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高齢者が財布をなくすときの対策|置き場所と持ち歩き方を決めよう

暮らしの工夫
※イメージとして作成した画像です

高齢の親が「財布がない」と何度も探すようになると、家族は単なる置き忘れなのか、年齢による物忘れが進んでいるのかと心配になることがあります。

家の中を一緒に探したら上着のポケットから出てくることもあれば、スーパーや病院へ出かけたあと本当に財布を紛失してしまうこともあり、頻度が増えるほど家族の負担も大きくなります。

特に財布には現金だけでなく、キャッシュカード、クレジットカード、運転免許証、マイナンバーカードなど大切なものをまとめて入れている人もいるため、一度なくすと探すだけでは済まず、利用停止や再発行など多くの手続きが必要になる場合があります。

高齢者が財布をなくすときの対策では、「なくさないでね」「いつもの場所へ置いてね」と注意するだけでなく、財布の定位置を一つにする、外出時に入れる場所を固定する、財布の中身を必要最小限にするなど、本人の記憶だけに頼らない仕組みを作ることが大切です。

財布へ紛失防止タグを付ける方法もありますが、機器だけですべて解決するわけではなく、本人や家族がスマートフォンなどで位置を確認できる環境があるかを考える必要があります。

また、「財布をよくなくす」という言葉には、家の中で置き場所を忘れる場合、外出先へ置き忘れる場合、財布は見つかっているのに本人が「盗まれた」と訴える場合など異なる状況が含まれます。

財布以外にも通帳や鍵を頻繁になくす、同じことを何度も尋ねる、買い物や家電操作など以前できていたことが難しくなっている場合には、財布だけの問題として考えず生活全体の変化を確認することも重要です。

ここでは、高齢者が財布をなくすときに取り入れたい具体的な対策をはじめ、財布の選び方、紛失防止タグの活用方法、財布をなくした直後に行いたい対応、物忘れが増えている場合の相談先まで詳しく整理します。

高齢者が財布をなくすときの対策

高齢者が財布を繰り返しなくす場合は、本人に「財布を大切に管理して」と求めるだけでなく、財布を探さなくても済む生活環境を作ることが基本です。

最初に確認したいのは、財布をなくす場所が主に自宅なのか、それとも外出先なのかという点です。

自宅で見失うことが多ければ定位置を決める対策が有効ですが、買い物中など外出先でなくすなら、バッグと財布をつなぐ、持ち歩く場所を固定するなど別の工夫が必要になります。

本人の生活を観察し、財布がなくなる場面に合わせて対策を選びましょう。

財布の置き場所を一つに決める

自宅の中で財布をなくすことが多い高齢者には、財布の定位置を一つだけ決める方法が取り入れやすい対策です。

玄関の棚、リビングの引き出し、いつも持つバッグの中など、本人が毎日自然に使える場所を選び、帰宅したら必ずそこへ戻すという流れを作ります。

大切なのは、「財布を置いてもよい場所」を何か所も作らないことで、玄関にも箱を置き、寝室にもケースを置き、リビングにも財布置き場を作ると、どこへ置いたのかを思い出す必要が生じてしまいます。

また、家族が良かれと思って財布を安全な場所へ移動すると、本人が覚えている場所と実際の場所が変わり、かえって「財布がなくなった」という状況を作ることがあります。

  • 定位置は一つにする
  • 本人が使いやすい場所を選ぶ
  • 帰宅したらすぐ戻す
  • 家族が勝手に移動しない
  • 物を重ねて置かない
  • 見つけやすい場所にする

