブラシなどで溝を清掃し、異物が挟まっていないかを確認することが、比較的取り入れやすい対策です。
- レールのごみ
- 髪の毛の絡まり
- 戸車の異音
- 扉の傾き
- 途中の引っかかり
ただし、製品に合わない潤滑油をむやみに使用すると、ほこりが付着しやすくなったり、部品の性能に悪影響を与えたりする可能性があるため、清掃や注油はメーカーの案内に従うことが大切です。
清掃しても改善しない場合には戸車の摩耗や建て付けの問題が考えられるため、高齢者が無理に力を入れて使い続ける前に、専門業者へ点検を依頼しましょう。
戸車の交換
引き戸のレールを清掃しても動きが重い場合には、扉の下部などに取り付けられた戸車が摩耗している可能性があり、適切な部品へ交換することで開閉が楽になる場合があります。
戸車は引き戸を滑らかに移動させるための部品であり、長期間使用すると回転が悪くなったり、車輪が傷んだりすることがあるため、重さや異音が気になる場合には点検が必要です。
例えばトイレの引き戸を開ける際に途中で止まってしまう場合には、本人が何度も力を込めることで姿勢を崩す危険があるため、扉を軽く動かせる状態へ修理することが重要です。
また、戸車の交換だけで改善する場合もあれば、レールの変形や扉のゆがみが関係している場合もあるため、症状に応じて原因を確認する必要があります。
なお、介護保険の住宅改修では、身体の状況に合わせて扉の使いやすさを改善するための戸車の設置などが対象になる場合があり、厚生労働省の介護サービス関係Q&Aでも関連する取扱いが示されています。
ただし、すべての戸車交換が介護保険の対象になるわけではなく、単なる老朽化への対応は対象外となる場合があるため、制度の利用を考える際には工事前に自治体へ確認しましょう。
引き戸への変更
開き戸を引いたり押したりする動作が難しい高齢者には、扉を横方向へ動かす引き戸へ変更する方法があり、身体を大きく前後へ移動させずに開閉できることから、使いやすさが改善する場合があります。
開き戸では扉の動きに合わせて立ち位置を変える必要があり、特に手前へ引くタイプでは後ろへ下がる動作が必要になりますが、引き戸なら扉の横で操作できるため、杖や歩行器を使う人にも適していることがあります。
例えばトイレの開き戸を引き戸へ変更すると、扉を開けるために後ろへ下がる距離を減らせる場合があり、狭い廊下でも移動しやすくなる可能性があります。
| 扉の種類 | 主な特徴 |
|---|---|
| 開き戸 | 前後に開閉スペースが必要 |
| 引き戸 | 横方向に動かす |
| 折れ戸 | 折りたたんで開く |
| 自動ドア | 開閉操作の負担を減らせる |
国土交通省の建築設計標準でも、開閉動作のしやすさという観点から、引き戸の利点が示されています。
ただし、引き戸へ変更するには扉を引き込むための壁面や設置スペースが必要になる場合があり、建物の構造や防火性能などによって施工できないこともあるため、専門業者による現地確認が欠かせません。
扉の開く方向の変更
ドアそのものの重さに大きな問題がなくても、開く方向が本人の身体の状態や生活動線に合っていない場合には、扉の開く方向を変更することで開閉しやすくなる可能性があります。
例えば右手に力が入りにくい人では、ドアノブの位置や扉の開く方向によって操作が難しくなることがあり、反対側から操作できる構造へ変更することで、使いやすさが改善する場合があります。
また、トイレや洗面所などの狭い場所では、扉を開けるために後ろへ下がる必要があると、壁や家具にぶつかったり、歩行器の位置を変えたりする負担が生じるため、扉の動きと身体の動線を合わせて考えることが重要です。
介護保険の住宅改修では、身体の状況に合わせて右開きから左開きへ変更するなど、扉の性能を変更する工事が対象になる場合があり、単に新しい扉へ交換する場合とは扱いが異なります。
ただし、開く方向を変えると別の場所で通行の妨げになったり、緊急時に扉を開けにくくなったりする可能性もあるため、家族だけで判断せず、実際の生活動線を確認したうえで検討しましょう。
手すりの設置
