高齢者が靴を履けないときの工夫|かがみにくい人に便利な方法と用品

歩行・外出
※イメージとして作成した画像です

高齢者が靴を履けない状態になると、「かかとまで足を入れられない」「腰を曲げるのがつらい」「靴ひもを結べない」「足がむくんで以前の靴が入らない」など、外出の準備だけでも大きな負担になることがあります。

家族から見ると単純に靴が履きにくくなったように見えても、実際には股関節や膝、腰を曲げにくい、片足で姿勢を保てない、手指を細かく動かせない、足が腫れているなど、履けない理由は人によって異なります。

そのため、靴を無理に押し込んだり大きなサイズへ変更したりするだけではなく、まず「どの動作で困っているのか」を確認し、面ファスナーやファスナーで大きく開く靴、長い靴べら、座った状態で履ける環境などを組み合わせることが重要です。

国立長寿医療研究センターの資料でも、高齢者の靴は足の甲まで覆われ、かかとをしっかり包み、靴の中で足が大きく動かず、足指にはゆとりがあることなどが選択のポイントとして示されており、履きやすさだけでなく歩くときの安定性も考える必要があります。

また、急に足が腫れた、片足だけ強くむくんでいる、痛みや息切れを伴うなどの場合は靴の問題だけではない可能性があるため、単純に幅広の靴へ交換して済ませず医療機関へ相談することも大切です。

高齢者が靴を履けないときの対策

高齢者が靴を履けないときは、本人へ「頑張って履いて」と求めるより、靴を履くために必要な動作のどこが難しくなっているのかを確認することが対策の第一歩です。

足元まで手が届かない人と、手は届くものの靴の履き口を広げられない人、足がむくんで入らない人では適した対策が異なります。

履きやすい靴への変更、長い靴べら、玄関椅子、面ファスナーなどを上手に利用し、できるだけ本人が安全に履ける環境を整えましょう。

履き口が大きく開く靴に替える

足先を靴へ入れる段階で苦労している高齢者には、履き口が大きく開く靴を選ぶ方法があります。

履き口が狭い靴では、足を入れるためにかかとを強く押し込んだり、手で靴を大きく広げたりする必要があり、腰や股関節を曲げにくい人には大きな負担になります。

  • 履き口が広く開く
  • 足を上から入れやすい
  • 開閉部分をつかみやすい
  • かかとを押し込みにくい
  • 履いた後に固定できる
  • 足に合わせて調整できる

ただし、履き口が広いだけで歩行中も緩い靴では、靴の中で足が前後左右に動きやすくなるため注意が必要です。

国立長寿医療研究センターでは、靴の中で足が上下、前後、左右へ動かないことや、かかとがしっかり包み込まれることも靴選びのポイントとしているため、「履くときは大きく開き、履いた後は足を固定できる」という視点で選びましょう。

面ファスナーの靴を選ぶ

靴ひもを結ぶことが難しくなった高齢者には、面ファスナーで開閉できる靴が使いやすい場合があります。

靴ひもは両手の指先を細かく動かす必要があるうえ、結ぶために前かがみの姿勢を保たなければならないこともあり、手指や腰の動きが低下すると負担が大きくなります。

開閉方法特徴確認点
靴ひも細かく調整しやすい結ぶ動作が必要
面ファスナー開閉しやすい本人がつかめるか
ファスナー大きく開けやすい引き手を操作できるか
スリッポン操作が少ない足を固定できるか

国立長寿医療研究センターの高齢者向け資料でも、履きやすく脱ぎやすい一方で勝手に脱げないことや、調節具として面ファスナーやファスナーなどを利用することが靴選びのポイントとして示されています。

面ファスナーなら必ず安全という意味ではないため、実際に本人が開閉し、履いた後に足を適度に固定できているかまで確認しましょう。

長い靴べらを使う

足元へ手を伸ばすことが難しい高齢者には、立った姿勢や椅子へ座った姿勢から使える長い靴べらが役立つ場合があります。

短い靴べらを使うために深く前かがみになると、腰や股関節への負担が増えるだけでなく、玄関でバランスを崩す原因にもなるため、無理に足元へ手を伸ばさなくても使える長さを選ぶことがポイントです。

