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高齢者のベッドの高さは足裏が床につく範囲で調整|立ち上がりやすさと転落リスクから決めよう!

住まい・安全
※イメージとして作成した画像です

高齢者が使うベッドを選ぶとき、「高さは何cmくらいがよいのだろう」と迷う人は少なくありません。

ベッドが低すぎると立ち上がる際に膝や脚へ負担がかかりやすくなりますが、反対に高すぎると端へ座ったときに足裏が床へ十分につかず、身体が不安定になったり、夜間に降りるときに転倒したりする心配があります。

そのため、高齢者のベッドの高さは「床から何cmなら全員に適している」と一律に決めるのではなく、本人がベッド端へ座った状態で足裏を床へつけられるか、膝や股関節の状態に無理がないか、安定して立ち上がれるか、車いすなどへ安全に移乗できるかを確認して調整することが重要です。

公益財団法人テクノエイド協会の福祉用具に関する資料でも、足が床についている範囲内でベッド面を高くすると立ち上がりやすくなることが示されており、高さ調節機能を備えた介護ベッドなら本人の動作に合わせて位置を変えることができます。

ここでは、高齢者に適したベッドの高さを判断する方法をはじめ、低すぎる場合と高すぎる場合の問題、身長だけで決めない理由、マットレスを含めた高さの測り方、介護ベッドの高さ調節機能、手すりや移乗を含めた寝室づくりまで具体的に整理します。

高齢者のベッドの高さは足裏が床につく範囲で調整

高齢者のベッドの高さを決めるときに基準にしたいのは、カタログに記載された数字だけではなく、本人がベッド端へ座ったときの姿勢と立ち上がり動作です。

足裏を床へ安定してつけられ、足を適度に後ろへ引き、上半身を前へ移動させて立ち上がれる高さが一つの目安になります。

低いほど安全、高いほど立ちやすいという単純な関係ではないため、本人の身長、脚の長さ、関節の状態、筋力、使用するマットレス、移乗方法まで含めて考えましょう。

特にベッドからの立ち上がりが難しくなっている高齢者では、数値だけで購入を決めず、実際の動作を確認することが重要です。

足裏が床につく高さを基準にする

ベッドの高さを確認するときは、本人にベッドの端へ座ってもらい、両足の裏が床へ安定してついているかを見ることから始めます。

公益財団法人テクノエイド協会の福祉用具選定に関する資料では、足が床についている範囲内でベッド面を高くすると立ち上がりやすくなることが示されているため、足が浮くほど高くするのではなく、接地を保てる範囲で調整することがポイントです。

かかとまで床へつかず足先だけで支えている状態では、ベッド端へ座ったときの姿勢が不安定になり、立ち上がる準備もしにくくなる可能性があります。

反対に足裏はついていてもベッドが極端に低く、膝や股関節を深く曲げなければ座れない状態では、立ち上がる際に大きな力が必要になる場合があります。

  • 両足裏が床につく
  • かかとが浮きすぎない
  • 端座位を安定して保てる
  • 足を後ろへ引ける
  • 上半身を前傾できる
  • 無理なく立ち上がれる

本人が座った状態を正面と横から確認し、足裏の接地だけでなく、身体が左右へ傾いていないか、ベッドから滑り落ちそうになっていないかも見ましょう。

足が床につく範囲には個人差があるため、家族の身長を基準にするのではなく、実際にベッドを使う本人の身体に合わせることが大切です。

膝が大きく曲がりすぎない高さにする

ベッドが低すぎると、端へ座ったときに膝や股関節が深く曲がり、お尻の位置が低い状態から身体を持ち上げなければなりません。

厚生労働省の要介護認定に関する認定調査では、立ち上がりについて、いすやベッドなどへ座り膝がほぼ直角に曲がった状態から立ち上がれるかどうかを確認する考え方が示されています。

