高齢の親が雨の日に買い物や通院へ出かけるとき、濡れた道路で滑らないか、傘を持ったまま安全に歩けるか、家族として心配になることがあるのではないでしょうか。
雨の日は道路や建物の床が濡れて滑りやすくなるだけでなく、水たまりで段差が見えにくくなったり、傘によって周囲の視界が狭くなったりするため、晴れた日と同じ感覚で歩くと転倒につながる可能性があります。
特に高齢者は、加齢に伴う筋力やバランス能力の変化、視力の低下、関節の痛みなどによって、とっさに姿勢を立て直すことが難しい場合があり、転倒による骨折や頭部のけがが、その後の生活に大きな影響を与えることもあります。
実際に消費者庁は2026年6月の注意喚起で、雨に濡れたマンホールやタイル、施設内の床などで滑る危険性を取り上げており、靴底の状態を確認することや、濡れた場所をできるだけ避けて慎重に歩くことを勧めています。
高齢者が雨の日に外出するときの注意点を中心に、転倒しやすい場所、安全な靴や雨具の選び方、杖や歩行器を使用する際の工夫、通院や買い物で気を付けたいこと、外出を延期したほうがよい状況、家族ができる支援まで具体的に紹介するので、本人の外出する楽しみや自立した生活を大切にしながら、安全性を高めるための参考にしてください。
高齢者が雨の日に外出するときの注意点
高齢者が雨の日に外出する際には、濡れた場所で滑らないこと、足元を見失わないこと、両手や身体のバランスをできるだけ保つことが重要であり、出発前の準備と歩行中の注意を組み合わせる必要があります。
晴れた日に問題なく歩ける道でも、雨によって路面の状態や周囲の見え方が変わるため、普段から利用している場所だから安全だと思い込まないことが大切です。
まずは靴や雨具の確認、危険な場所の回避、歩く速度の調整など、日常の外出で取り入れやすい九つの注意点を押さえましょう。
滑りにくい靴を履く
雨の日に外出する高齢者は、濡れた路面でも滑りにくく、足にしっかり合った靴を選ぶことが大切であり、靴底がすり減った靴や足から脱げやすい履物は避ける必要があります。
例えば普段履き慣れている靴でも、靴底の溝が浅くなっていたり、かかとの部分が大きく摩耗していたりすると、濡れたタイルやマンホールの上で滑りやすくなる場合があります。
また、靴が大きすぎると歩くたびに足が内部で動き、小さすぎると指先が圧迫されるため、滑りにくさだけでなく、足の長さや幅に合っているかを確認することが重要です。
- 靴底がすり減っていない
- 足の幅や長さが合っている
- かかとが安定している
- 脱げにくい構造になっている
- 濡れても歩きやすい
防水性のある靴は足元が濡れる不快感を減らすのに役立ちますが、防水性能が高いことと濡れた路面で滑りにくいことは別のため、靴底の材質や形状も確認しましょう。
新しい靴を購入する場合には、雨の日に初めて長距離を歩くのではなく、室内や安全な場所で履き心地を確かめ、足が痛くならないことや歩行時にぐらつかないことを確認してから使用することが大切です。
マンホールを避けて歩く
雨の日の道路では、濡れたマンホールのふたや金属製の側溝のふたが滑りやすくなるため、高齢者はできるだけ踏まない経路を選ぶことが重要です。
消費者庁が2026年6月に公表した雨の日の事故に関する注意喚起でも、雨に濡れたマンホールの上を歩いた高齢者が滑り、頭やお尻を打った事例が紹介されています。
例えば歩道の中央にマンホールがある場合には、周囲の歩行者や自転車の動きに注意しながら、安全な路面を選んで通過することで、滑る危険を減らせる可能性があります。
| 場所 | 主な危険 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| マンホール | 金属面で滑る | できるだけ避ける |
| 側溝のふた | 滑りや隙間 | 足元を確認する |
| タイル舗装 | 濡れると滑る | 慎重に歩く |