  • 座ったまま使える長さ
  • 持ち手を握りやすい
  • 先端が靴へ入りやすい
  • 大きくしならない
  • 玄関で取りやすい場所に置ける

ただし、長い靴べらがあっても履き口そのものが狭かったり、靴ひもを毎回結ばなければならなかったりすると、一人で履くことが難しい場合があります。

靴べらだけで解決しようとせず、履き口が開く靴や玄関椅子などと組み合わせ、本人がどの程度まで自分でできるようになるかを実際に試してみましょう。

玄関に椅子を置く

立ったまま靴を履こうとしてふらつく高齢者には、玄関へ安定した椅子や腰掛けを設置し、座って靴を履けるようにすることが重要です。

靴を履くときには片足を少し浮かせたり前かがみになったりする場面があり、立位のバランスが低下している人では靴を履くこと自体が転倒のきっかけになる可能性があります。

確認する場所ポイント避けたい状態
椅子安定している軽くて動く
座面立ち上がりやすい低すぎる
周囲動作スペースがある物が多い
靴べら手が届く床に置く
照明足元が見える玄関が暗い

座る場所として小さく不安定な台を使うと、腰掛けた際に動いたり転倒したりする可能性があるため、体重を預けても安定するものを選びましょう。

玄関の上がり框などを椅子代わりにすると立ち上がることが難しい人もいるため、本人の身長や立ち上がる能力に合わせて座面の高さも確認することが大切です。

ファスナー付きの靴を試す

面ファスナーをはがす動作が苦手でも、ファスナーの引き手なら操作できる高齢者には、ファスナーで履き口を広げられる靴が使いやすいことがあります。

ファスナーを開けることで履き口が広がれば、足を靴へ押し込む動作を減らしやすく、足首の動かしにくさがある人でも履きやすくなる場合があります。

  • 引き手をつかみやすい
  • 軽い力で開閉できる
  • 大きく履き口が開く
  • 閉めた後に足が安定する
  • 生地を巻き込みにくい

一方で、手指の力が弱く小さな引き手をつまめない人では、ファスナー付きでも自分で操作できないことがあります。

靴の開閉方式を選ぶときは「一般的に履きやすいか」ではなく、本人に店頭などで実際に開閉してもらい、最後まで一人で操作できるかを確認することが重要です。

靴ひもを毎回結ばない方法を検討する

今まで履いていた靴を気に入っていても、靴ひもを結ぶ動作だけが難しくなった場合には、まず靴の固定方法を見直す余地があります。

国立長寿医療研究センターでは、高齢者の靴について面ファスナーやファスナーなどの調節具を挙げ、ひも靴の場合には比較的太いひもで、結び目が長く垂れない長さがよいとしています。

困りごと見直す部分候補
結べない開閉方法面ファスナー
ほどけるひもの状態適切な長さ
前屈がつらい履き方長い靴べら
足を入れにくい履き口大きく開く靴

ひもが長く垂れていると歩行時に引っ掛ける原因になる可能性があるため、「ほどかず履ければよい」という理由だけで極端に緩めた状態へすることは避けましょう。

現在の靴にこだわることでかえって履きにくくなっている場合には、面ファスナーなど本人が扱いやすい方式の靴へ変更することも検討しましょう。

むくみに合わせて靴を見直す

朝は履けるのに夕方になると靴がきつい、以前の靴へ突然足が入らなくなったという場合には、足のむくみが影響している可能性があります。

国立長寿医療研究センターによると足のむくみは高齢者でもよく見られ、特に長時間座って過ごす人では起こりやすい一方、心不全や腎不全、深部静脈血栓症など治療が必要な病気が隠れている場合もあります。