実際の生活では本人の身体状態によって適した姿勢は変わりますが、膝がお尻より大幅に高くなるような低いベッドでは、脚の筋力が低下した人や膝に痛みがある人が立ちにくくなる場合があります。

ベッドへ腰掛けたときの膝の角度を確認し、深くしゃがみ込むような姿勢になっているなら高さを見直す余地があります。

座った状態確認したいこと
膝が深く曲がるベッドが低すぎないか
膝がほぼ直角立ち上がり動作を確認
足裏が安定接地を維持できるか
足が浮く高さを下げられるか
身体が傾く座位の安定性を確認
膝に痛みがある無理な角度を避ける

膝がほぼ直角なら必ず適切という意味ではなく、本人の関節可動域や痛み、筋力によって立ちやすい高さは異なります。

数字や角度だけを見るのではなく、その高さで本人が安全に座り、立ち、再びベッドへ腰掛けられるかまで確認してください。

立ち上がりやすさを実際に確認する

ベッドの高さが本人に合っているかを判断するには、端へ座った状態を見るだけでなく、実際に立ち上がる動作まで確認することが重要です。

立ち上がるときには足を適度に後ろへ引き、体幹を前傾させて重心を足へ移す必要があるため、足を引くための床面が確保されているかも見てください。

公益財団法人テクノエイド協会の福祉用具の選び方に関する情報でも、下肢筋力の低下を補うため座面を高めに設定すると立ち上がりやすくなることが示されています。

ただし、高くすればするほどよいわけではなく、足裏が床から離れる高さまで上げると端座位が不安定になるため、立ちやすさと座ったときの安定性を両方確認する必要があります。

  • 足を後ろへ引ける
  • 上半身を前へ倒せる
  • お尻を持ち上げられる
  • 立った直後にふらつかない
  • 座り直すときも安定する
  • 足裏の接地を保てる

何度も勢いをつけなければ立てない、家族に腕を引いてもらわなければ立てないなどの状態では、高さだけでなく手すりや身体機能についても確認する必要があります。

高さを少し変えるだけで立ち上がりやすさが変わることもあるため、昇降できる介護ベッドなら本人が安全に動ける位置を専門職と一緒に探す方法もあります。

マットレス上面までを高さとして考える

ベッドを購入するときに注意したいのが、フレームの高さだけで判断しないことです。

実際に本人が腰掛ける位置はマットレスの上面になるため、ベッドフレームに厚いマットレスを載せれば、最終的な座面はその分だけ高くなります。

例えば同じフレームでも薄いマットレスと厚いマットレスでは足裏のつき方が変わる可能性があり、購入時には「床からマットレス上面までが何cmになるか」を確認する必要があります。

さらにマットレスは座ったときに沈み込むため、カタログ上の厚さだけでなく、本人の体重がかかった状態でどの程度の高さになるかも実際の使いやすさへ影響します。

確認箇所ポイント
フレーム床板の高さを確認
マットレス厚さを加えて考える
沈み込み座った状態で確認
床面敷物の厚みにも注意
端座位足裏がつくか確認
立ち上がり実際の動作で判断

柔らかすぎるマットレスでは端へ座ったときに身体が沈み込んで安定しにくいことがあり、公益財団法人テクノエイド協会もマットレスは柔らかすぎても硬すぎても不安定になるとしています。