高齢者がドアを開けるときにふらつく場合には、扉を軽くするだけでなく、開閉時の姿勢を安定させるために手すりを設置する方法が役立つことがあります。
特に玄関やトイレでは、ドアノブをつかんだまま身体を支えようとすると、扉が動いた瞬間にバランスを崩すおそれがあるため、扉とは別に安定した支えを確保することが重要です。
例えばトイレの出入口付近に適切な位置の手すりがあれば、扉を開けた後に姿勢を整えやすくなる場合がありますが、手すりの位置が遠すぎたり高すぎたりすると、かえって無理な姿勢になることがあります。
- 手が届く位置
- 握りやすい形状
- 壁の十分な強度
- 扉との干渉の有無
- 移動経路との相性
ただし、手すりを設置すればドアそのものが軽くなるわけではなく、重い扉を開けるために手すりから手を離さなければならない場合には、根本的な問題が残ることもあります。
そのため、手すりの設置は扉の修理や開閉方式の変更と組み合わせて検討し、必要に応じて理学療法士や作業療法士などの専門職へ相談するとよいでしょう。
自動開閉の検討
高齢者が重いドアを自分で開けることが難しい場合には、自動開閉機能を備えた扉や開閉を補助する装置を検討する方法がありますが、設置費用や安全性、建物の条件などを慎重に確認する必要があります。
自動開閉の仕組みを利用すると、扉を押したり引いたりする力を減らせる場合がありますが、センサーの位置や作動速度が適切でないと、通行中に扉が動いて身体や歩行補助具へ接触する危険があります。
例えば車いすを使っている人では、自動ドアによって扉を開ける操作が減る一方、通行に必要な幅や扉の前後のスペースが不足していると、十分に使いやすくならない場合があります。
| 確認項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 作動方法 | ボタンやセンサー |
| 安全機能 | 挟み込み防止 |
| 停電時 | 手動操作の可否 |
| 設置条件 | 壁や電源の位置 |
| 費用 | 本体・工事・保守 |
また、自動開閉装置の費用が介護保険の住宅改修で必ず認められるわけではなく、電動部分などが対象外となる場合もあるため、制度の利用を前提とする場合には事前確認が欠かせません。
自動化は便利な選択肢ですが、まずは扉の修理やレバーハンドルへの変更、引き戸への改修など、比較的簡単な方法で負担を減らせないかを確認することも大切です。
高齢者がドアを重く感じる原因を見極めよう
高齢者がドアを重く感じる理由は一つではなく、本人の身体機能の変化と、ドアや周辺設備の不具合が重なっている場合があります。
そのため、ドアを交換する前に、家族が同じ扉を操作してみたり、本人がどの動作で困っているかを確認したりすることで、対策の方向性を整理しやすくなります。
また、以前は問題なく開けられていたドアが急に使いにくくなった場合には、身体の変化や建具の故障が関係している可能性があるため、原因を放置しないことが重要です。
握力の低下
高齢者がドアを重く感じる理由の一つに握力の低下があり、特に丸いドアノブを握って回す動作や、重い扉を引き寄せる動作では、手指や前腕の力が必要になるため、以前より負担を感じる場合があります。
例えば手指の関節に痛みがある人では、ドアノブをつかむだけでも不快感が生じることがあり、握力が弱くなっている人では、扉を開ける途中で持ち手から手が離れてしまうこともあります。
また、指先の感覚が鈍くなっている場合には、ドアノブをしっかり握れているか判断しにくくなるため、単に強く握るように促すのではなく、操作しやすい形状へ変更することが重要です。
- ノブを回しにくい
- 指に痛みがある
- 持ち手から手が離れる
- 手首をひねりにくい
- 操作に時間がかかる
こうした場合にはレバーハンドルへの変更や持ち手の形状の見直しが役立つことがありますが、扉そのものの抵抗が大きい場合には修理や調整も必要になります。
なお、片側の手に突然力が入らなくなった場合や、顔のゆがみ、言葉の出にくさなどを伴う場合には、脳卒中などの緊急性の高い病気が疑われるため、直ちに救急対応を検討してください。