  • 朝夕で足の太さが変わる
  • 靴下の跡が強く残る
  • 以前より靴がきつい
  • 片足だけ急に腫れた
  • 足に痛みがある
  • 息切れを伴っている

むくみがある人では、開口部を広く調節できる靴が使いやすい場合がありますが、単純に何サイズも大きい靴へ変更すると靴の中で足が動き、歩きにくくなる可能性があります。

特に急に腫れた場合、痛みがある場合、息切れを伴う場合などは「高齢だからむくむ」と決めつけず、医療機関へ相談することが大切です。

介助方法を見直す

本人だけでは靴を履けない場合でも、介助する家族が毎回力任せに足を靴へ押し込む方法は、本人にも介助者にも負担になります。

介助するときには椅子へ安定して座ってもらい、靴の面ファスナーやファスナーを十分に開いてから足を入れるなど、少ない力で履ける手順を整えることが重要です。

場面工夫確認点
座る安定した椅子転倒しないか
靴を開く履き口を広げる十分に開くか
足を入れる無理に押さない痛みがないか
かかと位置を確認踏んでいないか
固定適度に調節締めすぎないか

本人ができる動作まで介助者がすべて行ってしまうと、自分で履く機会を失うこともあるため、履き口を開くところだけ手伝うなど必要な部分に介助を絞る方法もあります。

身体機能が大きく低下している場合には、理学療法士や作業療法士などの専門職へ実際の動作を確認してもらい、本人の状態に適した方法や道具について相談するとよいでしょう。

靴を履けない原因を確認すると対策を選びやすい

高齢者が靴を履けなくなる理由は一つではなく、前かがみになれない、足を持ち上げられない、手指を動かしにくい、足そのものが痛いなど複数の問題が重なっている場合があります。

昨日まで問題なく履いていた人が急に履けなくなった場合と、数か月かけて少しずつ難しくなった場合でも考え方は異なります。

新しい靴を購入する前に実際の履く動作を見て、どの段階で止まってしまうのかを確認すると必要な対策を絞り込みやすくなります。

腰や股関節を曲げにくい

靴を履くためには上半身を前へ倒したり、股関節や膝を曲げたりして足元へ手を近づける必要があり、この動きが難しくなると足まで手が届かなくなります。

痛みがある人だけでなく、身体が硬くなっている人やバランスに不安がある人も、無意識に深く前かがみになる動作を避けることがあります。

  • 足先まで手が届かない
  • 前かがみになると痛い
  • 片足を上げにくい
  • 腰掛けても届かない
  • 履いた後のかかとを直せない

このタイプでは、靴のサイズを大きくしても足へ手が届かないという根本的な問題は変わらないため、長い靴べらや履き口の大きな靴など、前屈動作を減らす工夫が必要です。

急に強い腰痛や股関節痛が現れた場合などは、靴の工夫だけで対応せず医療機関へ相談しましょう。

手指の力が弱くなっている

足元まで手は届いていても、靴ひもを結べない、面ファスナーをはがせない、ファスナーの引き手をつまめない場合には、手指の力や細かな動作が問題になっている可能性があります。

靴を履く動作には意外に多くの手指操作が必要であり、履き口を広げ、かかとを引き上げ、ひもを結ぶという複数の動作を短時間に行っています。

難しい動作考える工夫確認点
ひもを結ぶ面ファスナー開閉できるか
小さな引き手大きな持ち手握れるか
履き口を広げる大きく開く靴足を入れやすいか
かかとを直す長い靴べら操作できるか

本人が「この靴なら大丈夫」と話していても、実際に履いてもらうと最後の固定だけできない場合もあるため、購入前に一連の動作を試すことが重要です。

手指の動きが急に悪くなった場合や、靴以外にも箸、ボタン、筆記など日常動作が難しくなった場合には、原因について医療機関へ相談することも検討しましょう。

足の痛みや変形がある

靴を履こうとすると痛がる場合には、単に履き方が難しいのではなく、足の皮膚や爪、関節、足の形などに問題がないか確認する必要があります。

国立長寿医療研究センターでは、足のタコやウオノメ、傷などの皮膚障害も歩行へ支障をきたすことがあるとしており、足のトラブルを靴だけの問題として考えないことが大切です。