| 白線のある路面 | 材質によって滑る | 急な動きを避ける |
| 苔のある場所 | 足を取られやすい | 別の経路を選ぶ |
ただし、マンホールを避けようとして急に横へ動くと、後方から来る自転車や車両と接触する危険があるため、進路を変える前に周囲を確認する必要があります。
安全に避けられる場所がない場合には、無理にまたいだり大きく踏み出したりせず、歩幅を小さくして慎重に通過し、不安が強ければ別の道を選びましょう。
歩幅を小さくする
雨の日に高齢者が歩くときには、普段より歩幅を小さくし、急いで足を運ばないことが重要であり、身体のバランスを保ちながら路面の状態を確認して進む必要があります。
例えば大きく踏み出して歩くと、片足で身体を支える時間が長くなり、着地した場所が滑りやすかった場合に姿勢を立て直しにくくなることがあります。
また、傘を差していると視界が狭くなり、前方の水たまりや段差を発見するまでの時間が短くなるため、足元だけを見続けるのではなく、少し先の路面も確認しながら歩くことが大切です。
- 普段より歩幅を小さくする
- 急いで歩かない
- 急な方向転換を避ける
- 段差の前で速度を落とす
- 疲れたら安全な場所で休む
ただし、極端に足を引きずる歩き方では小さな段差につまずく場合もあるため、本人が普段から指導されている歩行方法があれば、それを優先する必要があります。
歩行中にふらつきやめまいが出た場合には、無理に目的地まで進まず、安全な場所で立ち止まり、必要に応じて家族や周囲の人へ助けを求めましょう。
傘で視界を遮らない
雨の日に傘を使用する高齢者は、傘を深く差しすぎて前方や足元が見えなくならないようにすることが重要であり、周囲の歩行者や自転車、車の動きを確認できる状態を保つ必要があります。
例えば風が強いときに傘を顔の前へ大きく傾けると、道路の段差や横断歩道へ近づく車両が見えにくくなり、思わぬ事故につながる可能性があります。
また、傘を片手で持つことで身体の左右のバランスが変わり、普段から杖や手すりを必要とする人では歩行が不安定になる場合もあります。
| 傘の使い方 | 気を付けたい点 |
|---|---|
| 深く差す | 前方が見えにくい |
| 横へ大きく傾ける | 周囲に接触しやすい |
| 強風で使用する | 身体があおられる |
| 閉じて持ち歩く | 先端の向きに注意 |
消費者庁は2026年6月の注意喚起で、閉じた傘を横向きや斜めに持たず、先端が地面へ向くように持つことを勧めており、本人だけでなく周囲の人の安全にも配慮する必要があります。
傘を持つと歩きにくい人や両手を使いたい人では、視界や動作を妨げにくいレインコートを検討し、本人が安全に歩ける方法を選びましょう。
段差の前で立ち止まる
雨の日の段差は水たまりによって高さや境目が見えにくくなることがあるため、高齢者は段差の前で一度立ち止まり、足元を確認してから進むことが大切です。
例えば歩道から車道へ下りる場所では、雨水がたまることで縁石の高さが分かりにくくなり、足を踏み外したり、着地した瞬間に滑ったりする可能性があります。
また、店舗の入口や駅の階段では、靴底が濡れた状態で段差を上り下りすることになるため、普段より慎重な動作が必要になります。
- 段差の位置を確認する
- 水たまりの深さを推測しない
- 手すりがあれば利用する
- 一段ずつ慎重に進む
- 無理に大きくまたがない
特に水たまりの中は路面のくぼみや側溝が隠れている場合があるため、深さが分からない場所へ不用意に足を入れないようにしましょう。
段差を越えることに不安がある場合には、遠回りになっても段差の少ない経路を選び、手すりやスロープを利用できる場所を事前に確認しておくことが重要です。
店舗の入口で足元を確認する
高齢者が雨の日に買い物へ出かける際には、屋外の道路だけでなく、スーパーやコンビニなどの入口で滑る危険があることを意識する必要があります。