ベッド本体の高さとマットレスを別々に考えるのではなく、実際に使用する組み合わせで最終的な高さと座り心地を確認しましょう。

身長だけで高さを決めない

高齢者用ベッドの高さを調べると、身長から座面高を計算したくなることがありますが、身長だけで本人に適した高さを正確に決めることはできません。

同じ身長でも脚の長さは異なり、膝や股関節の痛み、筋力、麻痺、足関節の動かしやすさなどによって安全に立ち上がれる高さも変わります。

また、普段から杖を使っている人、歩行器へ移る人、車いすへ移乗する人では、ベッドから立った後の動作も異なります。

身長はベッド選びの参考情報にはなりますが、最終的には本人が実際に端へ座り、立ち上がりや移乗を試して判断することが重要です。

  • 身長
  • 脚の長さ
  • 膝の状態
  • 股関節の状態
  • 筋力やバランス
  • 移乗方法

特に関節痛がある人では、一般的な高さより少し高いほうが立ちやすい場合がある一方、足裏の接地を失うほど高くするのは避ける必要があります。

本人の身体状態が変化すれば適した高さも変わるため、購入時に合わせて終わりではなく、立ちにくくなったときに再調整できるかも考えておきましょう。

夜間の立ち上がりまで確認する

昼間は問題なくベッドから立てる人でも、夜間にトイレへ行く場面では眠気や暗さの影響で身体が安定しにくくなることがあります。

特にベッドが高すぎて足先しか床につかない状態では、寝ぼけたまま身体を前へ移したときにバランスを崩す可能性があります。

反対に極端に低いベッドでは、夜中にトイレへ行こうとしてもお尻を持ち上げられず、家具へつかまって無理に立とうとすることがあります。

昼間に一度立てたから適切と判断せず、夜間に本人が一人で起きるのか、照明は十分か、ベッドからトイレまで安全に移動できるかも含めて考えましょう。

  • 夜間に一人で起きるか
  • 足元照明があるか
  • ベッド脇に障害物がないか
  • 手すりが必要か
  • 立った直後にふらつかないか
  • トイレまで安全に歩けるか

高さだけを調整しても、暗い寝室や滑りやすい床、足元のコードなどが残っていれば転倒対策としては不十分です。

ベッドを夜間の移動の出発点として考え、寝室からトイレまで一連の動線を確認してください。

車いすへの移乗方法も考える

ベッドから車いすへ移る高齢者では、立ち上がりだけではなく移乗方法に合わせた高さ調整が必要です。

公益財団法人テクノエイド協会の資料では、立位で移乗する場合にはベッド座面をやや高めに設定する方法が示される一方、スライディングボードを使う座位移乗では移乗先との高さ関係を調整する考え方が示されています。

つまり車いすを使う人の場合、「ベッドは何cm」という固定値より、どの方法でベッドと車いすの間を移るかが重要になります。

移乗時に大きな段差があると身体を持ち上げる負担が増えるため、本人の能力と介助方法に合わせて高さを調整します。

移動方法高さで見るポイント
自力で立つ立ち上がりやすさ
手すりで立つ支持物との位置関係
立位移乗安定して立てる高さ
座位移乗移乗先との高低差
スライディングボード移動方向の高さを調整
介助移乗介助者の姿勢も確認

車いすを使っている場合は自己流で高さを決めるより、理学療法士や作業療法士、福祉用具専門相談員などに実際の移乗動作を確認してもらうと安全な設定を考えやすくなります。

本人の身体状態が変化すると移乗方法そのものが変わることもあるため、高さ調節機能を備えたベッドが役立つ場合があります。

介助する人の負担も確認する

本人がほとんど自力で動けず、ベッド上で着替えやおむつ交換などの介助を受ける場合には、利用者の立ち上がりだけでなく介助者の身体負担も考える必要があります。

ベッドが低い状態で長時間前かがみになって介助すると、家族や介護職の腰へ大きな負担がかかることがあります。

高さ調節機能を備えた特殊寝台なら、本人がベッドから降りるときは足が床につく高さへ下げ、ベッド上で介助するときは介助者が作業しやすい高さへ上げるという使い分けが可能です。

公益財団法人テクノエイド協会も、特殊寝台のハイ・ロー機能について、利用者が立ち上がりやすい高さと介助者が作業しやすい高さを状況に応じて選べることを特徴として示しています。

  • 起床時は本人に合わせる
  • 立ち上がり時は足元を確認する
  • 介助時は作業高さを調整する
  • 終了後は高さを戻す
  • ベッド下の物を確認する
  • 昇降中の挟み込みに注意する