  • タコやウオノメがある
  • 爪が当たって痛い
  • 傷がある
  • 赤くなっている
  • 足の形が変わっている
  • 靴を履くと強く痛む

痛い場所を避けるために極端に大きな靴を履くと、別の部分へ摩擦や負担が生じる可能性もあります。

傷や強い痛みがある場合、足の状態が大きく変化している場合などは、靴を買い替えるだけで済ませず医療機関へ相談しましょう。

高齢者が履きやすい靴は歩きやすさも確認する

靴を履くことが難しくなると、家族は「とにかく簡単に足が入る靴」を選びたくなりますが、履きやすさだけを優先すると歩行中に脱げたり足が靴の中で動いたりすることがあります。

高齢者向けの靴では、履き口の開きやすさに加えて、かかとの固定、つま先のゆとり、靴底の状態、重量なども確認することが重要です。

厚生労働省も高齢者の安全な歩行について、履物や福祉用具が本人の状態に合っているか、靴底が擦り減っていないかなどを確認する考え方を示しています。

かかとが安定する靴を選ぶ

かかと部分を踏んだまま履ける靴は一見すると便利ですが、歩行用の靴を常に踏んで使用すると、本来の固定性を十分に得られなくなることがあります。

国立長寿医療研究センターの資料では、かかとがしっかり包み込まれていることや、靴の中で足が上下、前後、左右へ動かないことが靴選びのポイントとして挙げられています。

  • かかとを包める
  • 歩いても脱げにくい
  • 足が前へ滑らない
  • 左右へ大きく動かない
  • 履いた後に調節できる

履きにくいからと毎回かかとを踏むようになった場合には、その靴が現在の身体機能に合わなくなっている可能性があります。

履き口を大きく開けるタイプへ変更するなど、かかとを正しい位置へ収めた状態で無理なく履ける方法を探しましょう。

つま先には適度な余裕を持たせる

足が入りにくいからと小さな靴を履かせることはもちろん避けたい一方、大きければ大きいほど高齢者が履きやすいというわけでもありません。

国立長寿医療研究センターでは、足の指を動かせるゆとりがあり、親指の爪が圧迫されていないことを靴選びのポイントとして示しています。

部分確認ポイント避けたい状態
つま先指を動かせる強く当たる
親指爪が圧迫されない先端へ当たる
甲適度に固定強く締める
かかと包み込まれる歩くと浮く

サイズが大きすぎる靴では歩くたびに足が前へ滑ったり、靴を引きずるような歩き方になったりする可能性があるため、足に合わせて選ぶことが大切です。

足の左右で大きさが異なる場合や変形がある場合には、一般的なサイズ表示だけで決めず、専門店や医療・介護の専門職などへ相談する方法もあります。

靴底も確認する

高齢者の靴を選ぶときには上側の履きやすさだけでなく、実際に床へ接する靴底の状態も確認する必要があります。

国立長寿医療研究センターでは、靴底の接地面積が広く滑りにくいことや、足の指の関節部分で曲げられることをポイントとして示しており、厚生労働省の転倒防止情報でも靴の屈曲性や重量、つま先部分などが歩行へ影響すると説明されています。

  • 靴底が極端に硬くない
  • 足の動きに合わせて曲がる
  • 底が擦り減っていない
  • 接地面が安定している
  • 本人にとって重すぎない
  • 床との相性を確認する

なお、靴底は単純に摩擦が強ければよいとは限らず、厚生労働省の転倒防止情報では、床と靴底の組み合わせによって摩擦が強すぎるとつまずく場合があることも示されています。