国民生活センターは2024年6月、雨天の夜にコンビニの入口マットから一歩踏み出した際に転倒し、手首を骨折した70歳代の事例を紹介しています。
店舗の入口では、雨水で濡れた床と吸水マットの境目、めくれたマットの端、傘から落ちた水滴などが転倒の原因になる場合があり、屋外から屋内へ入った直後も注意が必要です。
| 場所 | 確認すること |
|---|---|
| 入口マット | 端のめくれ |
| タイル床 | 水滴や滑りやすさ |
| スロープ | 濡れた表面 |
| 売り場 | 落下物や障害物 |
| 冷凍ケース周辺 | 床の水濡れ |
特に店舗へ入ると安心して歩く速度を上げてしまうことがありますが、靴底に付いた水分によって滑りやすい場合もあるため、入口付近では一度足元を確認しましょう。
床が濡れていて危険だと感じた場合には、無理に通過せず、店舗のスタッフへ知らせて安全な通路を確認することが大切です。
雨具で両手の負担を減らす
高齢者が雨の日に外出するときには、雨を防ぐことだけでなく、歩行中の身体のバランスを保ちやすい雨具を選ぶことが重要です。
例えば片手で杖を持ち、もう片方の手で傘を差す場合には、荷物を持つ余裕がなくなり、転倒しそうになったときに身体を支えにくくなる可能性があります。
そのような場合には、動きを妨げにくいレインコートやレインジャケットを使用することで、傘を持たずに歩ける状況を作れる場合があります。
- 腕を動かしやすい
- 裾が長すぎない
- 視界を遮らない
- 着脱しやすい
- 蒸れにくい
ただし、レインコートのフードが顔の横まで覆うと周囲が見えにくくなる場合があるため、首を左右へ動かしたときの視界も確認する必要があります。
また、裾が長すぎる雨具は足に絡まったり、階段で踏んだりする危険があるため、本人の身長や歩き方に合う長さを選びましょう。
荷物を持ちすぎない
雨の日の外出では、傘や雨具に加えて買い物袋などを持つことになるため、高齢者は荷物をできるだけ少なくし、歩行時のバランスを保ちやすくすることが大切です。
例えば片手に傘、もう片方の手に重い買い物袋を持つと、身体が左右どちらかへ傾きやすくなり、濡れた路面で足を滑らせたときに姿勢を立て直しにくくなる場合があります。
また、荷物が多いと足元を確認しにくくなったり、階段で手すりを使えなくなったりするため、買い物の量や持ち運び方を見直す必要があります。
| 持ち運び方 | 注意点 |
|---|---|
| 手提げ袋 | 片側へ重さが偏る |
| リュック | 重すぎると負担 |
| 肩掛けバッグ | 身体の片側へ偏る |
| 買い物カート | 濡れた坂道での安定性 |
| 配送サービス | 持ち運びを減らせる |
両手を空けやすいバッグは便利ですが、重い荷物を背負うと重心が変わることもあるため、本人が無理なく持てる量に抑えることが重要です。
雨の日に重いものを購入する必要がある場合には、店舗の配送サービスや家族の送迎を利用し、荷物を持って歩く距離を減らす方法も検討しましょう。
外出する時間を見直す
高齢者が雨の日に外出するときには、目的地へ行くことだけを優先せず、雨の強さや時間帯を確認し、比較的安全に移動できる時間を選ぶことが重要です。
例えば強い雨が降っている時間や日没後の暗い時間帯では、路面の段差や水たまりが見えにくくなり、普段より転倒の危険が高まる場合があります。
また、通勤や通学の時間帯は歩行者や自転車が多く、傘を差した人同士がすれ違う際に接触する可能性もあるため、混雑する時間を避けることが役立つ場合があります。
- 雨の強さを確認する
- 明るい時間帯を選ぶ
- 混雑する時間を避ける
- 移動時間に余裕を持つ
- 危険なら予定を変更する
ただし、雨が弱くなっても道路や店舗の床には水分が残っていることがあるため、雨がやんだ直後でも滑りやすい場所への注意は必要です。
通院など予定を変更しにくい外出では、予約時間の調整や送迎サービスの利用を検討し、無理に急いで歩かなくて済む計画を立てましょう。