介助しやすいよう高くしたベッドをそのままにすると、本人が一人で降りようとした際に危険になる場合があるため、介助終了後の高さを決めておくことも重要です。

電動昇降を使用するときはベッド下に物がないか確認し、本人の手足や周囲の物を挟み込まないよう注意してください。

ベッドが低すぎると立ち上がりの負担が増えやすい

低いベッドは床までの距離が短いため安心に感じられますが、高齢者にとって常に使いやすいとは限りません。

座面が低くなるほど立ち上がる際に身体を大きく持ち上げる必要があり、下肢筋力が低下した人や膝・股関節に痛みがある人では負担になることがあります。

さらに、低い位置から立とうとして近くの家具へつかまると、家具が動いたり倒れたりして転倒につながる可能性もあります。

低床による安心感だけで決めず、本人が毎日安全に起きられるかを確認しましょう。

低いほど立ち上がりに力が必要になる

ベッドの座面が低くなると、お尻の位置をより大きく上方へ移動させなければ立位になれないため、脚の筋力が低下した高齢者では立ち上がりにくくなる場合があります。

特に膝が深く曲がる高さでは、上半身を大きく前へ倒し、足へ体重を移してから身体を持ち上げる必要があります。

何度も反動をつける、両手でベッドを強く押す、家族に腕を引いてもらうといった動作が見られるなら、高さが身体状態に合っているか確認してください。

  • 何度も反動をつける
  • 膝を深く曲げている
  • 腕の力へ頼っている
  • 立つまで時間がかかる
  • 立った直後にふらつく
  • 家族へ引き上げてもらう

これらの状態は高さだけが原因とは限らず、筋力や関節、バランス能力なども関係します。

高さを調整しても立ち上がれない場合は無理に反復練習するのではなく、医療・介護の専門職へ相談しましょう。

膝や股関節への負担を確認する

膝や股関節に痛みがある高齢者では、ベッドへ深く腰を落とす動作そのものがつらいことがあります。

低いベッドへ座ると関節を大きく曲げる必要があり、立ち上がるときにも痛みを感じて動作が途中で止まる場合があります。

一方で、関節が痛いからとベッドを極端に高くすると足裏がつかなくなるため、痛みを減らしながら安定した端座位を保てる範囲を探す必要があります。

困りごと確認する点
膝が痛い深く曲がりすぎていないか
股関節が痛い低く座りすぎていないか
座るときに落ちる高さと筋力を確認
立つときに痛い姿勢と高さを確認
足が浮く高くしすぎていないか
痛みが続く医療機関へ相談

痛みが強い人では、ベッドの高さだけで解決しようとすると身体状態の変化を見逃す可能性があります。

以前より痛みが強くなったり歩行にも影響が出たりしている場合は、かかりつけ医などへ相談してください。

不安定な家具につかまらないようにする

低いベッドから自力で立てない高齢者は、ベッド脇の小さなテーブル、椅子、ポータブルトイレなどへ手を伸ばして身体を引き上げようとすることがあります。

しかし、立ち上がり用に設計されていない家具は体重をかけた際に動いたり倒れたりする可能性があり、安定した支持物とはいえません。

公益財団法人テクノエイド協会の事故・ヒヤリハット情報でも、家具などにつかまって立ち上がる場合には安全性を確認し、基本的にはベッド用グリップや床置き形手すりなどを利用することが示されています。

  • キャスター付き家具を使わない
  • 軽い椅子へつかまらない
  • サイドテーブルへ体重をかけない
  • 適合するベッド用手すりを検討する
  • 床置き形手すりを検討する
  • 専門職に動作を見てもらう

