高齢者が夜中にトイレへ行くとき、「暗い廊下で転ばないか」「ベッドから起きた直後にふらつかないか」「毎晩何度もトイレへ行くので心配」と感じる家族は少なくありません。
夜間のトイレは、眠っている状態から起き上がる、ベッドから立つ、暗い室内を歩く、廊下を移動する、トイレのドアを開ける、便座へ座るという複数の動作が連続するため、日中は問題なく歩ける高齢者でも不安定になることがあります。
消費者庁も、高齢者の家庭内転倒について、ベッドから起きてトイレへ行こうとするときなど体勢を変える場面ではゆっくり慎重に動き、安定した場所につかまることを案内しており、寝起きや夜間のトイレは特に意識しておきたい場面です。
対策では「本人に気をつけてもらう」だけに頼らず、ベッドからトイレまでを実際に歩く順番で確認し、暗い場所、わずかな段差、電源コード、めくれるマット、つかまる場所の不足などを一つずつ減らすことが重要です。
さらに、夜中に何度もトイレへ行く状態そのものについても確認が必要で、日本泌尿器科学会では夜間に排尿のため1回以上起きる症状を夜間頻尿としており、多尿や夜間多尿、膀胱容量の減少、睡眠障害など複数の原因があるとしています。
高齢者が夜中のトイレで転倒しないための対策
高齢者の夜間のトイレによる転倒を防ぐには、寝室だけ、廊下だけという部分的な対策ではなく、ベッドから起きてトイレを済ませ、再びベッドへ戻るまでの動線全体を確認することが基本です。
消費者庁では高齢者の転倒について、生活環境を確認して段差などの危険を減らすこと、床に物を置かないこと、コードを壁に沿わせること、危険な場所を明るく照らすことなどを対策として挙げています。
特に夜間は照明が暗いだけでなく、起床直後で身体を動かしにくい場合もあるため、照明、床、手すり、履物、ベッド周辺、トイレ内をまとめて見直しましょう。
足元灯を設置する
高齢者が夜中にトイレへ行く場合、最初に確認したいのが寝室からトイレまでの明るさで、暗いまま歩けば床の物や段差を発見しにくくなります。
消費者庁も転倒対策として、段差や溝、傾斜、滑りやすい床などの危険な場所を明るく照らすことを挙げているため、夜間の移動経路には適切な照明を確保することが重要です。
- ベッド周辺
- 寝室の出入口
- 廊下
- 曲がり角
- トイレ入口
- トイレ内部
ただし、寝室から廊下のスイッチまで暗い場所を歩かなければ照明をつけられない配置では、最も危険な最初の数歩を十分に対策できません。
ベッドから手を伸ばして操作できる照明や人感センサー式の足元灯なども選択肢にし、本人が立ち上がる前または立ち上がった直後から足元を確認できる環境を整えましょう。
ベッドからゆっくり起きる
夜中に尿意を感じると本人は急いでトイレへ向かいたくなりますが、目が覚めた直後に勢いよく身体を起こし、そのまますぐ立つ動作は避けたほうが安全です。
消費者庁は2026年9月の高齢者の家庭内転倒に関する注意喚起でも、ベッドから起きてトイレへ行こうとするときなど、体勢を変えるときはゆっくり慎重にするよう案内しています。
| 動作 | 確認すること | 対策 |
|---|---|---|
| 起き上がる | ふらつかないか | 急いで起きない |
| 端へ座る | 姿勢を保てるか | 状態を確認する |
| 立ち上がる | 足元が安定するか | 安全な支えを使う |
| 歩き始める | 身体が安定したか | 急いで歩かない |
ベッドの端へ座ったときに強くふらつく、立った直後に壁へ手をつくといった状態がある場合には、本人へ注意を促すだけでは十分な対策にならない可能性があります。
毎晩同じようにふらつく場合にはベッドの高さや手すり、歩行補助具などを確認するとともに、身体状態や服用している薬などについて医療や介護の専門職へ相談することも検討しましょう。
床に物を置かない
夜中のトイレまでの動線では、日中なら簡単に避けられる小さな物でも、暗い場所ではつまずきの原因になるため、床をできる限り何もない状態にすることが基本です。