雨の日に転倒しやすい場所を知っておこう
雨の日の転倒事故を防ぐためには、滑りやすい場所を事前に知り、危険な路面や段差を避けることが重要です。
政府広報オンラインでは、雨の日に注意したい場所として、濡れたマンホールや側溝のふた、店舗入口のマット、スロープ、駐車場の段差などが挙げられています。
ここでは道路、建物の入口、階段や坂道という三つの場面に分けて、特に注意したいポイントを整理します。
道路の水たまり
雨の日の道路では、水たまりによって路面の状態が見えにくくなるため、高齢者は深さが分からない場所へ不用意に足を入れないことが大切です。
例えば歩道のくぼみに水がたまっている場合には、表面からは浅く見えても、実際には段差や穴が隠れていることがあり、足を踏み外す可能性があります。
また、歩道と車道の境目では水が集まりやすく、縁石の位置が分かりにくくなる場合もあるため、横断歩道へ進む前に足元を確認する必要があります。
- 深さの分からない水たまり
- 濡れたマンホール
- 側溝のふた
- 歩道と車道の境目
- 苔のある路面
水たまりを避ける際には、急に車道へ出たり、後方を確認せず進路を変えたりすると別の事故につながるため、周囲の安全を確かめてから移動しましょう。
冠水して道路の状態が分からない場合には、徒歩で通過しようとせず、安全な場所へ戻るか、別の経路を選ぶことが重要です。
建物の入口
雨の日の建物の入口は、屋外から持ち込まれた雨水で床が濡れやすく、吸水マットや段差もあるため、高齢者が転倒しやすい場所の一つです。
例えばスーパーの入口では、雨に濡れた靴のままタイル床へ踏み出した瞬間に滑る場合があり、外から中へ入ったことで安心してしまうと危険に気づきにくくなります。
また、マットの端がめくれていたり、床の色が変わる部分に小さな段差があったりすると、足先を引っかける可能性もあります。
| 確認場所 | 危険の例 | 対策 |
|---|---|---|
| 入口マット | 端につまずく | 足元を確認 |
| タイル床 | 水滴で滑る | ゆっくり歩く |
| 自動ドア付近 | 人と接触する | 周囲を確認 |
| スロープ | 濡れて滑る | 慎重に進む |
| 売り場の通路 | 障害物につまずく | 進路を確認 |
国民生活センターも2024年の注意喚起で、店舗入口の水濡れやマット、売り場の障害物などへの注意を呼びかけています。
危険な場所を見つけた場合には、無理に通り抜けず、店舗スタッフへ知らせたり、安全な入口や通路を確認したりすることが大切です。
階段や坂道
雨の日の階段や坂道では、濡れた路面によって足元が滑りやすくなるだけでなく、身体の重心を調整する必要があるため、高齢者は普段以上に慎重に移動することが重要です。
例えば下り坂では身体が前方へ進みやすく、足元が滑った場合に姿勢を立て直すことが難しくなるため、歩く速度を落として一歩ずつ進む必要があります。
また、階段では濡れた踏み面や手すり、靴底の水分が影響することがあり、傘や荷物を持った状態では身体を支える手が使いにくくなる場合があります。
- 急な坂道を避ける
- 階段では手すりを使う
- 一段ずつ慎重に進む
- 荷物を持ちすぎない
- 危険なら別の経路を選ぶ
ただし、手すりが濡れている場合には握った手が滑る可能性もあるため、確実に握れるかを確認し、無理に身体を預けないようにしましょう。
足腰に不安がある人では、階段や急な坂道を通らずに済む経路を選び、必要に応じてエレベーターや送迎サービスを利用することも安全な外出につながります。
雨の日に使いやすい服装を選ぼう
高齢者が雨の日に外出する際には、濡れないことだけでなく、身体を動かしやすく、足元や周囲を確認しやすい服装を選ぶことが大切です。
雨具や靴が身体に合っていないと、歩幅が小さくなりすぎたり、視界が狭くなったりする場合があるため、購入時には実際に着用して動きやすさを確認する必要があります。