財布置き場を決めるときは、家族にとって管理しやすい場所ではなく、本人がこれまで財布を置くことが多かった場所を参考にすると習慣化しやすくなります。

決めた場所へ戻すこと自体を忘れるようになっている場合には、定位置だけに頼らず、紛失防止タグや持ち物の削減などを組み合わせましょう。

外出時はバッグの同じ場所へ入れる

スーパーや病院など外出先で財布をなくすことが多い場合は、財布を入れる場所を毎回同じにすることが重要です。

ある日は上着のポケット、別の日はズボンのポケット、その次はバッグの内ポケットという使い方では、帰宅後に財布を探す場所が増えてしまいます。

買い物で支払いをしたら財布をバッグの決まったポケットへ戻し、そのポケットを閉じてから移動するという一連の動作を習慣にすると、レジ台や買い物カートへ置いたまま移動するリスクを減らせます。

本人が複数のバッグを使い分けている場合には、財布をどのバッグへ入れたか分からなくなることもあるため、日常の買い物に使うバッグを一つに決める方法もあります。

困りごと対策
ポケットを毎回変える入れる場所を固定する
レジへ置き忘れる財布を戻してから移動する
バッグを頻繁に変える普段用を一つ決める
バッグの中で迷う専用ポケットを作る
財布を手に持って歩く支払い後すぐ収納する
バッグ自体を忘れる外出前の置き場所も固定する

特に支払い後は、お釣り、レシート、財布、買った商品を同時に扱うため、注意が分散しやすくなります。

急いでレジを離れようとせず、財布を決まった場所へ戻したことを確認してから移動する流れを作るとよいでしょう。

バッグと財布をつなぐ

外出先で財布を落としたり置き忘れたりすることが増えているなら、財布とバッグをストラップやチェーンなどでつなぐ方法もあります。

支払いの際には財布をバッグから取り出せても、完全には分離しない状態にしておけば、レジやベンチなどへ財布だけを置いて移動するリスクを減らせます。

ただし、長すぎるストラップは歩行中に物へ引っかかったり、バッグの中で絡まったりすることがあるため、本人が無理なく財布を取り出せる長さを選ぶ必要があります。

財布側とバッグ側にストラップを取り付けられる丈夫な部分があるかも確認し、ファスナーの引き手など強度が不明な部分へ無理に取り付けないようにしましょう。

  • 財布がバッグから離れない
  • 支払い時に届く長さにする
  • 歩行中に垂れ下がらない
  • 簡単に外れない金具を選ぶ
  • バッグ側の強度を確認する
  • 本人が扱える構造にする

財布をつなぐ対策は、置き忘れには役立つ可能性がありますが、バッグごと紛失する場合には十分ではありません。

本人が何をなくしているのかを確認し、バッグ自体を忘れることが多ければ、外出時の持ち物全体を見直す必要があります。

財布の中身を減らす

高齢者の財布には、現金だけでなく診察券、ポイントカード、クレジットカード、キャッシュカード、身分証明書など多くのものが入っている場合があります。

財布をなくしたときの被害や再発行の負担を小さくするためには、普段持ち歩く必要がないものを減らすことが大切です。

例えば、ほとんど使わないポイントカードや期限切れの診察券などを整理し、日常生活で必要なものだけを残せば、財布自体も軽くなって中身を確認しやすくなります。

一方で、家族が本人に知らせずキャッシュカードや現金を取り上げるような対応は、本人との信頼関係や財産管理の問題につながるため慎重に考える必要があります。

財布の中身見直し方
現金必要額を考える
キャッシュカード持ち歩く必要性を確認
クレジットカード使用状況を確認
診察券必要なものを整理
ポイントカード使わないものを減らす
古いレシート定期的に取り出す

本人が自分で金銭管理できる状態なら、家族が一方的に管理方法を変更するのではなく、一緒に財布を整理して「なくしたときに困るものを減らそう」と相談すると受け入れられやすくなります。