新しい靴を購入したら、店内で履けるかを見るだけでなく、本人が実際に歩いたときに足を上げやすいか、引っ掛かる感じがないかまで確認しましょう。

補助具を使えば自分で履ける場合もある

身体機能が少し低下しただけであれば、家族が毎回靴を履かせなくても、補助具や玄関環境を整えることで本人が自分で履けるようになる場合があります。

自助具を選ぶときは、便利そうな商品を増やすのではなく、本人ができない動作を一つ補えるものを選ぶことがポイントです。

厚生労働省も福祉用具について、利用者の心身の状況や用具の特性、生活環境に適合した選定が重要であるとしているため、必要に応じて福祉用具専門相談員などの専門職へ相談しましょう。

長い靴べらで前屈を減らす

長い靴べらは、腰を深く曲げずにかかとを靴へ入れるためのシンプルな道具であり、足元へ手が届きにくい人に適しています。

特に靴の履き口までは足を入れられるものの、最後にかかとだけ押し込めない人では、介助なしで履けるようになる可能性があります。

  • 十分な長さがある
  • 握りやすい持ち手
  • 先端が厚すぎない
  • 扱いやすい重さ
  • 収納場所から取りやすい

使うたびに靴べらを探す状態では習慣になりにくいため、玄関の椅子から手が届く位置へ専用の収納場所を作ると使いやすくなります。

靴べらを使いながら立位でふらつく場合には、立ったまま無理に使用せず、安定した椅子へ座った状態で履く方法へ変更しましょう。

リーチャーなどは動作に合わせて選ぶ

床へ落ちた物を拾うことや足元へ手を伸ばすことが難しい人では、物をつかむためのリーチャーなどの自助具が日常生活を補助する場合があります。

ただし、靴を履くという一連の動作には足を靴へ入れる、かかとを収める、固定具を閉じるという複数の工程があるため、一つの道具ですべてを解決できるとは限りません。

困難な動作補助の候補併用する工夫
前屈長い靴べら玄関椅子
靴を取るリーチャー収納位置変更
履き口を開く開閉しやすい靴面ファスナー
立位保持座って履く安定した椅子

道具の数を増やしすぎると操作手順が複雑になり、かえって外出の準備が難しくなることもあります。

本人が一人で使えるかを実際に確認し、難しい場合には作業療法士や福祉用具の専門職などへ相談して動作全体を見直しましょう。

専門職に実際の動作を見てもらう

何種類もの靴や補助具を試しても自分で履けない場合には、本人の身体状態と道具が合っていない可能性があります。

厚生労働省は福祉用具について、用具の特性だけで選ぶのではなく、利用者の心身の状況や置かれている環境を踏まえて適切に選定することを示しています。

  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 福祉用具専門相談員
  • ケアマネジャー
  • かかりつけ医

例えば靴を履けない原因が腰を曲げられないことなのか、手指の操作なのか、座位バランスなのかによって必要な道具は変わります。

介護サービスなどを利用している場合には、普段関わっている専門職へ玄関での靴の着脱に困っていることを伝え、実際の動作を確認してもらうと具体的な改善策を考えやすくなります。

急に履けなくなった場合は身体の変化にも注意する

以前から少しずつ靴を履きにくくなっていた場合には身体機能の低下などが考えられますが、昨日まで履けていた靴が突然入らない、急に足元へ手が届かなくなったという変化には注意が必要です。

特に足の腫れや痛み、傷、急な身体機能の変化がある場合には、便利な靴へ交換するだけで原因を見逃さないようにしましょう。

高齢者本人が「年だから仕方がない」と話していても、いつから何が変わったのかを家族が確認し、必要に応じて医療機関へ相談することが大切です。

足のむくみが強い場合

足がむくむと甲や足首の周囲が太くなり、今まで問題なく履いていた靴でも履き口へ足が入らなくなることがあります。

国立長寿医療研究センターでは、高齢者や日中座っている時間が長い人には足のむくみが見られることがある一方、心不全、腎不全、深部静脈血栓症などが原因になる場合もあると説明しています。

