高齢者がベッドから起き上がれない状態になると、本人だけでなく家族も「筋力が落ちただけなのか」「ベッドを変えたほうがよいのか」「毎回身体を起こしてあげるべきなのか」と迷いやすくなります。
ベッドからの起き上がりには、寝返りをする、横向きになる、脚をベッドの外へ出す、腕で身体を支える、上半身を起こす、ベッドの端で座位を保つという複数の動作が必要であり、どこで動けなくなっているかによって必要な対策は異なります。
以前から少しずつ起き上がりにくくなっている場合には、筋力や関節の動き、ベッドの高さ、マットレス、手すりの有無などを確認することが大切ですが、昨日まで起き上がれていた人が突然起き上がれなくなった場合には、単なる加齢と決めつけず身体状態の変化にも注意が必要です。
また、家族が腕を強く引っ張ったり、腰を抱えて力任せに持ち上げたりする介助は、本人にも介助者にも大きな負担となるため、本人が残っている力を使いやすい環境を整え、必要に応じて介護ベッドやベッド用手すり、福祉用具を活用することも検討します。
ここでは、高齢者がベッドから起き上がれないときに確認したい原因、安全な起き上がり方の考え方、ベッドの高さやマットレスの見直し、介護ベッドや手すりの活用、家族が介助するときの注意点、介護保険を利用できる可能性まで詳しく紹介します。
高齢者がベッドから起き上がれないときの対策
高齢者がベッドから起き上がれないときは、無理に身体を引き起こす前に、どの動作で止まっているのかを確認することが重要です。
厚生労働省の要介護認定における考え方でも、起き上がりは寝た状態から上半身を起こす能力として確認され、何もつかまらずできる場合、ベッド柵やバーなどにつかまればできる場合、介助が必要な場合に分けて状態を捉えています。
本人の力だけでは難しくても、身体の向き、手を置く場所、ベッドの高さ、手すりなどを見直すことで動作しやすくなる場合があるため、原因と環境を一緒に確認しましょう。
まず急な変化か確認する
高齢者がベッドから起き上がれなくなったときに最初に確認したいのは、以前から徐々に難しくなっていたのか、それとも急に起き上がれなくなったのかという点で、対応を考えるうえで重要な違いがあります。
数か月かけて少しずつ起き上がる時間が長くなった場合には、筋力や身体機能の変化、痛み、ベッド環境などさまざまな原因が考えられますが、突然の大きな変化は身体の異常が関係している可能性も考える必要があります。
- いつから起き上がれないか
- 昨日まではできていたか
- 身体に痛みがないか
- 手足を普段どおり動かせるか
- 会話や意識に変化がないか
- 転倒した後ではないか
特に急に片側の手足へ力が入らない、言葉が出にくい、意識がおかしい、激しい頭痛など普段と異なる症状を伴う場合には、ベッドや手すりを工夫して様子を見る問題とは分けて考える必要があります。
「高齢だから起きられなくなった」と最初から決めつけず、急激な変化がある場合や本人の様子がおかしい場合には、必要に応じて速やかに医療へつなげることが大切です。
どの動作ができないか確認する
一口に「ベッドから起き上がれない」といっても、仰向けから横向きになれない人、横向きにはなれるものの上半身を起こせない人、座るところまではできても姿勢を保てない人など状態は異なります。
本人がどこで困っているかを細かく分けると、ベッド用手すりが必要なのか、ベッドの背上げ機能が必要なのか、専門職による動作の評価が必要なのかを考えやすくなります。
| 動作 | 確認すること | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| 寝返り | 横向きになれるか | 身体の動かし方を確認 |
| 脚を下ろす | ベッド外へ動かせるか | ベッド環境を確認 |
| 上体を起こす | 腕で支えられるか | 手すりなどを検討 |
| 端へ座る | 座位を保てるか | 専門職へ相談 |
| 立ち上がる | 足に力が入るか | 高さや支えを確認 |
例えばベッド柵などにつかまれば自力で起きられる人と、家族が上半身を支えなければ起きられない人では必要な支援が異なり、同じ福祉用具を導入すれば解決するとは限りません。