金銭管理そのものが難しくなっている場合には、財布を小さくするだけで解決しようとせず、生活全体の支援について専門機関へ相談することも考えましょう。

目立つ財布に変える

黒や茶色など家具やバッグの中へ紛れやすい財布を使っている場合は、本人が見つけやすい色へ変える方法があります。

例えば明るい赤、黄色、青など、本人が周囲の物と区別しやすい色を選べば、テーブルやバッグの中に置いた財布を見つけやすくなることがあります。

ただし、色の見え方には個人差があり、「高齢者なら必ずこの色がよい」と一律に決めることはできません。

本人にいくつかの財布を見てもらい、「これなら見つけやすい」と感じる色や大きさを選ぶことが大切です。

  • 周囲と区別しやすい色
  • 小さすぎないサイズ
  • 本人が気に入るデザイン
  • 開閉方法が分かりやすい
  • 中身を確認しやすい
  • バッグへ収納しやすい

紛失対策だけを優先して本人が気に入らない財布へ交換すると、以前の財布へ戻してしまう可能性もあります。

本人の好みを尊重しながら、見つけやすさと使いやすさの両方を満たすものを選びましょう。

紛失防止タグを財布へ付ける

財布が家の中で見つからなくなることが多い場合には、市販の紛失防止タグを利用する方法があります。

製品によって機能は異なりますが、対応するスマートフォンなどから音を鳴らしたり、位置情報を確認する手がかりとして利用したりできるため、家族が財布探しを手伝う際にも役立つ場合があります。

ただし、紛失防止タグはGPSを常時搭載して現在地を追跡する製品ばかりではなく、位置を把握する仕組みや通信範囲は製品ごとに異なります。

購入前には、本人や家族が使っているスマートフォンに対応しているか、財布へ入れられるサイズか、電池交換や充電が必要かなどを確認してください。

確認項目見るポイント
対応端末家族のスマートフォンで使えるか
探し方音や位置表示の仕組み
サイズ財布へ無理なく入るか
電池交換や充電方法
設定家族が管理できるか
通知必要な機能に対応するか

スマートフォンを使わない高齢者でも、家族側の端末で管理できる仕組みなら導入できる場合があります。

ただし、機器へ過度に依存せず、定位置を決める対策と組み合わせることが重要です。

財布を持ち歩かない場面を作る

財布を頻繁になくすようになっている場合には、「どうすれば毎回持ち歩けるか」だけでなく、そもそも財布を持ち出す必要がある場面を減らせないか考える方法もあります。

例えば家族と一緒に病院へ行く日など、本人が支払いをする必要がない外出では、大きな財布を持たず必要なものだけを別のケースへ入れる方法も考えられます。

一方、一人で買い物をする高齢者から財布を一律に取り上げてしまうと、本人の自立した生活を必要以上に制限する可能性があります。

本人ができることを残しながら、紛失した場合の影響が大きいものだけ持ち歩き方を変えることがポイントです。

  • 外出目的を確認する
  • 必要な現金だけ持つ
  • 不要なカードを持たない
  • 家族同行時は役割を決める
  • 通院用ケースを分ける
  • 本人の自立を尊重する

外出のたびに財布をなくして家族が捜索している状態なら、財布の工夫だけではなく、一人での買い物や金銭管理が現在の本人に合っているかも確認する必要があります。

本人の能力を決めつけず、実際にどの場面で困っているかを見ながら支援範囲を調整しましょう。

財布を探す順番を決める

財布が見つからないたびに家族全員で家中を探すと、本人も家族も疲れてしまいます。

財布がなくなったときに確認する場所をあらかじめ決めておけば、毎回同じ順番で効率よく探せます。

本人が財布を置くことの多い玄関、いつものバッグ、上着のポケット、リビングのテーブル、寝室などから順番に確認しましょう。

意外な場所から繰り返し見つかる場合には、その場所も次回から確認場所へ追加します。

順番確認場所
1財布の定位置
2普段使うバッグ
3上着のポケット
4買い物袋
5よく座る場所
6直前に立ち寄った場所

本人が焦っていると、同じバッグを何度も確認して「ない」と訴えることがあります。

家族が一緒に探す場合も「またなくしたの?」と責めるのではなく、決めた順番に沿って確認し、見つかった場所を次の対策へ生かしましょう。

高齢者が使いやすい財布を選ぼう

財布をなくす原因がすべて財布そのものにあるわけではありませんが、本人にとって扱いにくい財布を使っていると、支払い後の収納に時間がかかり、置き忘れにつながることがあります。