消費者庁も高齢者の転倒予防として床へ物を置かないことや、電源コードを壁に沿わせることを挙げており、普段から移動経路を整理しておく必要があります。
- バッグ
- 新聞や雑誌
- 衣類
- スリッパ
- 電源コード
- 延長コード
- 小さな家具
特に本人の寝室では、寝る前に脱いだ衣類やスリッパをベッド脇へ置き、そのまま夜中につまずくことがあるため、物を置く位置を決めておくとよいでしょう。
一度片付けて終わりではなく、本人が夜中に歩く実際の経路を家族も確認し、足を引っ掛けそうな物が新しく置かれていないか定期的に見直すことが大切です。
段差を目立たせる
寝室からトイレまでに敷居や床材の切り替わりなどの段差がある場合には、夜間でも本人が位置を把握できるようにする必要があります。
消費者庁では、高齢者の転倒対策として段差などの危険箇所を減らすことに加え、危ない場所を明るく照らしたり、色を変えたり、しるしを付けたりする方法を挙げています。
| 場所 | 危険 | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| 寝室入口 | 敷居につまずく | 照明・段差対策 |
| 廊下 | 小さな段差 | 目立たせる |
| トイレ入口 | 床の高低差 | 段差解消を検討 |
| 床材の境目 | 足を取られる | 状態を確認 |
高齢者の場合、本人が「何十年も住んでいるから段差の位置はわかっている」と話していても、暗い状態や眠気がある状態では日中と同じように対応できるとは限りません。
大きな段差がある場合やすでに何度も同じ場所でつまずいている場合には、目印だけに頼らず段差の解消など住宅環境そのものを見直しましょう。
手すりを設置する
ベッドからトイレまでの途中やトイレ内で壁へ手をつきながら歩いている場合には、身体を支えるための安定した場所が不足している可能性があります。
高齢者が壁や家具を伝い歩きしていると、家具が動いたり手を滑らせたりすることがあるため、必要な場所には身体を支える目的で設計された手すりを検討します。
- ベッドから立つ場所
- 寝室の出入口
- 長い廊下
- 方向転換する場所
- トイレの出入口
- 便座から立つ場所
手すりは多ければよいわけではなく、本人がどちらの手を使いやすいか、どの位置でふらつくのか、立ち上がり時に押すのか引くのかによって適した位置や形が変わります。
すでに介護サービスを利用している場合にはケアマネジャーや理学療法士、作業療法士などへ相談し、本人が実際に夜間移動する経路を基準に必要な場所を検討しましょう。
滑りやすい履物を避ける
夜中にトイレへ行くとき、脱ぎ履きしやすいからという理由で大きめのスリッパを使用している高齢者もいますが、足から抜けやすい履物は歩行を不安定にする場合があります。
かかとが固定されない履物では、歩くたびに足と履物の位置がずれたり、床との摩擦によって履物だけが止まったりすることも考えられるため、本人の歩き方に合っているか確認しましょう。
| 確認項目 | 避けたい状態 | 見るポイント |
|---|---|---|
| サイズ | 大きすぎる | 足に合っているか |
| かかと | 脱げやすい | 歩行中のずれ |
| 靴底 | 極端に滑る | 床との相性 |
| 履き方 | 中途半端に履く | 安定しているか |
ただし、どの履物が適しているかは本人の歩行能力や足の状態、床材によって異なるため、特定の形なら必ず安全と考えることはできません。
今使っている履物で足を引きずっている、何度も脱げる、歩くとふらつくといった様子があれば、夜間の歩行に適しているかを見直しましょう。
トイレ内の立ち座りを安定させる
寝室から無事にトイレへ到着しても、便座へ座るときや立ち上がるときに転倒することがあるため、トイレ内も夜間の転倒対策に含める必要があります。