本人が無理なくできる動作と介助が必要な動作を分け、残っている力を活用できる方法を専門職と考えることが、自立を支えながら介助負担を減らすことにつながります。
横向きから起きる動きを確認する
仰向けの状態から腹筋の力だけで真っすぐ上半身を起こそうとすると大きな力が必要になるため、身体状態によっては横向きになってから起きる動作のほうが行いやすい場合があります。
一般的には身体を横向きにし、脚をベッドの外へ動かしながら肘や手でマットレス面を押すようにして上半身を起こし、ベッドの端で座るという流れを検討できます。
- 身体を横向きにする
- 脚をベッドの外へ近づける
- 肘や手で身体を支える
- 上半身を徐々に起こす
- 端座位で姿勢を整える
ただし、麻痺、関節の痛み、手術後、骨折、強い腰痛などがある場合には適切な動かし方が異なるため、家族が一般的な方法を見ただけで無理に練習させることは避けましょう。
どちら向きに寝返ると動きやすいか、どこへ手を置けば力を出せるかなどを理学療法士や作業療法士に確認してもらうと、本人の身体状態に合わせた起き上がり方法を見つけやすくなります。
ベッド用手すりを検討する
何もつかまらなければ起き上がれないものの、安定した場所を握ったり押したりすれば身体を動かせる高齢者では、ベッド用手すりなどを活用できる場合があります。
厚生労働省では、特殊寝台の側面に取り付け、起き上がりや立ち上がり、移乗などを容易にするベッド用手すりを特殊寝台付属品として位置づけており、本人の残っている力を利用するための福祉用具として検討できます。
| 確認項目 | 見るポイント | 注意点 |
|---|---|---|
| 位置 | 手が自然に届くか | 遠すぎないか |
| 握り方 | 押す・引く動作ができるか | 本人に合うか |
| 固定 | 安定しているか | 自己流で取り付けない |
| 隙間 | 身体が入り込まないか | 挟み込みに注意 |
| 動線 | ベッドから下りやすいか | 移乗を邪魔しないか |
一方で、ベッド柵とマットレスなどの隙間には身体の一部が入り込む危険もあるため、単に握る場所が欲しいという理由だけで家庭にある柵や家具を代用することは避ける必要があります。
ベッド用手すりを導入する場合には、本人の身体状態、寝返りの方向、起き上がり方、ベッドから立つ位置まで確認し、福祉用具専門相談員などと適切な製品や設置位置を検討しましょう。
ベッドの高さを見直す
ベッドから起き上がった後に立ち上がれない場合には、上半身を起こす動作そのものではなく、ベッドの高さが本人の身体に合っていない可能性も確認する必要があります。
ベッドが低すぎると立ち上がる際に膝や股関節を深く曲げる必要があり、脚の筋力が低下している人では身体を持ち上げる負担が大きくなる場合があります。
- 端へ座ったとき足が床に着くか
- 膝の位置が低すぎないか
- 立つとき身体を前へ動かせるか
- ベッドから滑り落ちそうにならないか
- 車いすへ移乗しやすい高さか
一方で、立ちやすくするためにベッドを高くしすぎると、座ったときに足が床へ十分に着かず姿勢が不安定になったり、ベッドから転落したときの危険が大きくなったりする可能性があります。
高さ調整機能がある介護ベッドなら本人の動作に合わせて調整できますが、適切な高さは体格や移乗方法によって異なるため、専門職に確認してもらうと安心です。
マットレスを確認する
ベッドから起き上がりにくい原因として見落としやすいのがマットレスで、身体が深く沈み込むものでは寝返りや腕で身体を押す動作に大きな力が必要になる場合があります。
反対に硬ければ必ず起きやすいわけではなく、本人の体格、痛み、床ずれのリスク、寝姿勢なども考慮する必要があるため、起き上がりだけを基準に選ぶことは適切ではありません。
| 確認する状態 | 起こり得る問題 | 見直す視点 |
|---|---|---|
| 沈み込みが大きい | 手で押しにくい | 身体との適合 |
| 柔らかすぎる | 寝返りしにくい | 動作を確認 |
| 高さが増えすぎる | 足が床に届きにくい | ベッド全体の高さ |