高齢者用として特別な製品を選ぶ必要はなく、本人が中身を確認しやすく、開閉しやすく、バッグへ戻しやすいことが重要です。

また、小さければ持ち運びやすいとは限らず、小さすぎる財布はバッグの中で見つけにくくなることもあります。

紛失しにくさだけでなく、本人の手指の動かしやすさや普段の支払い方法も考えて選びましょう。

見つけやすい大きさを選ぶ

コンパクトな財布は軽量で便利ですが、高齢者がバッグの中から探す場合には小さすぎることがあります。

一方、大きすぎる長財布は重くなりやすく、バッグから取り出したあと手に持ったまま移動する原因になる場合があります。

本人が普段使用しているバッグへ無理なく収まり、手を入れたときに財布だと分かる程度の大きさを選びましょう。

  • 小さすぎない
  • 重すぎない
  • 手でつかみやすい
  • バッグに収まる
  • 置いた場所で目立つ
  • ストラップを付けられる

本人が現在の財布を気に入っているなら、すぐ買い替えるのではなく、ストラップや紛失防止タグを追加する方法もあります。

新しい財布へ変えること自体で置き場所が分からなくなる人もいるため、本人の慣れも大切にしましょう。

開閉しやすい構造を確認する

指先の力が弱くなっている高齢者では、小さなファスナーや硬いホックを開閉することが負担になる場合があります。

レジで財布を閉じるのに時間がかかると、焦って財布を手に持ったまま移動し、その後どこかへ置いてしまうことも考えられます。

本人が実際に財布を開き、紙幣や小銭を取り出し、再び閉じるところまで試して選ぶと安心です。

部分確認すること
ファスナーつまみやすいか
ホック強い力が不要か
小銭入れ中を見やすいか
札入れ出し入れしやすいか
カード入れ詰め込みすぎないか
ストラップ取り付け可能か

「高齢者向け」という表示だけで判断せず、本人の手で扱えるかを確認することが重要です。

現在の財布で支払いに困っていないなら、紛失対策のためだけに操作方法が大きく異なる財布へ交換する必要はありません。

中身を把握しやすい財布にする

財布の中へカードやレシートを大量に入れていると、必要なものを探すのに時間がかかり、財布の管理も複雑になります。

カード入れが多い財布ほど便利とは限らず、本人がどこに何を入れたか把握できる程度の構造が向いています。

よく使うカードだけを決まった場所へ入れ、レシートは帰宅後に取り出すなど、中身についても定位置を決めると使いやすくなります。

  • カードを減らす
  • 小銭をためすぎない
  • レシートを整理する
  • よく使う物の位置を固定する
  • 不要な紙を入れない
  • 定期的に家族と整理する

ただし、本人の財布を家族が無断で整理すると、「お金やカードを取られた」と感じる場合があります。

整理が必要なら本人と一緒に行い、何を取り出したか分かるようにすることが大切です。

財布をなくしたらカード類の対応を優先しよう

財布を本当に紛失した可能性がある場合は、家の中をいつまでも探し続けるだけでなく、中に何が入っていたかを確認して必要な手続きを進めます。

警察庁は、路上などで落とした場合や場所が分からない場合には警察へ問い合わせて遺失届を提出するよう案内しています。

また、財布の中にキャッシュカードやクレジットカードなどが入っている場合は、悪用を防ぐため発行元へ速やかに連絡して利用停止などの手続きを行うことが重要です。

本人だけでは手続きが難しい場合には、家族が連絡先を調べるなど可能な範囲で支援しましょう。

最後に財布を使った場所を確認する

財布がないことに気づいたら、最初に最後に財布を見た場面を思い出します。

買い物をした店、病院の会計、タクシー、電車、飲食店など、具体的な場所が分かる場合には、その施設へ問い合わせることで見つかる可能性があります。

警察庁も駅や店舗など特定の施設で落とした可能性がある場合には、まず施設へ落とし物が届いていないか確認し、あわせて警察への問い合わせや遺失届の提出を案内しています。