肩や腕の痛み
高齢者がドアを開ける際に肩や腕へ痛みを感じる場合には、扉を押す動作や引く動作が身体に負担をかけている可能性があり、特に重い玄関ドアでは肩や肘に大きな力が必要になることがあります。
例えば肩を前へ伸ばしにくい人では、ドアノブを持ったまま扉を押し開ける動作が難しくなり、腕を後ろへ引きにくい人では、手前に開く扉を十分に開けられない場合があります。
また、肩や肘の痛みがある人では、ドアを開けるために身体全体を使って押したり、扉に体重をかけたりすることがあり、その結果として姿勢が不安定になる可能性もあります。
| 困りごと | 検討する対策 |
|---|---|
| 押すと痛い | 扉の抵抗を減らす |
| 引くと痛い | 引き戸への変更 |
| 腕が届かない | ハンドル位置の見直し |
| 手首がつらい | レバーハンドル |
肩や腕の痛みが続いている場合には、ドアの工夫だけで対応しようとせず、医師やリハビリテーションの専門職へ相談し、無理のない動作を確認することが大切です。
また、痛みを避けるために別の手で操作する場合でも、立ち位置が不安定になることがあるため、本人が安全に動ける方向や姿勢を確認しましょう。
建具の不具合
高齢者がドアを重く感じる原因として、建具そのものの不具合が関係している場合もあり、扉のゆがみや部品の摩耗、レールの汚れなどによって、以前より開閉に大きな力が必要になることがあります。
例えば家族が同じドアを操作しても重く感じる場合には、本人の筋力だけの問題ではなく、蝶番やドアクローザー、戸車などに原因がある可能性があるため、点検を検討するとよいでしょう。
また、季節による湿度の変化や建物の状態によって扉が枠に接触する場合もあり、特定の位置で引っかかる場合には、無理に押したり引いたりせず、どこで抵抗が生じているかを確認することが重要です。
- 扉のゆがみ
- 蝶番の緩み
- 戸車の摩耗
- レールの汚れ
- ドアクローザーの不具合
不具合がある状態で使い続けると、突然扉が動かなくなったり、強く閉まったりする可能性があるため、特に玄関やトイレなど日常的に使う場所では早めの対応が望まれます。
ただし、重い扉を無理に持ち上げたり、部品を分解したりする作業には危険が伴うため、清掃など安全にできる範囲を超える場合には専門業者へ依頼しましょう。
場所に合わせてドアの使いやすさを改善しよう
高齢者がドアを重く感じる場合には、玄関、トイレ、浴室など、使用する場所によって優先すべき対策が異なります。
玄関では防犯性や防火性能、トイレでは緊急時の救助のしやすさ、浴室では水濡れや転倒の危険などを考慮する必要があるため、開閉に必要な力だけで判断しないことが重要です。
ここでは高齢者が毎日利用することの多い三つの場所について、具体的な改善方法を紹介します。
玄関ドア
玄関ドアを重く感じる高齢者には、ドアクローザーや蝶番の点検、ハンドルの操作性の見直しなどが考えられますが、玄関は建物の安全性や防犯性に関係するため、安易な改造を避けることが重要です。
例えば玄関ドアを手前へ引く際に後ろへ下がる必要がある人では、段差や靴の位置によって転倒しやすくなることがあり、扉の前後に十分なスペースを確保することが大切です。
また、集合住宅の玄関ドアは共用部分として扱われる場合があり、居住者が自由に交換や加工をできないこともあるため、マンションでは管理規約や管理会社への確認が必要になります。
- ドアクローザーの状態
- ハンドルの操作性
- 玄関前後のスペース
- 段差や靴の位置
- 管理規約や防火性能
玄関の扉が強く閉まる場合には、手や指を挟む危険があるため、ドアクローザーを外して使うのではなく、適切な点検や修理を行うことが望まれます。
また、非常時に玄関から出入りできることは重要なため、扉を軽くする工事を検討する際には、施錠や避難のしやすさも含めて専門業者へ相談しましょう。
トイレのドア
トイレのドアが重い場合には、急いで入室しようとしたときに無理な力がかかりやすく、特に歩行が不安定な高齢者では、扉を開ける途中でバランスを崩すおそれがあります。