| ずれやすい | 動作時に不安定 | 設置状態 |
床ずれ防止のために特殊なマットレスを使用している人では、自己判断で一般的な硬いマットレスへ交換すると別の問題につながる可能性があるため注意しましょう。
寝心地、体圧分散、寝返り、起き上がり、端座位まで含めて評価し、必要に応じてケアマネジャーや福祉用具専門相談員、医療やリハビリテーションの専門職へ相談することが大切です。
介護ベッドの背上げを活用する
自力で上半身を起こすことが難しい人では、背部の角度を調整できる介護ベッドを使い、上半身を起こす動作を補助する方法があります。
厚生労働省が介護保険の福祉用具貸与対象としている特殊寝台には、背部や脚部の傾斜角度を調整できる機能や床板の高さを調整できる機能を備えたものがあり、身体状態に応じて起居動作を支えることができます。
- 背上げで上体を起こす
- 高さを調整する
- 足を床へ着きやすくする
- 手すりと組み合わせる
- 介助者の負担を減らす
ただし背上げ角度を大きくすれば必ず起きやすくなるわけではなく、身体が足元方向へずれたり姿勢が崩れたりすることがあるため、本人に適した操作方法を確認する必要があります。
介護ベッドを導入した後は家族が自己流で角度を決めるだけでなく、福祉用具専門相談員などから操作方法や注意点の説明を受け、本人が安全に起き上がれる設定を確認しましょう。
無理に腕を引っ張らない
本人が起き上がれないと、家族は手を握って一気に引き起こしたくなることがありますが、腕だけを強く引く介助は本人の肩や身体へ負担をかける可能性があります。
また、介助者が前かがみになって高齢者の上半身を持ち上げようとすると、介助者自身の腰にも大きな負担がかかり、毎朝晩繰り返すことで介護を続けることが難しくなることもあります。
- 腕だけを強く引かない
- 力任せに抱え上げない
- 本人ができる動作を活用する
- 手すりなどを利用する
- 難しければ専門職へ相談する
厚生労働省の介護労働者向け資料でも、自力での動作が難しい人を力任せに抱え上げるのではなく、状態に応じて福祉用具や機器を活用する考え方が示されています。
家族一人の力で何とかし続けるのではなく、本人の能力と介助者の負担の両方を評価し、介護ベッド、手すり、移乗用具などを適切に取り入れることが重要です。
ベッドから起き上がれない原因を確認する
高齢者が起き上がれない原因は一つとは限らず、筋力や関節の動き、痛み、病気、ベッド環境などが重なっている場合があります。
原因を確認しないまま「もっと運動すればよい」「手すりを付ければよい」と一つの方法だけで対応すると、本人に合わなかったり必要な受診が遅れたりする可能性があります。
以前との違いを家族が観察し、身体面と環境面の両方から変化を探してみましょう。
身体機能の変化を確認する
起き上がりには体幹だけでなく、寝返りをするための身体の動き、腕でマットレスを押す力、脚をベッド外へ動かす力などが必要になるため、身体機能の変化が影響する場合があります。
普段の生活量が減った人や長期間寝ている時間が増えた人では、以前と同じ動作が負担になっていることも考えられます。
- 寝返りが減った
- 腕で身体を支えにくい
- 座っていると傾く
- 立ち上がりも難しくなった
- 歩く量が減った
ただし、起き上がれない状態をすべて筋力低下と判断し、本人へ無理な筋力トレーニングをさせることは避けましょう。
どの身体機能が起き上がりへ影響しているのかは本人によって異なるため、変化が続く場合には医師や理学療法士、作業療法士などへ相談することが役立ちます。
痛みの場所を確認する
筋力が残っていても、腰、背中、肩、股関節などに痛みがあると、痛みを避けるため身体を動かせず起き上がれない場合があります。
特に転倒した後から起き上がれなくなった場合や、身体を動かすと強い痛みを訴える場合には、単に寝起きが悪くなったと考えないことが重要です。
| 確認すること | 見るポイント | 対応 |
|---|---|---|
| 腰の痛み | 動くと強くなるか | 医療相談を検討 |
| 股関節周辺 | 転倒後ではないか | 無理に動かさない |