  • 最後に支払った店
  • 病院や薬局
  • 電車やバス
  • タクシー
  • 立ち寄った施設
  • 帰宅後に着替えた場所

高齢者本人が外出経路を正確に思い出せない場合には、レシートや家族との連絡履歴などから行動を整理する方法もあります。

ただし、財布にカード類が入っている場合には、財布探しに長時間を費やして利用停止手続きが遅れないよう注意してください。

カード類の利用停止を行う

財布にキャッシュカードやクレジットカードが入っていて紛失した可能性がある場合は、それぞれの発行元へ連絡して利用停止などの手続きを確認します。

警察庁も、落とし物にキャッシュカードやクレジットカードなどが含まれている場合には、発行元へ速やかに連絡し、利用停止などを行うよう案内しています。

財布があとから自宅で見つかる可能性があっても、不正利用のリスクがあるものについては発行元へ相談することが大切です。

入っていたもの主な連絡先
キャッシュカード金融機関
クレジットカードカード会社
交通系カード発行事業者
運転免許証警察などへ確認
マイナンバーカード専用窓口などへ確認
その他の会員証各発行元

高齢者本人が何枚カードを持っていたか分からない場合に備え、普段からカード会社名など必要最小限の情報を本人の同意のもと家族と整理しておくと緊急時に対応しやすくなります。

暗証番号そのものを家族で共有することとは分けて考え、紛失時に必要な連絡先を把握することから始めましょう。

警察へ遺失届を出す

外出先で財布を落とした可能性があり、どこでなくしたか分からない場合には、警察へ問い合わせて遺失届を提出します。

警察庁によると、遺失届では落とした日時や場所をできるだけ明らかにし、記名や個別番号などがある場合は伝えることが照合のために重要です。

遺失届は警察が財布そのものを捜索してくれる手続きというより、拾得物として届けられた物と届出内容を照合し、該当した場合に連絡を受けるためのものと理解しておきましょう。

  • なくした日時
  • なくした可能性がある場所
  • 財布の色
  • 財布の形やブランド
  • 中に入っていたもの
  • 記名や識別できる情報

本人が説明することが難しい場合は、家族が財布の特徴や外出経路を整理しておくと伝えやすくなります。

財布が見つかったあとも、今回どこでなくしたのかを確認し、次回の紛失を防ぐ環境づくりにつなげましょう。

財布を何度もなくすなら物忘れの変化も確認しよう

財布を一度なくしただけで、認知症などと判断することはできません。

年齢にかかわらず財布を置き忘れたり、バッグを変えたことで場所が分からなくなったりすることはあります。

一方で、厚生労働省が公開している認知症に関する資料では、通帳、印鑑、財布などをよくなくすことや、家族が取ったと訴えることなども、家族が以前との変化を見る際の具体例として挙げられています。