ベッド用手すりも取り付ければ必ず安全になるわけではなく、本人の起き上がり方向や立ち上がり方に合った位置へ設置する必要があります。

高さと支持物をセットで考え、本人が無理な姿勢で家具へ手を伸ばさなくても立てる環境を作りましょう。

高すぎるベッドは足の接地と転落に注意しよう

ベッドを高くすると立ち上がりやすくなる場合がありますが、必要以上に高くすると別の危険が生じます。

端へ座ったときに足裏が床へ届かなければ姿勢を安定させにくくなり、ベッドから降りる際にも身体を滑らせるような動作になりやすくなります。

また、就寝面が高くなるほど床までの距離も大きくなるため、転落した場合の影響も考える必要があります。

本人が一人で起きる人ほど、立ちやすさだけを理由に高く設定し続けないことが重要です。

足が浮く高さは避ける

端座位になったときに両足が床へ届かないベッドでは、身体を支える場所がベッド上に偏り、立ち上がるための準備をしにくくなります。

足先だけが床へ触れる状態も安定した接地とはいえないため、かかとを含めて足裏をつけられるか確認してください。

厚いマットレスへ交換した後に突然足が届きにくくなることもあるため、寝具を変更したときには高さを再確認する必要があります。

  • かかとまで床につくか
  • 左右均等に足を置けるか
  • 端へ座って滑らないか
  • 足を後ろへ引けるか
  • 立った直後に安定するか
  • マットレス交換後も確認する

本人が小柄な場合は、市販の固定式ベッドではマットレス上面が高くなりすぎることもあります。

その場合はフレームやマットレスの組み合わせを見直すか、高さ調節できるベッドを検討しましょう。

転落した場合の高さも考える

高齢者のベッドでは、立ち上がりやすさと同時に、就寝中や端座位からの転落リスクも考える必要があります。

夜間に寝返りが多い人や、認知機能の変化によって自分の位置を把握しにくい人では、高い位置からの転落を防ぐため低床設定を検討する場合があります。

一方で低くしすぎると立ち上がれなくなることがあるため、単純に最低位置へ固定するのではなく、本人が一人で起きるか、介助があるかなど生活状況から判断します。

状態高さで考えること
自力で起きる足裏の接地を優先
転落歴がある低床設定を検討
夜間に動く床までの高さに注意
立ち上がり困難低くしすぎない
介助中心場面ごとに高さ調整
認知機能に変化周辺環境も確認

ベッド柵を全面的に付ければ転落をすべて防げるわけではなく、柵の乗り越えや身体の挟み込みなど別の危険にも注意が必要です。

転落リスクが高い人では家族だけで設備を追加せず、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員などへ相談して環境を検討しましょう。

窓や家具との位置関係も確認する

ベッドの高さを考えるときは、ベッド単体だけでなく寝室内の窓や家具との位置関係も確認する必要があります。

公益財団法人テクノエイド協会の事故・ヒヤリハット情報には、認知機能の低下などがある利用者がベッド上へ立ち、窓から転落しそうになった事例が紹介されています。

ベッド面が窓枠へ近い高さになっていると、ベッドが踏み台のようになる可能性があるため、必要に応じて窓から離して設置することも検討します。

  • 窓から距離を取る
  • 家具への乗り移りを防ぐ
  • ベッド周辺を整理する
  • 電源コードを動線から外す
  • 夜間照明を確保する
  • 必要なら低床設定を検討する