| 肩の痛み | 腕で押せるか | 引っ張らない |
| 背中の痛み | 急に生じたか | 状態を確認 |
痛みがある状態で「自分で起きて」と繰り返すと、本人が動作そのものを怖がるようになり、さらに活動量が減る可能性もあります。
原因がわからない強い痛みや転倒後の痛みがある場合には、自己流の介助や運動を続けるより医療機関へ相談し、安全に動ける状態か確認しましょう。
ベッド環境を確認する
身体状態に大きな変化がなくても、ベッドが低すぎる、マットレスが沈む、手を置ける場所がないといった環境によって起き上がりが難しくなる場合があります。
特に新しいマットレスへ交換した後や寝室の家具配置を変更した後から動作しにくくなった場合には、環境の変化との関係を確認しましょう。
- ベッドの高さ
- マットレスの沈み込み
- ベッドの幅
- 手を置ける場所
- 床へ足を下ろすスペース
- ベッド周辺の家具
本人が起き上がる際にナイトテーブルや動きやすい家具へつかまっている場合には、家具が動いて転倒する危険もあるため注意が必要です。
本人が普段どのような順番で身体を動かしているのかを確認し、その動きを邪魔している設備がないかという視点で寝室を見直しましょう。
安全に起き上がるためベッド環境を整える
高齢者が起き上がりやすい寝室をつくるには、ベッドだけでなく、手すり、床、履物、照明など起床後の動線まで確認する必要があります。
ベッドの端まで起きられるようになっても、その直後に立ち上がって転倒してしまえば安全な環境とはいえません。
寝た状態から座る、立つ、歩き始めるまでを一つの動作として考え、必要な場所へ安全な支えを用意しましょう。
ベッド周辺を片付ける
ベッドから起き上がった直後は姿勢が安定しないことがあるため、足を下ろす場所に荷物や衣類、電源コードなどを置かないことが重要です。
特に夜間や早朝は部屋が暗く、床の物を見落としやすいため、本人がいつ起きても安全に足を置ける空間を常に確保しておきましょう。
- 床へ衣類を置かない
- 電源コードを通路から外す
- バッグを床へ置かない
- 滑るマットを見直す
- 歩行器の置き場所を決める
杖や歩行器を使っている人では、起き上がった後に無理な姿勢で用具を取らなくてもよい位置へ準備することも大切です。
ただし、杖や歩行器そのものをベッドから身体を引き起こすための固定された手すり代わりに使用すると動く可能性があるため、用途に合った支えを利用しましょう。
高さ調整できるベッドを検討する
高さ調整機能がある介護ベッドは、介助を受けるときだけでなく、本人が端座位から立ち上がる際に適切な高さを作りやすいという利点があります。
本人が座ったときに足を安定して床へ着けられ、そこから身体を前へ動かして立てる高さを探すことが基本になります。
| 機能 | 主な目的 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 高さ調整 | 立ち上がりを支える | 足が床に着くか |
| 背上げ | 上体を起こす | 身体がずれないか |
| 脚上げ | 姿勢調整を補助 | 操作方法が適切か |
| 手すり | 起居を支える | 位置が合うか |
介助者にとっても適切な高さへ調整できれば、極端な前かがみ姿勢で介助する時間を減らせる場合があります。
本人の自立支援と介助者の負担軽減の両方を考え、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員などと必要な機能を整理しましょう。
夜間の照明も準備する
高齢者が夜中にベッドから起きる場合には、起き上がり動作そのものだけでなく、起きた後に安全に立ち上がって移動できる照明環境も重要です。
暗い中でベッドの端へ座ると、床までの高さや履物の位置がわかりにくく、立ち上がった直後につまずく可能性があります。
- ベッドから操作できる照明
- 足元灯
- 人感センサー照明
- トイレまでの照明
- 段差を確認できる明るさ
照明をつけるために暗い部屋を歩かなければならない配置では意味がないため、本人が身体を起こす前または起こした直後に操作できるようにします。