例えばトイレの開き戸を手前へ引く必要がある場合には、扉を開けるために後ろへ下がる動作が必要になることがあり、狭い廊下では杖や歩行器を動かすスペースが不足する場合もあります。
このような場合には引き戸への変更やレバーハンドルへの交換などが選択肢になりますが、扉の形式を変える際には、トイレ内部で転倒した人を外から救助できるかも確認することが重要です。
| 困りごと | 改善方法 |
|---|---|
| ノブを回せない | レバーハンドル |
| 扉を引きにくい | 引き戸への変更 |
| 廊下が狭い | 開閉方向の見直し |
| 立位が不安定 | 手すりの検討 |
また、トイレのドアを常に開けておく方法は一時的に便利に感じられることがありますが、プライバシーや冷暖房、生活動線への影響もあるため、恒常的な対策としては適切な扉の改善を検討したいところです。
本人がトイレへ行くことを我慢するようになっている場合には、生活上の負担が大きくなっている可能性があるため、早めに家族や介護の専門職へ相談しましょう。
浴室のドア
浴室のドアを重く感じる高齢者には、扉の動きやすさだけでなく、濡れた床での転倒を防ぐことが重要であり、浴室の出入口では片手で扉を操作しながら身体を支える必要が生じる場合があります。
例えば浴室の開き戸が重い場合には、扉を押すために前へ体重をかけることで足が滑るおそれがあり、折れ戸でも部品が摩耗していると開閉に余計な力が必要になることがあります。
また、浴室は湿気が多く、部品の腐食や汚れが開閉に影響する場合があるため、扉のレールや戸車、取っ手の状態を定期的に確認することが大切です。
- 濡れた床の滑りやすさ
- 扉の開閉抵抗
- 取っ手の握りやすさ
- 出入口の段差
- 緊急時の開放方法
浴室の扉を交換する場合には、防水性や換気、緊急時の救助方法などにも関係するため、単に軽い扉へ変更するのではなく、浴室設備に詳しい専門業者へ相談することが重要です。
また、入浴中にふらつきや転倒が起きている場合には、扉の改善だけでなく手すりや浴室用いすなども含めた環境調整を検討し、必要に応じて介護の専門職へ相談しましょう。
介護保険でドアを改修できるか確認しよう
高齢者がドアを重く感じて日常生活に支障が出ている場合には、介護保険の住宅改修制度を利用して、扉の取り替えやドアノブの変更などを行える可能性があります。
ただし、制度の対象となるのは要支援・要介護認定を受けている人など一定の条件を満たす場合であり、単に古くなった扉を新しくする工事は対象外になることがあります。
また、住宅改修費は原則として工事前の申請が必要になるため、制度を利用したい場合には、工事を依頼する前にケアマネジャーや自治体へ相談することが重要です。
対象になる工事
介護保険の住宅改修では、要支援・要介護認定を受けた人が自宅で安全に生活するために必要な工事として、引き戸等への扉の取り替えなどが給付対象になる場合があります。
厚生労働省の福祉用具・住宅改修の案内では、住宅改修の対象工事として引き戸等への扉の取り替えが示されており、身体の状態に応じて開き戸を引き戸へ変更する工事などが想定されています。
また、厚生労働省のQ&Aでは、身体の状況に合わせてドアノブをレバーハンドルへ変更する工事や、戸車を設置する工事なども対象になり得ると示されているため、扉全体を交換しなくても制度を利用できる可能性があります。
| 工事の例 | 対象となる可能性 |
|---|---|
| 開き戸から引き戸 | あり |
| ドアノブの変更 | あり |
| 開く方向の変更 | あり |
| 戸車の設置 | あり |
| 単なる老朽化修理 | 原則対象外 |
ただし、同じ工事でも本人の身体の状態や住宅の状況によって判断が異なるため、対象になると決めつけて工事を始めることは避けましょう。
制度を利用する場合には、なぜその工事が必要なのかを具体的に説明できるよう、日常生活で困っている動作や転倒の危険などを整理しておくことが重要です。
住宅改修費の上限