便座が低く、立ち上がるために何度も反動をつけたり、トイレットペーパーホルダーやドアノブを強く引っ張ったりしている場合には、立ち座りの環境を見直す必要があります。
- 便座の高さ
- 手すりの位置
- 床の滑り
- 足元のマット
- 照明の明るさ
- ドアの開閉方法
トイレマットを敷いている家庭では、端がめくれていないか、マット自体が床の上を滑らないかも確認し、つまずきの原因になるなら使用方法を見直しましょう。
便座から立つために家族の介助が必要になっている場合には、手すりや補高便座などの福祉用具も含め、本人の身体状態に合った方法を専門職へ相談することが大切です。
夜間頻尿の原因も確認する
転倒しにくい環境を作ることは重要ですが、毎晩何度もトイレへ起きている場合には、夜間の排尿回数が多い原因そのものを確認する視点も必要です。
日本泌尿器科学会では、夜間頻尿の主な原因を多尿・夜間多尿、膀胱容量の減少、睡眠障害に分けており、原因によって治療法が異なるため原因を明らかにすることが重要としています。
| 主な原因 | 特徴の例 | 対応の方向性 |
|---|---|---|
| 多尿 | 1日の尿量が多い | 原因を確認 |
| 夜間多尿 | 夜間の尿量が多い | 生活・病気などを確認 |
| 膀胱容量の減少 | 少量でも尿意がある | 泌尿器科などへ相談 |
| 睡眠障害 | 何度も目が覚める | 睡眠状態を確認 |
夜間頻尿には水分摂取だけでなく、薬剤や高血圧、心不全、腎機能障害、睡眠時無呼吸症候群、過活動膀胱、前立腺肥大症などが関係する場合もあるため、単純に「高齢だからトイレが近い」と決めつけないことが重要です。
夜間の回数が多く本人が困っている場合には、排尿した時刻や量を記録する排尿日誌も原因を把握する手掛かりになるため、医療機関への相談を検討しましょう。
夜中のトイレで転びやすい原因を確認する
高齢者が夜中にトイレへ行くときの転倒は、一つの原因だけで起きるとは限らず、暗さ、眠気、身体機能の変化、障害物、段差、薬の影響などが重なることがあります。
日中は同じ廊下を問題なく歩けていても、夜間は寝起きで身体の状態が異なり、急な尿意によって普段より速く歩こうとすることもあります。
どの場所で、どの動作をしたときに転びそうになるのかを具体的に確認すると、本人に必要な対策を選びやすくなります。
寝起きのふらつきを確認する
夜間のトイレでは、歩いている途中だけでなくベッドから起き上がり、立ち上がった直後に身体のバランスを崩す場合があります。
消費者庁も、高齢者がベッドから起きてトイレへ行こうとするときには体勢を変える動作を慎重に行うよう注意を促しています。
- 起き上がるとふらつく
- 端へ座ると身体が傾く
- 立った直後に壁へ手をつく
- 数歩歩くまで不安定
- 朝も同じ症状がある
本人が尿意を我慢できず急いで立つ習慣がある場合には、環境を整えるだけでなくトイレまでの距離や排尿の問題についても検討する必要があります。
以前はなかった強いふらつきが最近目立つ場合には、加齢だけの問題と考えず、医師などへ身体状態や服薬について相談しましょう。
暗さと視認性を確認する
夜間の廊下では床にある物や小さな段差を認識しにくくなり、寝室から明るいトイレへ向かう途中に暗い区間があると危険箇所を見落とす可能性があります。
本人が照明をつけることを面倒に感じて暗いまま歩く場合には、「電気をつけて」と毎回注意するより、自動で点灯する仕組みを検討したほうが継続しやすい場合があります。
| 確認場所 | 問題 | 対策例 |
|---|---|---|
| ベッド脇 | 足元が見えない | 足元灯 |
| 廊下 | 暗い区間がある | センサー照明 |
| 曲がり角 | 先が見えない | 照明配置を見直す |
| トイレ入口 | 段差が見えない | 明るくする |
一方で、寝室を極端に明るくすると再入眠しにくいと感じる人もいるため、安全に歩ける明るさを確保しながら、本人が使いやすい照明方法を考えましょう。