重要なのは財布だけを見るのではなく、以前と比べて生活全体にどのような変化が生じているかを確認することです。

なくす頻度を記録する

「最近よく財布をなくす」と感じても、家族によって受け止め方は異なるため、いつ、どこで、何回起きたのかを簡単に記録すると状況を整理しやすくなります。

例えば半年に一度の置き忘れなのか、一週間に何度も「財布がない」と探しているのかでは、必要な対策も異なります。

見つかった場所も記録しておけば、上着のポケットが多い、寝室へ持っていくことが多いなど本人特有のパターンが見える場合があります。

  • 財布を探した日
  • 最後に使った場所
  • 見つかった場所
  • 外出の有無
  • 本人の反応
  • 財布以外の紛失状況

こうした記録は本人の失敗を数えるためではなく、生活環境の改善や、必要に応じて医療機関へ相談するときの情報として活用します。

厚生労働省の認知症に関する資料でも、家族から見た以前とは違う様子や行動を記録しておくことは、受診時の参考になるとされています。

財布以外の生活変化も見る

財布の紛失だけでなく、鍵や通帳を頻繁になくす、同じことを繰り返し尋ねる、買い物で同じものを何度も購入するなど、複数の変化がないか確認します。

また、家電の操作が急に分からなくなった、火の消し忘れが増えた、慣れている道で迷うなど、安全に関係する変化があれば早めに相談を考えることが大切です。

ただし、これらの行動があるからといって家族が認知症だと決めつけることはできず、診断は医療機関で行われます。

生活の変化確認すること
財布をなくす頻度が増えているか
鍵をなくす外出へ影響していないか
同じ物を買う買い物の変化
同じ質問をする以前との違い
家電操作で迷う生活への影響
道に迷う安全面への影響

財布をなくすことだけに注目すると、本人が本当に困っている部分を見落とす可能性があります。

本人がこれまで一人でできていたことに変化がないかという視点で、生活全体を見てみましょう。

地域包括支援センターなどへ相談する

財布や鍵を繰り返しなくすなど物忘れが増え、本人の生活や家族の支援に影響が出ている場合には、家族だけで対応方法を考え続けず相談窓口を利用できます。

厚生労働省は、本人や家族が認知症ではないかと感じた場合や介護について悩んだ場合の主な相談先として、地域包括支援センターなどを案内しています。

地域包括支援センターでは高齢者の保健・医療・介護に関する相談を受け、必要に応じて認知症疾患医療センターなどの関係機関と連携して支援につなげています。

  • 地域包括支援センター
  • かかりつけ医
  • 認知症疾患医療センター
  • 自治体の高齢者相談窓口
  • 担当ケアマネジャー
  • 利用中の介護サービス事業者

「財布をなくす程度で相談してよいのか」と考える必要はなく、一人暮らしを安全に続けるための生活相談として状況を伝えることもできます。

相談するときには、財布をなくした回数や見つかった場所、ほかに気になる生活上の変化を整理しておくと状況を伝えやすくなります。

財布を盗られたと言うときは否定から入らないようにしよう

高齢者が財布を自分でしまったことを忘れ、「家族が盗った」「誰かが家に入って持っていった」と訴える場合があります。

財布や通帳などを盗られたと訴えることは認知症に伴ってみられる場合もありますが、すべてを認知症による訴えだと決めつけることも避けなければなりません。

実際の紛失や盗難の可能性がないかを確認したうえで、本人が強い不安を感じている場合には、その気持ちを刺激しない対応を考えます。

家族が正しさを証明しようとして強く否定すると、言い争いが続く場合もあるため注意しましょう。

まず一緒に財布を探す

本人から「財布を盗られた」と言われたときに、「自分でどこかへ置いたんでしょう」とすぐ否定すると、本人は家族が話を聞いてくれないと感じる場合があります。

まず「財布が見つからないんだね」と状況を確認し、いつもの定位置やバッグ、上着のポケットなどを一緒に探します。

財布が見つかった場合も「ほら、自分でここへ置いたでしょう」と失敗を指摘するより、「見つかってよかったね」と落ち着いて終えるほうが、本人の不安を強めにくいでしょう。

  • 最初から否定しない
  • 本人の話を聞く
  • 定位置から確認する
  • 一緒に探す
  • 見つかっても責めない
  • 見つかった場所を記録する

一方、本当に現金が減っている、財布が自宅外で紛失しているなど不自然な状況があれば、「物忘れだから」と決めつけず事実関係を確認してください。

本人の訴えをそのまま事実と断定することも、最初から誤りだと決めることもせず、落ち着いて状況を確認することが大切です。

家族が財布を勝手に移動しない

家族が「ここでは危ないから」と財布を本人に知らせず別の場所へ隠すと、本人から見れば確かに財布が突然なくなった状態になります。

特に物忘れがある人では、家族が移動させた説明を忘れ、「昨日までここにあったのに誰かが持っていった」と感じることがあります。

防犯や金銭管理上の理由から保管方法を変える必要がある場合も、可能な範囲で本人と相談し、置き場所を一緒に決めましょう。

家族の行動起こり得る困りごと
財布を隠す紛失したと感じる
無断で現金を減らす盗られたと感じる
カードを勝手に抜く不信感につながる
置き場所を頻繁に変える探す場所が増える
毎回家族が管理する本人の自立へ影響する
一緒に整理する変更を共有しやすい