特に認知機能の変化がある人では、家族が想定していない方法でベッドや家具を使う場合があります。

高さだけで安全性を判断せず、本人の行動や寝室全体を見ながら事故につながる環境がないか確認してください。

高さ調節できる介護ベッドは身体の変化に対応しやすい

高齢者の身体状態は一定とは限らず、今は固定式ベッドで問題なくても、将来は立ち上がりや移乗に支援が必要になる場合があります。

高さ調節機能を備えた介護ベッドは、本人が立ち上がるとき、車いすへ移乗するとき、家族がベッド上で介助するときなど、場面に合わせて高さを変更できる点が特徴です。

ただし、電動ベッドには背上げや膝上げなど複数の機能があり、必要以上に多機能な製品を選ぶ必要はありません。

本人がどの動作に困っているのかを整理して、必要な機能を選びましょう。

昇降機能は場面ごとに使い分ける

高さ調節できるベッドの利点は、一つの高さへ固定するのではなく、生活場面に応じて位置を変えられることです。

本人が立ち上がるときには足裏を床へつけながら立ちやすい位置へ調整し、家族がおむつ交換などを行う場合には腰を深く曲げずに済む高さへ変更できます。

介助後は本人が一人でベッドから降りる可能性を考え、決めた位置へ戻しておくことが重要です。

  • 起床時の高さ
  • 立ち上がり時の高さ
  • 車いす移乗時の高さ
  • 就寝時の高さ
  • 介助時の高さ
  • 介助後に戻す位置

毎回高さが違うと本人が戸惑う場合は、家族や支援者の間で基本となる設定を共有しておくとよいでしょう。

リモコンを本人が操作する場合には、どのボタンが高さ調節なのか理解できているかも確認してください。

背上げ機能との違いを理解する

介護ベッドの「高さ調節」と「背上げ」は目的が異なるため、購入やレンタル時には区別して考える必要があります。

高さ調節はベッド面全体を上下させる機能で、立ち上がりや移乗、介助者の作業姿勢などを調整するために使います。

背上げは背中を支える部分を起こし、寝た状態から上半身を起こしやすくする機能です。

機能主な目的
高さ調節立ち上がりや介助
背上げ上半身を起こす
膝上げ身体のずれを抑える
介助バー起居や立位を支える
サイドレール寝具などの落下を防ぐ
低床機能床までの距離を短くする

公益財団法人テクノエイド協会の情報でも、背上げ角度を大きくすると身体が前方へ滑り、かえって起き上がりにくくなる場合があることが示されています。

機能を使えば使うほど楽になるとは限らないため、本人に適した操作方法を福祉用具専門相談員などから説明してもらいましょう。

介護保険での福祉用具貸与を相談する

要介護認定を受けている人などでは、一定の条件のもとで介護保険による特殊寝台の貸与を利用できる場合があります。

特殊寝台には背上げや高さ調節などの機能を備えたものがあり、本人の自立を支えたり介助者の負担を軽減したりする目的で利用されます。

ただし、介護保険での福祉用具貸与には要介護度などに応じた給付条件があり、希望すればすべての人が同じ条件で利用できるわけではありません。

  • 要介護認定の状況
  • 本人の起き上がり能力
  • 立ち上がり能力
  • 移乗方法
  • 介助の必要性
  • 住環境

すでにケアマネジャーがいる場合は、ベッドから立ちにくくなったことや夜間の転倒が心配なことなど、具体的な困りごとを伝えてください。

まだ介護サービスを利用していない場合は、本人の住所地を担当する地域包括支援センターへ相談する方法もあります。

ベッドの高さだけでなく寝室全体を整えよう

高齢者が安全にベッドを使うためには、適切な高さを決めるだけでは十分ではありません。

ベッドから起き上がり、端へ座り、立ち上がり、トイレなどへ移動するまでの一連の動作を安全に行える環境が必要です。

特に手すり、床面、照明、履物、家具の位置などは、高さと同じくらい立ち上がりや夜間移動へ影響します。

本人が実際にどのように動いているかを観察し、危険な部分を一つずつ減らしていきましょう。

ベッド用手すりは動作に合わせる

ベッドから起き上がるときや立ち上がるときに支えが必要な高齢者では、ベッド用手すりや介助バーが役立つ場合があります。

公益財団法人テクノエイド協会によると、ベッド用手すりは起き上がり、立ち上がり、移乗などを容易にする目的で使用され、端座位と立位のどちらを主目的にするかによって適した位置や高さも異なります。