ここでは靴、レインコート、バッグの三つに分けて、選ぶ際のポイントを紹介します。
靴底の状態
雨の日に履く靴を選ぶときには、靴底の溝や材質だけでなく、すり減り具合と足へのフィット感を確認することが重要です。
例えば長年使用している靴では、見た目に大きな傷がなくても靴底が摩耗している場合があり、濡れた床で十分な滑りにくさを得られない可能性があります。
また、靴のかかとが柔らかすぎたり、履き口が緩すぎたりすると、歩行中に足が不安定になりやすいため、足を適切に支えられる構造を選ぶことが大切です。
| 確認項目 | 選び方 |
|---|---|
| 靴底 | 摩耗が少ない |
| かかと | 足を安定して支える |
| 履き口 | 脱げにくい |
| サイズ | 足に合っている |
| 防水性 | 用途に合っている |
ただし、滑りにくいと表示された靴でも、すべての濡れた路面で滑らないわけではないため、靴の性能を過信せず慎重に歩く必要があります。
足の変形やむくみ、装具の使用などがある人では、市販の靴が合わない場合もあるため、必要に応じて医療機関や靴の専門店へ相談しましょう。
レインコートの形状
高齢者が雨の日に使うレインコートは、身体を濡らさないだけでなく、歩行中の視界と手足の動きを妨げない形状を選ぶことが重要です。
例えば丈の長いレインコートでは雨を防ぎやすい一方、裾が足へ絡まったり、階段で踏んだりする危険があるため、本人の身長や歩き方に合う長さを確認する必要があります。
また、フードを深くかぶると左右の視界が狭くなり、車や自転車の接近に気づきにくくなる場合があるため、顔の周囲が見やすい構造を選ぶことが大切です。
- 裾が長すぎない
- 腕を動かしやすい
- 左右の視界を確保できる
- 着脱しやすい
- 蒸れにくい
特に杖や歩行器を使用する人では、レインコートの袖や裾が補助具へ引っかからないかを確認し、実際に歩いたときの動きを確かめましょう。
雨具の着脱時にも転倒の危険があるため、玄関などの安全な場所で椅子に座って準備し、急いで着替えないことが重要です。
バッグの持ち方
雨の日の外出では、バッグの重さや持ち方が歩行時のバランスへ影響するため、高齢者は必要な荷物をできるだけ軽くまとめることが大切です。
例えば片手に傘を持ちながら重い手提げバッグを持つと、左右の重さが偏り、足元が滑ったときに身体を支えにくくなる可能性があります。
また、バッグが身体の前で大きく揺れると足元が見えにくくなる場合があるため、身体に合った大きさや持ち方を選ぶ必要があります。
| バッグの種類 | 確認すること |
|---|---|
| リュック | 重さと背負いやすさ |
| 肩掛けバッグ | 左右の重さの偏り |
| 手提げバッグ | 片手がふさがる |
| 小型バッグ | 必要な物が入るか |
ただし、リュックは両手を空けやすい一方で、荷物が重すぎると身体の重心が変わり、後ろへ引っ張られるように感じる場合があるため注意が必要です。
通院や買い物では持参する物を事前に整理し、重い荷物が必要な場合には家族の同行や配送サービスを検討しましょう。
杖や歩行器を使う人の安全を考えよう
杖や歩行器を使用している高齢者が雨の日に外出する場合には、本人の足元だけでなく、歩行補助具が濡れた路面で安定して使えるかを確認することが重要です。
補助具の先端や車輪の状態、雨具との組み合わせによっては、普段より歩きにくくなる場合があるため、自己判断で使い方を変えないようにしましょう。
ここでは杖、歩行器、家族の付き添いについて、安全性を高めるための考え方を整理します。
杖先のゴムを確認する
杖を使用する高齢者が雨の日に外出するときには、杖先のゴムがすり減っていないか、ひび割れや緩みがないかを確認することが重要です。
例えば杖先のゴムが摩耗している場合には、濡れたタイルや金属面で滑る可能性があり、身体を支えようとした瞬間に杖が動く危険があります。