特に視力が低下している人では家族が十分だと思う明るさでも床面を確認しにくい場合があるため、本人の見え方を基準に調整することが重要です。
薬や体調の変化も確認する
高齢者の転倒には生活環境だけでなく、身体機能、病気、薬などが関係する場合があり、消費者庁も転倒の原因として病気や薬の影響を挙げています。
特に最近になって夜間のふらつきが増えた場合には、新しく薬を飲み始めていないか、薬の種類や服用時間が変わっていないかなども確認する材料になります。
- 薬が追加された
- 服用時間が変わった
- ふらつきが増えた
- 強い眠気がある
- 歩き方が変わった
ただし、転倒が心配だからという理由で家族が処方薬を自己判断で中止したり、服用時間を変更したりすることは避ける必要があります。
薬を変更した後から転びそうになることが増えたなど具体的な変化がある場合には、薬の名前や服用時間を整理して医師や薬剤師へ相談しましょう。
寝室からトイレまでの環境を整える
夜中のトイレによる転倒を防ぐには、本人が実際に歩く経路を夜の状態で確認すると、日中には気づきにくい危険を見つけやすくなります。
寝室の電気を消した状態でベッド脇からトイレまで確認すると、足元灯が届いていない場所や家具の角、敷居、電源コードなどが見つかることがあります。
本人の歩き方や使用している杖、歩行器なども含め、できるだけ方向転換や障害物が少ない動線を作りましょう。
最短で歩ける動線を作る
トイレまでの距離が長いほど歩く時間が増えるため、寝室内の家具配置によって遠回りしている場合には、移動経路を短くできないか確認します。
尿意が強い人では急いで近道をしようとして家具の隙間を通ったり、普段とは違う場所を歩いたりすることもあるため、自然に最短経路を使える配置が理想です。
- 家具で通路を狭くしない
- 方向転換を減らす
- コードを通路から外す
- 床に物を置かない
- 杖などの置き場所を決める
歩行器を使用している場合には、人だけが通れる幅ではなく歩行器を無理なく操作できる通路幅が必要になるため、家具との間隔も確認しましょう。
本人が夜中に実際にどのルートを通っているか家族が把握していないこともあるため、本人へ確認しながら環境を整えることが重要です。
ベッド周辺を整える
夜間の転倒対策では廊下ばかりに目が向きますが、ベッドから最初の一歩を踏み出す場所も重点的に確認する必要があります。
ベッドの高さが本人に合っていないと、立ち上がるときに勢いが必要になったり、座ったときに足裏が床へ十分に着かなかったりする場合があります。
| 確認項目 | 見るポイント | 対策 |
|---|---|---|
| ベッド高さ | 足裏が着くか | 高さを見直す |
| 床 | 物がないか | 片付ける |
| 照明 | 手元で点灯できるか | 配置を変更 |
| 支え | 安定しているか | 手すりを検討 |
| 履物 | 安全に履けるか | 置き場所を決める |
ベッドから起きるためにキャスター付きのテーブルや動きやすい家具を引っ張っている場合には、家具が動いて転倒する可能性があるため注意が必要です。
毎晩つかまる場所が必要なら、本人の起き上がり動作に適したベッド用手すりなどを専門職と検討しましょう。
マットやコードを見直す
床の冷たさを防ぐためのラグやマット、家電製品の延長コードなどは便利ですが、高齢者の夜間動線では足を引っ掛ける原因になる場合があります。
特に足を高く上げずに歩く人では、わずかにめくれたマットの端でもつまずくことがあるため、敷物が本当に必要かを含めて見直しましょう。
- めくれたマット
- 厚みのあるラグ
- 延長コード
- 充電ケーブル
- 暖房器具のコード
消費者庁も、高齢者の転倒予防として電源コードが通り道に来ないよう電気製品を配置することを案内しています。
コードをテープで一時的に固定する場合にも、テープ自体がはがれて新たな段差にならないよう注意し、可能なら配線そのものを通路から外しましょう。
夜間頻尿が続く場合は原因にも目を向ける