介護保険の住宅改修費には、原則として一人につき20万円を支給限度基準額とする仕組みがあり、対象となる工事費について、本人の負担割合に応じた給付を受けられる場合があります。
例えば負担割合が1割の場合には、対象となる工事費が20万円であれば原則18万円が保険給付の対象となり、本人の負担は2万円となりますが、対象外の工事費や限度額を超えた費用は別途負担する必要があります。
また、支給限度基準額は工事ごとに20万円が使えるという意味ではなく、原則として同じ住宅での利用額を通算する仕組みであるため、過去に手すりの設置や段差解消などで利用している場合には残額を確認する必要があります。
- 支給限度基準額は原則20万円
- 自己負担割合は1〜3割
- 対象外費用は自己負担
- 過去の利用額を確認
- 工事前の手続きが重要
なお、一定の条件を満たす転居や要介護状態の大きな変化などによって、支給限度基準額の扱いが変わる場合もあるため、過去に制度を利用していても自治体へ確認することが望まれます。
住宅改修費の詳細は自治体の窓口で確認できるため、見積もりを取る前に利用条件や申請方法を把握しておくと、工事後の費用負担を見通しやすくなります。
工事前の相談先
高齢者がドアを重く感じて住宅改修を検討する場合には、最初にケアマネジャーや地域包括支援センター、自治体の介護保険担当窓口へ相談することで、本人の身体の状態に合った工事を考えやすくなります。
例えば玄関ドアを軽くしたい場合でも、実際にはドアノブの操作が難しいのか、扉を引く姿勢が不安定なのか、建具が故障しているのかによって必要な工事が異なるため、専門職による確認が役立ちます。
また、住宅改修費を利用する際には、工事前に必要な書類や理由書、見積書などを準備する必要があるため、工事を始めてから相談するのではなく、計画段階で確認することが重要です。
| 相談先 | 相談内容 |
|---|---|
| ケアマネジャー | 生活動作と改修の必要性 |
| 地域包括支援センター | 介護や住環境の相談 |
| 自治体 | 給付条件と申請方法 |
| 建具の専門業者 | 修理や施工の可否 |
| 管理会社 | 賃貸・集合住宅の工事条件 |
賃貸住宅や集合住宅では、所有者や管理組合の承諾が必要になる場合もあるため、工事内容を決める前に建物のルールを確認しましょう。
また、介護保険の対象にならない場合でも、自治体独自の住宅改修助成制度などが設けられていることがあるため、利用できる支援がないか確認するとよいでしょう。
高齢者がドアを楽に開け閉めできる住まいを整えよう
高齢者がドアを重く感じる場合には、握力や肩の動きなど身体の変化が関係していることもあれば、ドアクローザーや蝶番、引き戸の戸車など建具の不具合が原因になっていることもあるため、まずはどの動作で困っているのかを確認することが大切です。
丸いドアノブを回すことが難しい人にはレバーハンドルへの交換、引き戸が重い場合にはレールの清掃や戸車の点検、開き戸を引く動作が負担になる人には引き戸への変更など、原因に合った対策を選ぶことで、毎日の開け閉めを楽にできる可能性があります。
また、玄関では防犯性や防火性能、トイレでは緊急時の救助のしやすさ、浴室では濡れた床での転倒防止など、場所ごとに異なる安全上の条件があるため、単にドアを軽くすることだけを優先せず、生活全体の使いやすさを考える必要があります。
要支援・要介護認定を受けている高齢者では、引き戸への変更やドアノブの交換などが介護保険の住宅改修費の対象になる場合があり、原則20万円の支給限度基準額の範囲で給付を受けられる可能性があるため、工事前にケアマネジャーや自治体へ相談することが重要です。
家族が支援する際には、本人が無理に重いドアを押したり引いたりしていないか、開閉時にふらついていないかを確認し、必要に応じて修理や住宅改修、手すりの設置などを組み合わせることで、本人の自立を尊重しながら安全で暮らしやすい住環境を整えていきましょう。


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