また、杖の長さが本人に合っていない場合には、肩や手首へ負担がかかったり、歩行姿勢が不安定になったりすることがあるため、先端だけでなく全体の状態を確認する必要があります。
- ゴムがすり減っていない
- ひび割れがない
- 先端が緩んでいない
- 杖の長さが合っている
- 持ち手が滑りにくい
ただし、新しいゴムへ交換しても、すべての濡れた路面で滑らないわけではないため、杖の性能を過信せず慎重に歩くことが大切です。
杖を持ちながら傘を差すことが難しい場合には、レインコートの利用や家族の同行を検討し、必要に応じて理学療法士や福祉用具専門相談員へ相談しましょう。
歩行器の使用条件を確認する
歩行器や歩行車を使用している高齢者は、雨の日に屋外で使用できる製品かどうかを確認し、濡れた路面での安定性やブレーキの状態に注意する必要があります。
例えば車輪のある歩行車では、濡れた坂道や段差で思ったように停止できない場合があり、急な下り坂では身体が前へ引っ張られる危険があります。
また、歩行器の種類によっては屋内使用を想定した製品もあるため、雨の日の屋外で使用してよいかを取扱説明書で確認することが重要です。
| 確認項目 | 注意点 |
|---|---|
| 使用場所 | 屋外対応か確認 |
| 車輪 | 摩耗や異物 |
| ブレーキ | 正常に作動するか |
| 持ち手 | 濡れて滑らないか |
| 坂道 | 無理に進まない |
歩行器へ傘を取り付ける場合には、製品の安全性や取り付け条件を確認せずに改造すると、風を受けて不安定になったり、操作を妨げたりする可能性があります。
雨の日の外出が難しい場合には、無理に歩行器を使い続けるのではなく、送迎や移動支援など別の方法を検討しましょう。
家族が付き添う
雨の日に一人で歩くことへ不安がある高齢者には、家族や支援者が付き添うことで、危険な場所を避けたり、移動方法を判断したりしやすくなる場合があります。
例えば通院のために濡れた階段や坂道を通る必要がある場合には、付き添う人が事前に経路を確認し、エレベーターや屋根のある通路を利用できるか調べることが役立ちます。
ただし、付き添いがあれば必ず安全というわけではなく、本人の腕を急に引っ張ったり、歩く速度を合わせずに進んだりすると、かえって転倒につながる可能性があります。
- 本人の歩く速度に合わせる
- 急に腕を引っ張らない
- 段差の前で声をかける
- 休憩できる場所を確認する
- 危険なら移動方法を変える
歩行を介助する際には、本人が普段どのような支援を受けているかを確認し、必要に応じて理学療法士や作業療法士などから安全な介助方法を教わることが重要です。
家族が付き添えない場合には、地域の移動支援や介護保険サービスなどを利用できるか、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談することも検討しましょう。
雨の日の外出は無理のない予定にしよう
高齢者が雨の日に安全に外出するためには、靴や歩き方を工夫するだけでなく、天候や体調に合わせて予定を変更できることも重要です。
強い雨や風がある日、身体がふらつく日、外出先までの道に危険な場所が多い日などは、無理に出かけることで転倒や体調悪化につながる可能性があります。
ここでは外出を延期する判断、通院や買い物の代替手段、帰宅後の確認について紹介します。
強い雨の日は予定を見直す
高齢者が雨の日に外出する場合には、雨の強さや風の状況を確認し、安全に移動できないと感じたときには予定を変更することが重要です。
例えば大雨で道路に水がたまっている場合には、段差や側溝が見えにくくなり、普段歩き慣れている道でも危険が増える可能性があります。
また、強風によって傘があおられると身体のバランスを崩すことがあるため、雨の量だけでなく風の強さも考慮する必要があります。
- 大雨で道路が冠水している
- 強風で傘を支えにくい
- 視界が悪い
- 足元が不安定