夜間のトイレ回数が多い人では、ベッド周辺から廊下、トイレまでを一続きの動線として確認し、暗い場所や床の障害物を減らしましょう。
家族が起き上がりを介助するときの注意点
家族による起き上がり介助では、本人を早く起こすことよりも、本人ができる動作を活用しながら安全に身体を動かすことが大切です。
介助者が毎回全身を持ち上げていると腰や肩への負担が大きくなり、本人も自分で身体を動かす機会が減ってしまう可能性があります。
介助が日常的に必要になった段階で、家族だけで抱え込まず、介助方法と福祉用具の両方を専門職へ相談しましょう。
本人の動きを待つ
高齢者は身体を動かし始めてから実際に姿勢が変わるまで時間がかかることがあり、家族が待ちきれず途中で身体を持ち上げてしまうことがあります。
しかし、本人が寝返りや腕で身体を押す動作をできるなら、その力を使ってもらうことで介助量を減らせる場合があります。
- 動作を急かさない
- 一つずつ声をかける
- できる動きを確認する
- 必要な部分だけ支える
- 痛みがあれば中止する
例えば「起きて」と一度に求めるのではなく、本人に合った方法が専門職から示されている場合には、その手順に沿って寝返りや脚の移動などを一つずつ行います。
介助量が以前より増えている場合には単に時間をかけるだけでは解決しないこともあるため、身体状態の再評価や福祉用具の見直しを依頼しましょう。
力任せの介助を避ける
介助者が高齢者の脇へ腕を入れて一気に持ち上げたり、両腕を引っ張って起こしたりする方法は、本人と介助者の双方に負担がかかる可能性があります。
厚生労働省の介護作業に関する資料では、自力での立ち上がりが難しい利用者について、人力で力任せに抱え上げるのではなく、状態に応じてリフトなどの機器を利用する考え方が示されています。
| 避けたい介助 | 考えられる問題 | 代わりの考え方 |
|---|---|---|
| 腕を強く引く | 肩への負担 | 全身の動きを利用 |
| 抱え上げる | 介助者の腰へ負担 | 福祉用具を検討 |
| 急いで起こす | 姿勢が崩れる | 本人のペースを待つ |
| 自己流を続ける | 負担が固定化する | 専門職へ相談 |
介助するたびに腰が痛くなる、本人を起こすために二人必要になったという場合は、現在の方法が身体状態に合わなくなっている可能性があります。
訪問リハビリテーションなど利用できる支援がある場合には、実際のベッドと寝室環境で介助方法を確認してもらうと具体的な改善につながりやすくなります。
端へ座った後も急がない
ベッドから上半身を起こせたとしても、すぐに立ち上がらせるのではなく、まずベッドの端で安定して座れるかを確認することが重要です。
長く横になっていた後に急に姿勢を変えるとふらつきを感じる人もいるため、本人の表情や訴えを確認しながら次の動作へ進みます。
- 足が床に着いているか
- 身体が傾いていないか
- ふらつきがないか
- 気分が悪くないか
- 立つための支えがあるか
座っていること自体が難しく身体が大きく傾く場合には、立たせようとせず介助方法を見直す必要があります。
起き上がりと立ち上がりは別の動作として考え、座位を安定して保てない人については医療やリハビリテーションの専門職へ相談しましょう。
介護保険や福祉用具を活用して負担を減らす
高齢者が毎日ベッドから起き上がるために介助を必要とする場合には、介護保険による福祉用具を利用できる可能性があります。
厚生労働省では福祉用具貸与の対象として特殊寝台やその付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、手すりなどを定めており、本人の要介護度や身体状態などによって利用条件が異なります。
必要な用具を自己判断で購入する前に、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員へ相談し、本人の状態に適した方法と介護保険の対象になるかを確認しましょう。
介護ベッドを相談する
介護保険で貸与される特殊寝台には背部や脚部の角度、高さなどを調整できるものがあり、起き上がりや立ち上がりを支える目的で活用されます。