寝室からトイレまでを安全にしても、一晩に何度も起きればそのたびに移動することになるため、夜間頻尿に困っている場合には原因を確認することも重要です。
日本泌尿器科学会によると、夜間頻尿は加齢とともに頻度が高くなりますが、原因は一つではなく、多尿や夜間多尿、膀胱容量の減少、睡眠障害などに分けられます。
本人や家族が「年齢だから仕方がない」と考えている場合でも、生活に支障が出ていたり夜間の転倒リスクが高まっていたりするなら医療機関へ相談する価値があります。
トイレの回数を記録する
夜間頻尿について医療機関へ相談するときには、「何度も行く」という感覚だけでなく、実際に何時ごろ何回排尿しているかを記録すると状況を伝えやすくなります。
日本泌尿器科学会では排尿習慣を把握する方法として排尿日誌を紹介しており、排尿時刻や排尿量を記録することで一回量や回数を確認できます。
- 就寝した時刻
- トイレへ行った時刻
- 排尿量
- 起床した時刻
- 日中の排尿回数
毎回十分な量の尿が出ているのか、少量なのに頻繁に尿意があるのかによって考えられる原因が異なるため、記録は原因を検討する手掛かりになります。
ただし、高齢者本人が夜中に毎回尿量を測ることで転倒リスクが増えるようなら無理をせず、安全を優先したうえで医師へ相談しましょう。
水分を極端に減らさない
夜中のトイレを減らそうとして夕方以降の水分を極端に制限したくなることがありますが、本人の病気や服薬、食事などによって必要な水分量は異なるため、自己判断で過度な制限をすることは避けましょう。
一方、日本泌尿器科学会では、必要以上の水分摂取によって頻尿になっている場合があることも説明しており、寝る前や夜間に大量の水分を摂る習慣がある場合には医師へ相談する材料になります。
| 状況 | 避けたい対応 | 考え方 |
|---|---|---|
| 夜間頻尿 | 極端な水分制限 | 原因を確認 |
| 就寝前の多量摂取 | 習慣を放置 | 必要量を相談 |
| 持病がある | 自己判断で変更 | 医師へ確認 |
| 薬を服用中 | 勝手に調整 | 医師・薬剤師へ相談 |
心臓や腎臓などの病気で水分摂取について医療者から指示を受けている場合には、その指示を優先する必要があります。
「転倒が怖いから夜は水を飲ませない」という一律の対応ではなく、夜間頻尿の原因と本人に必要な水分量を確認したうえで生活習慣を調整しましょう。
医療機関へ相談する目安を知る
夜間に何度も起きる状態が続き、本人が睡眠不足で困っている場合や、トイレへ行く途中で転びそうになる場合には、排尿の問題について医療機関へ相談することを検討しましょう。
日本泌尿器科学会では、夜間頻尿の背景として過活動膀胱、前立腺肥大症、内科疾患、睡眠時無呼吸症候群などさまざまな原因を挙げています。
- 一晩に何度も起きる
- 日中も頻尿がある
- 強い尿意で急いでしまう
- 尿が出にくい
- 尿漏れがある
- 睡眠への影響が大きい
夜間頻尿には原因に応じた対応が必要になるため、家族の判断だけで市販薬などに頼るのではなく、必要に応じて泌尿器科やかかりつけ医へ相談しましょう。
夜中の転倒対策と排尿の原因への対応を並行して考えることで、「トイレまで安全に歩く」だけでなく「危険な夜間移動が何度も必要になる状態」そのものを見直せる可能性があります。
歩くのが難しい場合は福祉用具も検討する
照明や床を整えても、本人の歩行能力が低下してトイレまで移動すること自体が危険になっている場合には、福祉用具や介護サービスを検討する必要があります。
毎晩家族が身体を支えてトイレへ連れて行っている、途中で何度も壁につかまる、転倒を繰り返しているという状態では、本人への注意だけで事故を防ぐことは難しくなります。
本人ができる動作を確認しながら、手すりや歩行補助具、ポータブルトイレなども含め、夜間の排泄方法そのものを専門職と見直しましょう。
手すりの設置を相談する