そのため、単にベッド脇へ長い柵を付けるのではなく、本人がどちらの手でつかみ、どの方向へ立つのかを確認して選ぶ必要があります。

  • 起き上がる方向
  • 利き手
  • 立ち上がる方向
  • 車いすの位置
  • 手が届く位置
  • 身体を挟まない配置

サイドレールと立ち上がり用の介助バーは役割や構造が異なるため、寝具の落下防止を主目的とする柵へ無理に体重をかける使い方は避けましょう。

使用するベッドとの適合性もあるため、メーカーが推奨する組み合わせを確認し、福祉用具専門相談員などと設置位置を検討してください。

ベッド周囲の転倒要因を減らす

高さを適切に調整しても、ベッドから立った直後の場所に電源コードや荷物があれば転倒する可能性があります。

特に夜間は視界が悪くなるため、ベッドからトイレまでの床へ物を置かず、必要に応じて足元を照らせる照明を設置します。

ベッド脇に敷くマットも、端がめくれたり滑ったりするものでは転倒要因になるため注意が必要です。

場所確認内容
ベッド脇物を置きすぎない
床滑りやすくないか
コード歩行動線から外す
敷物めくれや段差に注意
照明夜間の足元を照らす
トイレ動線障害物をなくす

本人がベッドから降りる側を頻繁に変える場合は、左右どちらから降りても危険がないか確認する必要があります。

寝室だけを整えるのではなく、夜間に実際に歩く廊下やトイレまで含めて安全性を確認しましょう。

身体状態が変わったら高さを見直す

一度ベッドの高さを合わせても、高齢者の身体状態が変化すれば同じ設定が使いにくくなることがあります。

以前は手を使わず立てていた人がベッド柵へつかまるようになった、何度も反動をつけるようになった、立った直後にふらつくようになった場合は見直しのタイミングです。

ベッドの高さだけでなく、筋力、関節痛、体調、使用している杖や歩行器などが変化していないかも確認してください。

  • 立つ回数が増えた
  • 反動が必要になった
  • 手すりへ強く頼る
  • 立った直後にふらつく
  • 夜間の転倒が増えた
  • 介助量が増えた

急に立てなくなった、片側の手足へ力が入りにくくなった、強い痛みが出たなど突然の変化がある場合は、ベッドを調整して様子を見るだけではなく医療機関への相談も必要です。

少しずつ立ち上がりが難しくなっている場合は、ケアマネジャー、理学療法士、作業療法士、福祉用具専門相談員などへ実際の動作を確認してもらうと対策を考えやすくなります。

立ち上がりと安全性の両方を見てベッドの高さを決めよう

高齢者のベッドの高さは、床から一律に何cmと決めるより、本人がベッド端へ座ったときに両足の裏を床へ安定してつけられ、そこから無理なく立ち上がれるかを確認して決めることが重要です。

低すぎるベッドでは膝や股関節を深く曲げることになり、下肢筋力が低下した人や関節に痛みがある人が立ちにくくなる一方、高すぎるベッドでは足裏が床へ十分につかず、端座位やベッドから降りる動作が不安定になる可能性があります。

高さを確認するときはフレームだけではなくマットレス上面までを含め、実際に本人が腰掛けた状態で足の接地、膝の曲がり方、身体の傾き、立ち上がり、再び座る動作まで確認してください。

車いすへ移乗する人やベッド上で介助を受ける人では、生活場面によって適した高さが異なるため、昇降機能を備えた介護ベッドを利用すると、本人が立つときと介助者がケアするときで高さを使い分けやすくなります。

ベッドから立ちにくくなった場合は高さだけを変えるのではなく、適切なベッド用手すり、マットレス、夜間照明、床の状態、トイレまでの動線も確認し、必要に応じてケアマネジャーや福祉用具専門相談員、理学療法士などへ相談して本人が安全に起きられる寝室環境を整えましょう。

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