ただし、介護保険による特殊寝台の貸与は要介護度などによる条件があり、要支援や要介護1では原則として給付対象外となる一方、身体状態など一定の条件によって対象となる場合があります。
- 起き上がりの状態
- 立ち上がりの状態
- 必要なベッド機能
- 要介護度
- 介助者の負担
- 寝室の広さ
介護ベッドが必要かどうかは「高齢だから」という理由だけで決めるのではなく、本人の身体状態や生活動作を確認したうえで判断します。
ケアマネジャーがいる場合にはまず現在の起き上がり状況を伝え、福祉用具専門相談員などと実際の設置場所や必要な機能を確認しましょう。
ベッド用手すりを相談する
本人が手すりにつかまれば起き上がれる場合には、特殊寝台と一体的に使用するベッド用手すりなどが介護保険の福祉用具として対象になることがあります。
厚生労働省では特殊寝台付属品のベッド用手すりを、特殊寝台の側面へ取り付けて起き上がり、立ち上がり、移乗などを容易にするものとして示しています。
| 相談内容 | 確認する理由 | 相談先の例 |
|---|---|---|
| 手すりの位置 | 力を出しやすくする | 福祉用具専門相談員 |
| 起き上がり方 | 身体状態に合わせる | 理学療法士など |
| 介護保険 | 利用条件を確認 | ケアマネジャー |
| 安全性 | 挟み込みなどを防ぐ | 福祉用具事業者 |
ベッド用の柵には転落防止を主目的とするサイドレールと、起き上がりなどで身体を支える目的の手すりがあり、同じように見えても用途が異なるため注意が必要です。
本人が強く引っ張ったり体重をかけたりする場所だからこそ、家庭にある家具や簡易な柵を代用せず、用途に適した製品を正しく使用しましょう。
ケアマネジャーや専門職へ早めに相談する
「家族が起こせているからまだ大丈夫」と介助を続けていると、本人の状態が変化したときに家族の負担が急激に大きくなる場合があります。
起き上がり介助が毎日必要になった、夜間にも何度も起こす必要がある、介助者の腰が痛くなったといった段階で、早めに相談することが大切です。
- ケアマネジャー
- 医師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 福祉用具専門相談員
- 地域包括支援センター
まだ介護保険サービスを利用していない場合には、地域包括支援センターや自治体の介護保険窓口などへ相談し、必要な支援について情報を得る方法があります。
本人ができるだけ自分の力を使いながら生活でき、家族も無理なく介助を続けられるよう、身体状態、介助方法、福祉用具をまとめて見直すことが重要です。
起き上がれない原因を見極めて無理のない環境を整えよう
高齢者がベッドから起き上がれない場合には、単純に筋力不足と決めつけるのではなく、寝返り、脚の移動、上半身を起こす動作、端座位、立ち上がりのどこで困っているのかを確認することが第一歩です。
以前から徐々に難しくなっている場合には、ベッドの高さ、マットレス、手すり、介護ベッドなどを見直すことで動作しやすくなる可能性がありますが、突然起き上がれなくなった場合や強い痛み、麻痺、意識や会話の異常などがある場合には、単なる加齢として様子を見続けないことが大切です。
家族が介助するときも、腕を強く引っ張ったり全身を力任せに抱え上げたりするのではなく、本人ができる寝返りや腕の動きを活用し、必要な部分を支える方法を検討しましょう。
毎日の介助が大きな負担になっている場合には、背上げや高さ調整ができる介護ベッド、ベッド用手すりなどの福祉用具が役立つことがあり、要介護度や身体状態などの条件によって介護保険の貸与対象になる可能性もあります。
起き上がれない状態は本人の生活範囲だけでなく家族の介護負担にも大きく関わるため、無理な介助を続ける前に医師、ケアマネジャー、理学療法士や作業療法士、福祉用具専門相談員などへ相談し、本人の身体状態に合った安全な起き上がり方法とベッド環境を整えていきましょう。


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