- 体調が優れない
ただし、通院など重要な予定がある場合には、自己判断で受診を中止するのではなく、医療機関へ連絡して予約の変更や受診方法について相談しましょう。
外出を延期できる用事は天候が落ち着いてから行い、必要な買い物は家族や配送サービスへ頼むなど、安全性を優先した方法を選ぶことが大切です。
送迎や配送を利用する
雨の日に長い距離を歩くことが難しい高齢者には、家族の送迎やタクシー、買い物の配送サービスなどを利用することで、濡れた道路を歩く時間を減らせる場合があります。
例えば通院先まで徒歩で二十分かかる人では、雨の日だけでも送迎を利用することで、滑りやすい道路や坂道を通る負担を減らせる可能性があります。
また、買い物へ出かける目的が食品や日用品の購入であれば、ネットスーパーや配達サービスを利用することで、重い荷物を持って帰る必要がなくなります。
| 外出の目的 | 代替方法 |
|---|---|
| 通院 | 送迎や予約変更 |
| 食品の買い物 | 宅配サービス |
| 日用品の購入 | 家族の代理購入 |
| 行政手続き | 郵送やオンライン手続き |
| 趣味や交流 | 天候に合わせて日程調整 |
ただし、送迎を利用する場合でも車への乗り降りで足元が濡れていることがあるため、車の近くに段差や水たまりがないか確認する必要があります。
本人が外出を楽しみにしている場合には、雨だからすべての予定を取りやめるのではなく、安全に移動できる方法を一緒に考えることが大切です。
帰宅後も足元を確認する
高齢者が雨の日に外出した後は、帰宅したことで安心せず、玄関や廊下の床が濡れていないかを確認することが重要です。
例えば濡れた靴のまま玄関のタイルへ入ると滑る場合があり、雨具を脱ぐために片足立ちになったときにバランスを崩す可能性もあります。
また、傘やレインコートから落ちた水滴が床に残ると、後から歩いた本人や家族が滑る原因になるため、濡れた場所を早めに拭き取る必要があります。
- 玄関の水滴を拭く
- 椅子に座って靴を脱ぐ
- 濡れた雨具を片付ける
- 足元の冷えを確認する
- 転倒や打撲がなかったか確認する
特に雨の日に転んだ場合には、帰宅直後に大きな痛みがなくても、時間がたってから痛みや腫れが強くなることがあるため、身体の状態を確認することが大切です。
頭を打った後に意識の変化や強い頭痛、繰り返す嘔吐などがある場合や、骨折が疑われて立てない場合には、速やかに救急対応を求めましょう。
雨の日も安心して外出できる準備をしよう
高齢者が雨の日に外出するときには、濡れた道路や店舗の床で滑らないようにすることが最も重要であり、靴底の状態を確認し、マンホールや側溝のふた、タイル、入口マットなどの危険な場所をできるだけ避ける必要があります。
また、普段より歩幅を小さくして急がずに歩くこと、段差の前で足元を確認すること、傘で視界を遮らないこと、荷物を持ちすぎないことなど、日常の動作を少し見直すだけでも転倒の危険を減らせる可能性があります。
杖や歩行器を使用している人では、補助具の先端や車輪、ブレーキの状態を確認し、雨の日の屋外で安全に使えるかを確かめるとともに、傘を持つことで歩行が不安定になる場合には、レインコートや家族の付き添いなどを検討しましょう。
強い雨や風がある日、道路が冠水している日、本人の体調が優れない日には、無理に外出せず、予定の変更や送迎、配送サービスなどを利用することも大切な安全対策であり、外出そのものを禁止するのではなく、本人が安心して移動できる方法を選ぶことが重要です。
家族は高齢者の歩く速度や身体の状態を尊重しながら、普段利用する道路や店舗の危険な場所を一緒に確認し、必要に応じて医療機関やリハビリ専門職、地域包括支援センターなどへ相談することで、雨の日でも無理なく外出を続けられる環境を整えていきましょう。

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