本人の財産を守ることは重要ですが、その方法は本人の判断能力や生活状況によって異なります。

家族だけでは金銭管理が難しくなっている場合には、地域包括支援センターなどへ相談し、利用できる支援制度を含めて考えましょう。

繰り返す場合は家族だけで抱え込まない

財布が見つからないたびに家族が疑われる状態が続くと、本人だけでなく家族も精神的に疲れてしまいます。

毎回長時間説得して「自分で置いたこと」を納得してもらおうとしても、同じ訴えが繰り返される場合があります。

認知症介護に関する公的な情報でも、財布や通帳を盗られたと訴えるような状態では、説明や説得だけで解決しようとせず、本人の不安を軽減する関わりが重要だとされています。

  • 言い争いを長引かせない
  • 財布の定位置を固定する
  • 家族が無断で動かさない
  • 困った状況を記録する
  • 生活全体の変化を見る
  • 専門機関へ相談する

特定の家族だけが財布探しや金銭管理を抱えると、介護負担が集中しやすくなります。

本人の不安が強い場合や家族関係へ影響が出ている場合には、地域包括支援センターやかかりつけ医など第三者へ相談し、対応方法を一緒に考えてもらいましょう。

財布を探す生活からなくしにくい仕組みへ変えよう

高齢者が財布をなくすようになったときは、「またなくしたの?」「ちゃんと覚えておいて」と注意することだけでは十分な対策になりません。

まず、自宅で置き場所が分からなくなるのか、買い物先などで置き忘れるのか、バッグごとなくすのかを確認し、財布の定位置を一つにする、外出時の収納場所を固定する、バッグと財布をつなぐ、財布の中身を減らすなど、本人の行動に合った仕組みを作りましょう。

家の中で財布を頻繁に探しているなら紛失防止タグを利用する方法もありますが、製品ごとに位置を把握する仕組みや対応端末が異なるため、本人または家族が実際に管理できるものを選ぶことが大切です。

財布を本当に外出先で紛失した場合には、最後に利用した施設へ問い合わせ、警察への遺失届を検討するとともに、キャッシュカードやクレジットカードが入っていた場合は発行元へ速やかに連絡して利用停止などの手続きを確認してください。

また、一度財布をなくしただけで認知症と考える必要はありませんが、財布や通帳、鍵を頻繁になくす、同じ質問を何度もする、買い物や家電操作など以前できていたことが難しくなったといった変化が重なっている場合には、生活全体の様子を確認することが重要です。

本人が「財布を盗られた」と訴える場合にも、最初から間違いだと決めつけず、実際の紛失や盗難の可能性を確認しながら一緒に探しましょう。

家族が安全のために財布や現金を無断で移動すると、本人から見れば本当に財布が消えた状態になるため、保管方法を変える際にはできるだけ本人と共有することが大切です。

財布の紛失が繰り返されて生活や金銭管理へ影響が出ているなら、家族だけで毎回財布を探し続けるのではなく、地域包括支援センター、かかりつけ医、認知症疾患医療センターなどへ相談する方法もあります。

目指したいのは、本人から財布を取り上げて外出を制限することではなく、本人ができることを残しながら、なくして困る可能性を仕組みで小さくすることです。

置き場所、持ち歩き方、財布の中身、紛失時の対応を家族と本人で整理しておけば、財布が見つからないたびに家中を探す負担を減らし、高齢者本人も家族も安心して暮らしやすくなります。

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