高齢者がトイレまで壁を伝って歩いている場合や、便座から立ち上がるためにドアノブなどを引っ張っている場合には、必要な場所へ手すりを設置する方法があります。
介護保険の住宅改修では、一定の条件のもとで手すりの取り付けなどが給付対象になるため、要支援・要介護認定を受けている人は制度を利用できる可能性があります。
- ベッド付近
- 寝室出口
- 廊下
- トイレ入口
- 便器周辺
ただし、本人が必要としている位置と住宅の施工上取り付けやすい位置が一致するとは限らないため、工事前に実際の動作を確認することが重要です。
介護保険を利用する場合には事前の手続きが必要になるため、工事を先に進めずケアマネジャーや自治体などへ確認しましょう。
ポータブルトイレを検討する
寝室からトイレまでの距離が長く、歩行能力が低下して夜間の移動そのものが大きな危険になっている場合には、ベッド近くで使用できるポータブルトイレが選択肢になることがあります。
ポータブルトイレを使用すれば長い廊下を歩く必要は減りますが、ベッドから移乗する動作が必要になるため、置けば必ず安全になるわけではありません。
| 確認項目 | 見るポイント | 注意点 |
|---|---|---|
| 設置位置 | ベッドから近いか | 動線を塞がない |
| 高さ | 立ち座りしやすいか | 身体に合わせる |
| 肘掛け | 身体を支えられるか | 移乗方法を確認 |
| 安定性 | ぐらつかないか | 床面を確認 |
| 処理方法 | 家族が管理できるか | 衛生面も考える |
本人が一人でベッドから移れるか、家族の介助が必要かによって適切な製品や設置場所が異なるため、福祉用具専門相談員などへ相談するとよいでしょう。
「トイレは必ず今までの場所を使う」という前提にこだわらず、本人の安全性や尊厳、介助者の負担を考えながら夜間の排泄方法を選ぶことが大切です。
転倒を繰り返すなら専門職へ相談する
照明を明るくして床を片付けても転倒を繰り返す場合には、住宅環境だけではなく身体機能や歩行方法、服薬、排尿状態など複数の要因を確認する必要があります。
消費者庁も高齢者の転倒について、生活環境だけでなく身体状態や薬の副作用による可能性を確認するよう案内しています。
- かかりつけ医
- 泌尿器科
- 薬剤師
- ケアマネジャー
- 理学療法士
- 作業療法士
- 福祉用具専門相談員
相談するときには「夜中に危ない」とだけ伝えるのではなく、何時ごろ、何回トイレへ行き、どこでふらつき、何につかまっているかまで伝えると問題を整理しやすくなります。
夜間の転倒を一度経験した人や転びそうになることが増えている人では、大きなけがが起こる前に生活環境と身体状態をまとめて評価してもらいましょう。
夜中のトイレは明るい動線と身体状態の確認で安全性を高めよう
高齢者が夜中のトイレで転倒するのを防ぐには、本人へ「気をつけて歩いて」と伝えるだけではなく、ベッドからトイレまでの動線を明るくし、床の荷物やコード、めくれたマットなどの障害物を取り除くことが基本です。
ベッドから起きた直後にふらつく人では、すぐ歩き始めず身体の状態を確認してから移動できるようにし、必要な場所へ手すりを設けるなど、安全につかまれる環境も検討しましょう。
また、一晩に何度もトイレへ行く場合には、転倒対策だけでなく夜間頻尿の原因にも目を向けることが重要で、多尿や夜間多尿、膀胱容量の減少、睡眠障害など原因によって必要な対応は異なります。
寝室からトイレまで歩くこと自体が危険になっている場合には、手すりや歩行補助具だけでなくポータブルトイレなども候補となるため、本人の身体状態と介助状況を確認しながらケアマネジャーや福祉用具専門相談員などへ相談するとよいでしょう。
高齢者の転倒は骨折や頭部外傷など大きなけがにつながる可能性があるため、実際に転倒するまで待つのではなく、夜中に壁へつかまる、暗いまま歩く、足元がふらつく、トイレへ急ぐといった変化が見られた段階から環境を整えることが大切です。


コメント