  • 急に腫れた
  • 片側だけ強く腫れた
  • 痛みがある
  • 息切れがある
  • すねを押すとへこむ
  • 症状が続いている

国立長寿医療研究センターの2025年の情報では、同センターの足の腫れ・むくみ外来を2017年から2022年までに受診した500人の年齢中央値は79歳であり、高齢者にとって身近な問題であることがうかがえます。

むくみが強くて靴を履けない場合には、大きな靴を買って終わりにせず、症状が続く場合や急な腫れ、痛み、息切れなどがある場合は医療機関へ相談しましょう。

足に傷や強い痛みがある場合

靴を履くことそのものを嫌がるようになった場合には、足を触られると痛い、靴の中で傷へ圧力がかかるなどの問題が隠れている可能性があります。

高齢者では本人が痛みをうまく説明できないこともあるため、靴を履かせる前に足の甲、指、かかと、爪の周辺などを確認してみましょう。

確認する場所気になる状態対応
指赤み・傷状態を確認
爪変形・痛み医療機関へ相談
足裏タコ・ウオノメ無理に処置しない
かかと傷・擦れ靴との接触を確認
足全体強い腫れ原因を確認

国立長寿医療研究センターも、足のタコやウオノメ、傷などの障害は歩行へ支障をきたすとしており、症状による個人差が大きいため医療機関への受診が基本になると説明しています。

特に傷を保護するために自己流で詰め物をしたり、痛い部分を避ける目的で極端に大きな靴を履かせたりせず、症状に応じて専門家へ相談しましょう。

靴以外の動作も難しくなった場合

靴だけではなく、靴下を履く、階段を上がる、床から立ち上がる、長く歩くといった動作も以前より難しくなっている場合には、身体機能全体の変化を確認する必要があります。

国立長寿医療研究センターが紹介するロコチェックにも「片足で靴下がはけない」「家の中でつまずいたりすべったりする」「階段を上がるのに手すりが必要」といった項目が含まれています。

  • 靴下も履きにくい
  • 立ち上がりにくい
  • 階段がつらい
  • つまずきが増えた
  • 歩ける距離が短くなった
  • 外出が減った

靴の着脱だけを家族が代わりに行えば当面は困らなくなるものの、身体機能の変化に気づかないまま外出量が減ると、生活全体へ影響する可能性があります。

複数の日常動作が難しくなっている場合には、靴の変更だけで済ませず、かかりつけ医やリハビリテーションの専門職などへ相談し、身体状態を確認してもらいましょう。

履けない理由を一つずつ減らして安全な外出につなげよう

高齢者が靴を履けないときは、単純に年齢の問題と考えず、足元へ手が届かないのか、靴ひもを結べないのか、履き口へ足を入れられないのか、むくみや痛みがあるのかなど、どの動作で困っているのかを確認することが大切です。

前かがみになることが難しい場合には長い靴べら、立ったまま履くとふらつく場合には玄関椅子、靴ひもの操作が難しい場合には面ファスナーやファスナー付きの靴というように、原因に合わせて工夫すると本人が自分で履ける可能性があります。

靴そのものを選ぶときは、簡単に足が入ることだけを優先せず、かかとが包まれること、靴の中で足が大きく動かないこと、足指に適度なゆとりがあること、靴底が歩行に適していることなど、履いた後の安全性も確認しましょう。

また、足のむくみが強くなって靴が入らない場合や、傷や強い痛みがある場合、靴下や階段などほかの日常動作も急に難しくなった場合には、靴を買い替えるだけで解決しようとせず医療機関や専門職へ相談することが重要です。

本人ができる動作まで家族がすべて介助する必要はなく、履き口を開ける、靴を取りやすい場所へ置く、長い靴べらを準備するといった小さな補助だけで自分で履ける人もいます。

靴を履くことは外出の最初の動作でもあるため、「履けないから外へ行かない」という状態になる前に、本人の身体状態に合う靴や補助具、玄関環境を整え、無理なく安全に外出を続けられる方法を探していきましょう。

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